続・2016年鑑賞映画トップ10   

日を跨いでしまったので、「続」というこで。ちょうど半分の第6位から。


第6位.「新婚道中記」
スクリューボール・コメディが総じて面白いわけではもちろんないが、なにも考えずに楽しめるこの頃の映画はつくづくいいものだなあ、と。ケイリー・グライトとアイリーン・ダンの、スマートで上品なコメディアン、コメディアンヌっぷりが最高の一本。と、書いてみたところで、この映画を観た昨年の10月時点の、2016年の10指に入るほどに感じ入った半年前の感懐を今やすっかり失念してしまい、通り一遍の劇評しかできないのだったが、傑作には間違いないので、オススメします。
ヤフーレビューでは5点満点中 4.60 点。評価数が少ないというのもありますが、さすがに高得点。


第7位.「郵便配達は二度ベルを鳴らす」
確かヴィスコンティ作のものも、ジャック・ニコルソン & ジェシカ・ラング主演81年作も観ているはずなんだが、なんの印象もタイトルの意味するところもまったく憶えちゃいないのだ。で、なんでまた同原作映画を観ることにしたのそれすらも憶えていないが、今作はもうよろめく人妻役のラナ・ターナーが、バツグンによかった。劇中の「これまでに何人の男にくどかれたね?」という男の問いに「私を見てプロポーズしなかった男なんて1人もいなかったわ」なんていう豪語もさもありなんの美しさにうっとり。ようやくここにこの物語の概要と、タイトルの意味するところを理解できたのだが、そもそも3度も映画化されるほどの内容かねえ、これ。と批判しつつも、ラナ・ターナーただの1人で2016年の10指に堂々のランクインです。
ヤフーレビューでは5点満点中 3.60 点。多の2本より微妙ながらも評価高し。


第8位.「ドント・ブリーズ」
実はこれ、「ローグワン」のモヤモヤ気分を解消してくれるのはきっとこの一作だろうと期待を込めて2016年末に観に行くつもりだったものがズレにズレ込んでの17年1月19日に観たので、2016年トップ10にはランクインすべき映画ではないのだが、今2017年末の10本を決める時にはおそらくこの映画を楽しんだ感情も薄れてしまいランク外になるんじゃないかと踏んで、「16年に観るつもりだった」この映画を特別枠として入れてみました。
すべてが適確な演出に裏打ちされてい、終始ニンマリ顔で鑑賞。プロットは簡潔、金欲しさに盗みに押し入った若者らが盲目の男の家という密室で遭遇する恐怖の連続、「あのセリフはそういう意味だったのかよぉ」な、よもやの展開、生き延びた1人がその密室たる家から這々の体で逃げ延びて "外に出てしまえばいくらなんでも追って来れまい" と、まさにひと安心する暇を寸分も与えてくれないワンちゃんをスッと出す狂いのない演出、希望に満ちた西海岸へ向かうはずの空港ロビーが異常なほどくっきりと影を落していてバッドエンドにすら思えるラスト、そしてエンドロール、「ああここではあんなこともあったよねえ」の無人カーテンコールというアフターサービス。これまた最高の一本でした。
ただひとつもったいないのは、盲目の老人、もっと視覚以外の感覚が研ぎすまされているのかと思いきや、若者のぎりぎりを霞め通っても人の気配や体臭すらも感じない、案外ぼんくらなんじゃないかとも思えてしまうという設定が如何なものかと。冒頭主役の女がたばこを吸っているという描写に、これは断然のちのち効いてくる設定なんだろうと思っていたら、なんの伏線でもなかったし。そういう怖さも積み重なっていたら、もっと上位だったかも。
あ、ちなみに本日22日ソフト発売日なんだそうです。レンタルも昨晩から並んでいるのかな? 観て損はないです、てか本当に面白い映画なので、是非。
ヤフーレビューでは5点満点中 3.72 点。意外と評価が低いなあ。



第9位.「生贄夫人」あるいは「花心の刺青 熟れた壷」
神代辰巳一辺倒だった日活ロマンポルノから大きく開眼した2016年、その神代とは違うベクトルで強烈だったのが小沼勝の谷ナオミもの。神代の撮る谷ナオミにエロスはほとんど感じなかったけど、小沼勝の、肌に密着して舐めまわすかのようなアップショットはエロ大炸裂です。
神代のロマンポルノ監督作では、なんの情報もなく手にとったのがいきなり「女地獄」だったし、小沼監督作もまず「生贄夫人」からだったりし、私は強烈な一作を嗅ぎ分ける鼻が利くのかも。脚本は「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」の田中陽造。田中陽造にハズレなし。のちのちの情報でみうらじゅんのウィタ・セクスアリスがこの「生贄夫人」なんだとか。氏の監修による「永遠のSM女優 谷ナオミ」写真集まで買っちゃいました。
ついでに、というか甲乙つけ難く同位にした「花心の刺青」もまた強烈なヘンタイものでしたが、ストイックな彫師蟹江敬三が特によかった。
ヤフーレビューにこの2作のレビューどころかデータもなし。


本来のランキングなら9位に2本選出で10位は空位となるものなのだが、そんなことに頓着せずに第10位も選んでまえ。

第10位.「恋人までの距離」
「6才のボクが、大人になるまで」という6歳の少年を12年間も追い続けたドラマをつくりあげた狂気ともいえる監督リチャード・リンクレイターによる1995年の今作を去年初視聴。若きイーサン・ホークがまあかわいいよね。で、映画はとてもよかったのだが、これには9年後の続編「ビフォア・サンセット」と、さらにそこから9年経った続々編「ビフォア・ミッドナイト」がある、2017年現在3本シリーズなのだが、私的にはこの1作で終わってくれた方が断然よかった。そりゃ今作での二人の行く末を気にはなったけど。あのラストの感じは、ゼッタイに再会しない演出がしてあったと思うんだけどなあ。それにしても辛抱強く登場人物を何年にも渡り描き続けるのが好きなんだね、この監督さんは。なので、4本目もあったりして。
ヤフーレビューでは5点満点中 4.05 点。まともな評価かと。


ということで、2016マイ・ベスト10は、2016年公開作が6本、旧作が4本でした。
正直旧作の4本はおまけに選び出したくらいの感じで、2016年は取り立てて選出するほどの映画が10本もなかったかなあ、という印象でした。

さ、今年ももう桜3月だけれど、いい映画観るぞー、おー、ということで、ではまた。

by wtaiken | 2017-03-22 02:40 | なんでもベスト10

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