実にどうも4ヵ月ぶり!2   

これまでさんざんダークナイトトリロジーを推奨してきたものがクリストファー・ノーラン製作総指揮の「マン・オブ・スティール」をススメる今更感に大層お嘆きの貴兄へとお送りする2013年オススメ映画パート2なのだが、だからって唐突に「体脂肪計タニタの社員食堂」マジ外せないっしょ!なんて腐っても言わないし (すんません、優香ファンの方) 、ダメダメ監督と親バカ男主演映画「アフター・アース」こそ10年に1本のマスターピース!とは拷問を受けても言わないので、結局のところ「まあそんなところですよね」なオススメになることは必定ですが、なにか。

そういえば全米公開まであと1月のカウントダウン状態に入った「マン・オブ・スティール」日本公開が、なんとまあ2ヵ月以上も遅れての、「あと1日しかないじゃーん夏休み」 8月30日というのだからもうビックリです、というかショックです日本のワーナーブラザースさん。
そりゃ76年の全米公開から1年も待たされた「スター・ウォーズ」からすりゃずいぶんとマシだし、てかそんな昔の話持ち出してもだし、私はレンタルで観てまあまあ普通のエンタメ作品程度にしか思えなかった全世界興行収入第2位「アベンジャーズ」もだいぶ遅れての日本公開だったから仕方ないっちゃー仕方ないんだろうけど。こりゃもう先々行特別公開に期待するしかないなと、それくらいはなんとかお願いしたい、是非に。

さて今年期待のオススメ映画、例のJ.J.エイブラムス監督作「スター・トレック イントゥー・ダークネス」は映画館で観るつもりではあるものの、ガテンな連中が巨大建造物を造っていると思いきや引き画のシルエットがまぎれもないエンタープライズ号だったというオチありの「スター・トレック」1作目予告篇や、暴走ライトバンが線路を逆走し貨物列車に正面衝突、大破した残骸の中、"エリア51" と書かれた貨物の頑丈な扉を何者かがいましも突き破ろうとする衝撃的な「SUPER 8」予告篇なんかと比べると、今作はずいぶん正攻法な予告篇で、さして期待感を煽られることもなかったのでここに改めて取り上げることもないなぁと、まあ観たい人はYouTubeでどうぞのスタンスでパスし、他にも3Dで現代に甦る「華麗なるギャツビー」に関しては、74年版の印象がすこぶるよくなかったんだけれど、その悪しき印象のすべてが、とんでもないバカ女にしか思えなかったデイジー役のミア・ファローにあったことを思えば、今作でデイジーを演じるのが "現代のミューズ" キャリー・マリガンなので、こりゃもう問題なくただそれだけで確実に映画館行き決定なんだけど、改めてこの場で紹介するまでもないレオナルドのディカプリオ主演作なので、これも観たい人はYouTubeか公式サイトでどうぞです。
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ちなみに、ってすぐ脱線するが、この「華麗なるギャツビー」の金持ちセレブ、鼻持ちならないデイジーの夫役で出演しているジョエル・エドガートンこそ誰あろう、新スター・ウォーズ3部作エピソード3、タトゥイーンの砂漠で生まれたばかりのルークを抱くオーウェンおじさんを演じていたその人なのだ。
最近でも「遊星からの物体X ファーストコンタクト」だとか「ゼロ・ダーク・サーティ」に出演していた、脇を固めるにはもってこいの、存在感ある味な訳者になってました。
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※ もちろん右側の男


と、そろそろ話を本線に戻し、もったいつけずにとっとと2本目を紹介しますか。というわけで…。
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ヘルボーイシリーズで自らのオタクっぷりを世界中に知らしめ、同2作のそれなりの成功に味をしめ、今作では昭和のジャパニーズ特撮少年らにジャストミートな、よもやの「大怪獣VS巨大ロボット」などという夢のコンセプトを実現させ、ハリウッドの巨額をまさに自分のオタク趣味に炸裂させて大勝負に出た、頓挫しつついまだラヴクラフト原作の南極ホラー「狂気の山脈にて」映画化を画策中のギレルモ・デル・トロ監督作「パシフィック・リム」を、ではではどうぞ。



ロボットは、マジンガーZやモビルスーツより、マシンと人とが一体化するエヴァに近い設定か。
大怪獣の全貌はまだハッキリと視認できないものの、鼻っつらのとんがり具合など、私は大映ガメラ映画のジグラを思い出しました。海からの怪獣、という点でも共通してるし。
それにしても日本と違い”着ぐるみ”という概念がないハリウッド製怪獣の動きは、なまめかしくって不気味ですね、「クローバーフィールド」もそうだったけど。
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※ 博物館に飾られるらしいカイジューの頭蓋骨だそうです。ん?ジグラ、というよりむしろギロン?

日本からは芦田愛菜、菊池凛子が出演。この予告篇をよく見ると、「ダークナイト ライジング」で不当裁判の末「エグザイル!」つーことで薄氷から川へ転落する哀れなストライバー氏も出演しているようです。
そしてギレルモ監督お気に入りの "ヘルボーイ" ロン・パールマンも、丸い黒メガネ姿でチラと予告篇に顔出してます。
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そういえば一時期ジャン・ピエール・ジュネ監督作にもよく出ていて、特に印象的だったのは、全編J.P.ゴルチエ衣装がおしゃれな「ロスト・チルドレン」。赤と白のボーダー姿のロン・パールマンに抱かれて、異形の世界を旅するうるわしの美少女、主役だったジュディット・ヴィッテは、その後たった3本の映画で引退しちゃってるみたいだけど、その後どれほど素敵な女性に成長したんでしょうかねえ。
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※ いたいけな少女と思えない美しさ

そのロン・パールマンもだけど、どうも私はアゴ長の俳優が好きなようだ。
「帝都物語」以降実相寺昭雄との数作に渡るコラボレーションで、こと明智小五郎役者としては意外性も含めて歴代マイ・ベストだった嶋田久作も好きだし、最近お気に入りの前回紹介した "ゾッド将軍" マイケル・シャノンもそういえばプチアゴ長だぞ。
そんな中、私にとってベスト・アゴ長俳優は、昭和の怪優「乗った人より馬は丸顔 (by椿三十郎) 」の伊藤雄之助で、まあとにかく出る作品出る作品怪演のオンパレード、「忍びの者」の百地三太夫、晩年の「太陽を盗んだ男」バスジャック犯、岡本喜八64年作、ヤクザミュージカル映画「ああ爆弾」の主演てのも外せないが、ここは是非次の一本をば番外篇としてオススメしたい。

「しとやかな獣」(1962年) 川島雄三監督
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川島雄三と言えば「幕末太陽傳」こそが代表作とされているが、私にとってはこの一作だけで一番好きな映画監督といえるほどの作品。そしてこの映画と出会ってから20数年来、私の好きな映画の頂点に君臨しつづけている作品。
映画は、とあるアパートの一室をベランダからとらえた定点ショットではじまる。それから約1時間40分間、映画はまるで舞台劇のようにほぼこの一室のみで展開される。
伊藤雄之助が扮するのは、物語の核となる一家の主。そしてその妻山岡久乃とがドアを開けしずしずと舞台 (部屋) に登場。その二人がまるで様式美を体現するがごとく整然と部屋を片付けていくシーンにタイトルとクレジットが重なる。(↑ 上の静止画がそれ)
そしてそこにかかるオープニング曲が、能楽なのだ。
現代のアパートが舞台の映画音楽としてはミスマッチとも思えるが、実はこういうところが天才川島雄三たる所以。つまりどういうことかというと…
これは話が進んでいくとわかることだが、この一家は詐欺師一家。つましいアパート暮らしとはおおよそかけ離れた成金趣味の贅沢品を、客あるたびに隠匿していたというわけ。
もちろんそれを説明する台詞があるわけではない。まるでルーチンワークのようにことを運んでいる様からそれを感じさせ、そして定点カメラの視座とテキパキ無駄のない様式美の所作をして、それを "狂言" ととらえた音楽だったというわけ。
また、映画全体をも「笑劇=狂言」である、といきなり音楽で高らかに宣言もしている。
つまり意味もなく、ただ奇をてらうだけの音楽では決してないということ。

そして件の伊藤雄之助を筆頭に、偽外人ピノサク (!) の日米ごちゃまぜ言語を嬉々と演じる小沢昭一、艶っぽさがこの映画で頂点を極めた感のある若尾文子など出演者もひとりひとり隙がない完璧な演技を披露。シナリオの新藤兼人も傑作のひとつと言える仕事ぶりを発揮し、もちろん監督川島雄三の演出も、アパートの一室を実にフェティッシュにとらえる縦横無尽なカメラワークでスタッフ、キャストの最高の仕事に応えている。
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※ 右端ロングアゴーがもちろん伊藤雄之助。そして茶髪の男がピノサク

とにかくこんなにもモダンな、そしてうん十年たった今でもまったく古びない映画もそうはなく、またこれら先鋭の作品を量産していた60年代映画界の高いハードルを、日本はいまだ超えられていないのが事実だと思う。
天才川島雄三の天才っぷりをじっくり堪能できる傑作、必見です。

というわけで、2013年オススメ映画は正味1本だけで延々長くなってしまった。
四の五の余計な期待はしていないので、とにかく大怪獣、巨大ロボットの暴れる特撮をただただ堪能するつもりの「バシフィック・リム」は、全米7月12日公開、日本は8月9日の夏休み真っただ中に公開予定です。
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では、次のオススメはまた次回。ということで、バイなら、ならイバ。 by斎藤清六。

by wtaiken | 2013-05-18 21:44

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