勝手に赤ペン先生   

シルベスター・スタローン。今更ながらあの暑苦しさったらどうだ。真夏にはなるべく遠慮したい男だが、だからといって秋や冬や春なんかどうですかとすすめられてもホントすいませんけどできれば通年ごめんこうむりたい男NO.1だ。真ん中あたりがスタスタうるさいので、ワンペアで外していっそ「シルベローン」にしたらどうなんだ。
そんなシルベローンの映画に関する記事をなんでまた読む気になったのか、その自分の行動が不可解極まりないとはいえ、うっかり、たまたま目を通してしまった。
それが、なんとも苛立つほどにモタついている記事なのだ。くどいとはこのことだ。シルベローン本人のくどさがこんなところにも影響してしまうのだろうか。
とにかくこれはいくら説明しても仕方ない。かなり長い引用になってしまうが我慢して読んでほしい。
記事は、9月8日づけでYahoo!エンターテイメントニュースに記載されていた

「スタローン自らが『ランボー5』のストーリーをリーク!ランボーが殺人マシーンを退治する!」

という目出しが踊る、以下が全文だ。
ちなみに下線は私、会田による。

「先日、シリーズ4作目『ランボー/最後の戦場』に続く『ランボー』のシリーズ5作目が製作されると正式発表され、一部業界紙でストーリーが報じられたが実際の物語は違ったようだ。

 『ランボー』のシリーズ5作目で再び主演を務め、メガホンも取ることが決まっているシルヴェスター・スタローンが映画サイトAin’t It Cool Newsに対してボイスメールで語ったところによると、先日報じられた「少女を助けるためにランボーが人身売買と麻薬王と戦う」というストーリーは間違いで、シリーズ5作目はこれまでの『ランボー』シリーズとは異なったジャンルに挑戦することになるとのこと。『ランボー』シリーズといえばスタローン演じるベトナム戦争の帰還兵ランボーを主人公にしたアクション映画だが、シリーズ5作目は漫画的なアプローチのSFアクション映画にしようと考えているそうだ。ストーリーは、アメリカの軍事施設で「良心の呵責(かしゃく)なしに本能的に殺人を行う兵士」を生み出す実験が行われていたが、実験が思わぬ方向へ進んでしまったために特殊部隊とともにランボーが実験で生まれた殺人マシーンを狩る展開で、舞台はパシフィック・ノースウエスト(太平洋岸北西部)の森となる。

 また、シリーズ5作目は『ランボーV:ザ・サベージ・ハント(野蛮な狩り)』(原題)というタイトルになることも明らかにされ、9月10日から開催されるトロント国際映画祭で公開されると思われるシリーズ5作目の初期画像も明らかにされた。画像では剣鉈のような大きな武器を左手に持ち、左腕から血を流している荒々しいランボーが中央に立ち、その背後に熊か狼のような鋭い牙を持った獣の恐ろしい目がみつめているという構図で、ホラー映画のような印象だ。

 シリーズ5作目は、ジェイムズ・バイロン・ハギンズのサバイバル・アクション小説「極北のハンター」をおおまかに脚色して製作されるといわれており、スタローンの友人であるアーノルド・シュワルツェネッガーが主演した映画『プレデター』のような映画になることが予想される。シリーズ5作目の撮影は来年春頃から開始される見込みで、SFジャンルに踏み込んだ新しい『ランボー』の公開が楽しみだ。」

なにが楽しみなもんかい、という個人的な見解はひとまずおいて、さらシル"ベ"スター"じゃなくてシル"ヴェ"スターだったのかということもさておき、とにかく下線部にだけ注目していただきたい。
なんだいこれは。もうわかったよう「シリーズ5作目」の話だってことは。まったくまさかの「シリーズ5作目」8連発だ。
これは決して丁寧な描写とは言えない、そして刷り込み効果を狙ったとも思えない、この文章のしどろもどろぶりは、さすがは暑苦しいことにかけては引けを取らないシルベローンだ、記事まで読むものをイライラさせてくれる。読んだのが真夏日でなくてホントよかったよ。
がしかし、この文章のくどさはどうにかしたい。だいぶこのところ涼しくなってきましたからねと、黙って見過ごせるレベルの問題ではないだろう。
私は文章のエキスパードでもパートタイムラバーでもなんでもないし、なにもそんなことにいちいち目くじらをたてずに捨ておけばいいものを、このまま放置してはダメだと思った。書いた本人ではもちろんないが、こんなことではシルベローンのためにならない。あの筋肉バカを思えばこそだ。
そして私はこの記事に勝手に手を入れることにしたのだ。そう、勝手に赤ペン先生なのだ。直すぞ、直してやるこのシルベやろう。

ということで、またまた長いことになるが、上記オリジナル記事と比べて読んで欲しい。隣りに新規ウインドウを立ち上げて並べてみると、修正が一目瞭然のはずだ。
やかましいくらいに繰り返される「シリーズ5作目」という言葉を省くことに注力し、若干文章の入替を行った結果が以下である。ちなみに使われている言葉にはほとんど手を加えていない。

「先日、シリーズ4作目『ランボー/最後の戦場』に続く『ランボー』のシリーズ5作目が製作されると正式発表され、一部業界紙でストーリーが報じられたが実際の物語は違ったようだ。

『ランボー』シリーズといえばスタローン演じるベトナム戦争の帰還兵ランボーを主人公にしたアクション映画だが、シリーズ5作目では、先日報じられた「少女を助けるためにランボーが人身売買と麻薬王と戦う」というストーリーは間違いで、これまでの『ランボー』シリーズとは異なったジャンルに挑戦、漫画的なアプローチのSFアクション映画にしようと考えていると、再び主演を務め、メガホンも取ることが決まっているシルヴェスター・スタローンが映画サイトAin’t It Cool Newsに対してボイスメールで語った。
ストーリーは、アメリカの軍事施設で「良心の呵責(かしゃく)なしに本能的に殺人を行う兵士」を生み出す実験が行われていたが、実験が思わぬ方向へ進んでしまったために特殊部隊とともにランボーが実験で生まれた殺人マシーンを狩る展開で、舞台はパシフィック・ノースウエスト(太平洋岸北西部)の森となる。

 また、『ランボーV:ザ・サベージ・ハント(野蛮な狩り)』(原題)というタイトルになることも決定し、9月10日から開催されるトロント国際映画祭で公開されると思われる初期画像も明らかにされた。画像では剣鉈のような大きな武器を左手に持ち、左腕から血を流している荒々しいランボーが中央に立ち、その背後に熊か狼のような鋭い牙を持った獣の恐ろしい目がみつめているという構図で、ホラー映画のような印象だ。

 シリーズ5作目は、ジェイムズ・バイロン・ハギンズのサバイバル・アクション小説「極北のハンター」をおおまかに脚色して製作されるといわれており、スタローンの友人であるアーノルド・シュワルツェネッガーが主演した映画『プレデター』のような映画になることが予想される。撮影は来年春頃から開始される見込みで、SFジャンルに踏み込んだ新しい『ランボー』の公開が楽しみだ。」

どうだろうか。だいぶスッキリとした印象を受けないだろうか。筋肉質40%ほどカットされたスリムなシルベローンのようではないだろうか。
これはわずか数分間程度の手直しだ。それでくどかった8回の「シリーズ5作目」が、わずか3回に減らせてしまう。この文章量からすると、妥当な数値であろう。

しかしどうもしっくりこない。面倒くさいところだが、我慢してもう一度バージョン2を読んでほしい。この記事の抱える、そもそもの問題に気づくはずだ。
まずこの記事は、ストーリーについて噂の否定から導入する。そして軽く真相に触れすぐさまストーリーの紹介、とここまではよしとするが問題はここからだ。今度は公開されたスチルの印象をはさみ、そして締めくくりでまた内容についての概要と予想がされている。つまり話題の組み立てがとり散らかっている。だからこそ、あまりにも余計な「シリーズ5作目」を謳わなければならなくなったという問題点の根幹が、これで浮き彫りにされてきたのだ。

ならば勝手に「勝手に赤ペン先生」を名乗るからにはここで終わってしまっては片手落ちのそしりを受けかねないだろう。さらに修正してみようと思う。
再び段落を入れ替えるなどして構成を改め、スムーズに流れるように心がけた結果が以下だ。くどいようだが、隣りにオリジナルを、その隣りにバージョン2を並べ、比べつつ読んでいただきたい。

「先日、シリーズ4作目『ランボー/最後の戦場』に続く『ランボー』のシリーズ5作目が製作されると正式発表され、一部業界紙でストーリーが報じられたが実際の物語は違ったようだ。

『ランボー』シリーズといえばスタローン演じるベトナム戦争の帰還兵ランボーを主人公にしたアクション映画だが、シリーズ5作目では、先日報じられた「少女を助けるためにランボーが人身売買と麻薬王と戦う」というストーリーは間違いで、これまでの『ランボー』シリーズとは異なったジャンルに挑戦、漫画的なアプローチのSFアクション映画にしようと考えていると、再び主演を務め、メガホンも取ることが決まっているシルヴェスター・スタローンが映画サイトAin’t It Cool Newsに対してボイスメールで語った。

タイトルは『ランボーV:ザ・サベージ・ハント(野蛮な狩り)』(原題)になることも明らかにされ、ジェイムズ・バイロン・ハギンズのサバイバル・アクション小説「極北のハンター」をおおまかに脚色して製作されるといわれており、スタローンの友人であるアーノルド・シュワルツェネッガーが主演した映画『プレデター』のような映画になることが予想される。
ストーリーは、アメリカの軍事施設で「良心の呵責(かしゃく)なしに本能的に殺人を行う兵士」を生み出す実験が行われていたが、実験が思わぬ方向へ進んでしまったために特殊部隊とともにランボーが実験で生まれた殺人マシーンを狩る展開で、舞台はパシフィック・ノースウエスト(太平洋岸北西部)の森となる。

 さらに9月10日から開催されるトロント国際映画祭で公開されると思われる初期画像も明らかにされ、その画像では剣鉈のような大きな武器を左手に持ち、左腕から血を流している荒々しいランボーが中央に立ち、その背後に熊か狼のような鋭い牙を持った獣の恐ろしい目がみつめているという構図で、ホラー映画のような印象だ。

撮影は来年春頃から開始される見込みで、SFジャンルに踏み込んだ新しい『ランボー』の公開が楽しみだ。」

どうか。オリジナルで8回も繰り返された「シリーズ5作目」が、構成に手を入れ話題を整理することによって、ついに2つにまで減らすことに成功した。
こうなると人間は欲がでてくるものだが、よし「シリーズ5作目」を1つしてしまえ、いやいっそ一言も触れない、そしたらスタローンの名前もいらない、考えてみればこの話題自体がいらない、という結論に達してしまうから、やはりこの辺りが順当におさまりのいいところなのだろう。
「シリーズ5作目」が8回連呼されるオリジナルでもあきたらず、もっとだもっと連呼しろと感じていた「シリーズ5作目」フェチにとっては本当に余計な作業であったろうが。

なにかひと仕事終えたような、とっても清々しい心持ちだ。タバコを吸っちゃおうかな。いやしかし本来の私の仕事は、休日などおかまいなく目の前に山積みだ。清々しさに浸っている場合ではなかった。
それでも私は宣言したい。これからも仕事がどれほど停滞しようとも、目に余るひどい文章は、勝手に赤ペン先生が勝手に直しちゃうから。

しかし改めて読み返してみると、むしろくどいのは、こんなことに執着しているお前だろって、人に突っ込まれる前にそう思った。

by wtaiken | 2009-09-14 02:22

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