2年に1度が、(今度ばかりは?) 3年に1度のノーラン祭りじゃ の、その1   

"戦争スリラー"だとか 、ドイツ軍包囲網による総攻撃が刻々と迫る "タイム・サスペンス" などと称されている第二次世界大戦時の撤退作戦実話の映画「ダンケルク」が、いよいよ来週の21日北米公開に向け、あれこれクリストファー・ノーラン絡みの記事が散見されるようになりました。
これまでは大概1作につき2年おいていた製作期間が、2014年の「インターステラー」から3年を要し新作公開ということで、一部ファンの間ではおそらくノーラン祭り状態になっているだろうことで、2008年「ダークナイト」の昔から、当ブログでノーラン愛を標榜してきた身としては、これに乗らない手はもちろんないわけで、そんなわけで日本公開の9月9日に向けまだチト、カウントダウンには早いけれど、ぼちぼち盛り上がっていこうかな、と。

まずはプレス向けに行われた試写の、映画評のまとめられたサイトがこちらに。
https://oriver.style/cinema/dunkirk-early-reviews/

※ なんか私の古いブラウザだとブログ機能が対応しなくなったので、写真ひとつ貼り込めないうえリンクもできなくなってる...というわけで不自由かけますが、上記URLをコピペして訪問してみてください

面倒くさい人のために記事をかいつまむとー

「最初からラスト1秒までスリリング」「開始30秒で引き込む」「ノーランが現代最高の映画監督のひとりであることを証明した1作」「IMAX70ミリで観るべし!」「ノーランとハンス・ジマー (音楽) の見事なコラボレーション」「説明セリフを排した映画」「トム・ハーディ、セリフ10個のみ!」「(ワン・ダイレクションの) ハリー・スタイルズの演技は心配しなくていい」云々...
とまあこんな調子。おおむね好評というところだろうし、プレス試写の段階ではよっぽどの作品でない限り酷評はされないだろうしね。
評価がある程度定まるのは当然公開されてみないとですが、ノーランファンの方々、やっぱし期待してもいいみたいですよ、今作も!

「ダンケルク」評、続報を待ちましょう。


つづいて「ダークナイト」絡みのニュースを。

ダークナイト・トリロジーがホーム視聴用に4Kリストア作業が進行中であるという噂をノーラン監督自らインタビューで認め、まだ製作の途中であることや、この3作品のみならず過去のフィルモグラフィーすべてに取りかかっているとのこと。
ちなみに私たち日本人が一番大きく一番高精細で観ているつもりのデジタルIMAXでは画質はたったの2K! どまり。もちろん自宅のハードが4K対応されていないという根本に関わる問題があるにせよ、4Kリストア版のリリースは待ち遠しいことに変わりない。潔癖なノーラン監督のことだから劇場公開版に手を加えるなんてことはしなかろうが、それでもさらに長尺な、もっとヒース・ジョーカー、アン・キャットウーマン観てぇ!的な、ディレクターズカット版に期待したいところ。
私の勝手な根も葉もない予想だと、「ダークナイト」公開10周年の来年には、まずトリロジー3作がリリースされるんじゃないかと。「バットマン ビギンズ」10周年でないところがミソだが。

さて「ダンケルク」の評にも関わることなんだが、いまの日本では、IMAX撮影の多いノーラン作品の視聴には最適とされるIMAX70ミリフィルムを観られる映画館はただの1館もありません。斜陽などといわれてかれこれ数十年も経っているこの国の映画界では、人件的な見地からもますます進むデジタル化の波にフィルム上映館は駆逐されつつあり、すべてにおいてお金のかかる70ミリフィルム上映館なんて夢のまた夢、ニッポンじゃどだい無理な話。
※記事の最後に、「ダンケルク」の1コマでのフォーマット比較画像貼付けました。なんでか途中に画像が入らないのも、これまたブラウザのため...

致し方なくなのか、知らず知らずのうちになのか、日本に住む私たちが観ているデジタルIMAXは上記のように2Kであるばかりか、IMAX70ミリで観られる画角の、なんと上下40%もカットされているという事実を、映画好きなんて公言している私ですらごく最近知った次第。おそらくよっぽど興味をもって調べていないとそんなこと気にしちゃいないよね、一般的な映画好きは。でも私はノーラン好き...それくらいは知っておかないと、でしたが。

で、なんとかそのIMAX70ミリフィルムに辛うじて近しい画角で観られるのが "次世代IMAX" と称されるIMAX with LASERというやつで、それを国内で唯一導入しているのが大阪エキスポシティ。
だから大阪まで出向けない人は、池袋シネコンIMAXレーザーシアターの2019年開業を待ち、おそらくは行われるだろうオーブニングのスペシャル興行、もしくは次の次のノーラン新作公開に合わせたリバイバル上映を只管に待ち、ひとまず今回の「ダンケルク」は涙を飲むか。大阪か涙で堪えるのか、2つにひとつの選択を私たち東日本のノーランファンは迫られるわけですが、ここはもう祭りなんだから、ええい行ってまえ!大阪! と私なんかは豪気に行きたいところ。が、現実的には涙をゴキュゴキュ飲むことになるだろうねえ。

てなことで、「ダンケルク」、またなにか動きがあったら更新します。ではまた。



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# by wtaiken | 2017-07-14 15:40

ダンケルク5分映像、観られます   

まあ単刀直入に言うと、表題の通りです。

「ダンケルク」9月9日の公開までまだまだたっぷり2月もあるこの的外れな時期に、T・ジョイPRINCE品川で (それと桜木町の横浜ブルク13でも) 行われているクリストファー・ノーラン特集を、昨日の「インセプション」に続き、本日は「インターステラー」を観てきたところなんだけど、おそらくはアタッチされるだろうと十中八九踏んでいた「ダンケルク」の5分版予告は、本編開始前しっかりと無事に放映されてました。

「インセプション」も「インターステラー」も公開年以来の映画館鑑賞だし、もちろんそれありきではあるものの、正直その「ダンケルク」5分映像のために映画鑑賞料を払ったと言っても過言ではないくらい、そりゃやっぱり未見のノーラン映像の方に魅力があるわけで、ただしこの5分版予告公開前に噂されていた「冒頭5分の映像」ではなく、本編中の緊迫感のある5分間を切り出した予告篇であり、まるで無限音階のように時計を刻む音が無限に加速し続ける音楽に嫌がうえにも緊張感は高まり、さあこのあとどうなる!という絶妙のタイミングでスパッと5分間が終わる、前回の記事で書いた、いまひとつ盛り上がらないこれまでの3本の予告篇で観られた映像の一部が全長版で観ることが出来ただけのことなんだけど、いやー、IMAXスクリーンを活かした迫力の映像に思わず「お、おおー...」と感嘆の深いため息が漏れるほど。そして「ダークナイト ライジング」のベイン以来の、どうやら今回も戦闘機パイロットとしてほぼマスク姿となりそうなトムハ (トム・ハーディ) 隊長の、眼力が凄まじくもしびれるくらいにカッコいいのだからもう必見よ。この5分予告篇、黒オチで終わりかと思いきやのあとのトム・ハーディおまけも緊張感のあとの緩和でクスッと笑えてこれまたいいし。

7年前と3年前の映画のレビューなんて今更だし、当時当ブログでしっかり書いてきているので繰り返しもどうかと思いつつ、新しい読者の方のために本編2作の感想をかいつまんでおくとー

「インセプション」はやっぱりストーリーの根幹に関わる問題点、つまり雇い主のサイトーは外したケイパーチームのコブ以外のメンバーたちの、ミッションにかける切実なモチベーションの欠落が作戦の成か否かのサスペンスを生めなくしているという、この映画の最大の弱点は初見の感想から変わることがないし、どこかで「所詮夢の話」という冷めた見方をしてしまっているところもなくはなく、とはいえ穴だらけのくせにラストに感動してしまう「ダークナイト ライジング」に代表される、"ノーランの終わりよければすべてよし" なエンディングが、この映画でもやっぱり抜群なのは再認識できた。
作品全体としては5つ星中3.5ってところが妥当だと思うんだけど、コプのトーテムは回り続けるのか倒れるのか、夢か現実かで当時あちこちで意見が交換されたラストカットの、よろっとよろめいての、立て直してまだ回るのか、おいどっちなんだと思った瞬間にスパッと映画を終わらせる絶妙なタイミングは、やっぱり何度見てもニンマリしてしまう。
ただしIMAXの巨大スクリーン映えするカットは、思いのほかなかったかな。
それかあらぬか改めてこの映画に感じたのは、この作品以降「...ライジング」や「インターステラー」に見られる堂々たるブロックバスターな大作然とした作風よりは、なぜかこじんまりとした「メメント」あたりに通じるセンス一発の小品ぽく思えた点。フランスや雪山、中東? はたまた日本のどこかの海岸? と壮大にロケーションしているわりに全体が狭い世界の中で完結しているように観えてしまうのは、それが個人の頭の中の世界、ビジョンだからなのか。どこがどうと的確に指摘できない、あくまで感覚的なところなんだけど。

一方「インターステラー」は、公開年以降ブルーレイにて自宅視聴してきた私としては、やっぱ映画は映画館で観るもの、IMAX撮影された映画はIMAXスクリーンで観るもの、という思いを新たにしたくらい、宇宙空間の映像の美しさ、迫力、音響の圧倒性を久々に満喫・堪能できて大満足、自宅でしか観たことのない人や、ましてやスマホでしか観てない人は、四の五の言わずにいいから品川か桜木町へ行きなさいと強くオススメしておきます。是非ともこの体感すべき映画を。金曜までやってます。

ということで、桜木町では10時「インターステラー」18時20分「インセプション」と品川とテレコ上演になっているので、仕事をさぼって横浜で観るもよし、仕事を早めに切り上げて18時20分までに品川に駆けつけるもよし、とにかくあと3日、「ダンケルク」5分予告と併せて「インターステラー」を!

ちなみに品川18時20分の「インターステラー」はかなり女性客が多く目立ってました。これまでノーラン作品って映画館は映画好きの男ばっかという印象だったので、こりゃ地道に女性ファンも取り込んできたのかも、なんて思ったり。

最後に「ダンケルク」の最新情報を。北米7月21日公開まで1ヵ月をきって、ついに「ダンケルク」の上演時間が判明! その時間、なんとの驚きの1時間47分!いまどきのブロックバスターで2時間を切るなんてちょっと希有なことなんでビックリです。このところノーラン作品は1作毎に上演時間の延びていたところにきて、「インターステラー」の169分から107分という、随分と思い切りショートカットしてきたもんだよ。3年も待った新作なんだからもっとだよ、もっと観せろ!とも言いたくなるが、凝縮された濃厚で贅沢な107分なのかもしれない。

いずれにせよ5分予告を観ると、期待感一気にアガるよ。最後の最後に、こういったときの常套句を。「9月まで待ちきれない!」

# by wtaiken | 2017-06-28 00:26

3ヵ月ぶりとかになってしまい...   

いつものことながら、ブランクがありすぎるというか...

その間に、「前略おふくろ様」以来の、どころかその半期前の (はずの) フジ制作ドラマ若尾文子演ずる死んだ奥さんが残された無精な夫 (藤田まこと) を気にかけなにかと幽霊となって現れてはちょっかいを出すコメディー「あなただけ今晩は」...より遡ること数年前の、当時確か私と同じくらいの小学低学年の子供が不治の病にかかってしまい、朝起きておしっこしたときの「お父さん、ぼく、いま真っ赤なおしっこが出たよ」というセリフがあまりにもショッキングだった「君は海を見たか」以来の、つまりかれこれ40数年来の、この歳にしては "生粋の" と表現してもよさそうなファンであるところの倉本聰新作ドラマが4月改変期からはじまってい、お昼にのんびりテレビでも観ているようなシルバー層をターゲットにした昼帯ドラマ「やすらぎの郷」のことなんかもあれこれ書きたかったし、4月だったかに再放送されたNHKドラマ、現状横溝正史原作の金田一耕助ものとしては最新の映像化である「獄門島」、その長谷川博己演じる新しい金田一像があまりにもネット民の批判対象となっているので、ある意味援護的なドラマ評を、市川崑の映画および古谷一行・金田一の1977年「横溝正史シリーズ」などと照らし合わせつつ書きたかったのだが、久しぶりの更新となる本日はリハビリととらえ、結構根をつめて書かなければならなそうなそれら案件は差し置いて、やっぱりそうきたかの映画の話題でご機嫌でも伺おうかと。

さて、もうかれこれ1年も前になるだろうか、ティザー予告が公開されて以降、これまでに予告篇が計3本、そのどれもが観ていてどうも今ひとつな印象しか残らない、クリストファー・ノーラン史上初の「あんましワクワクさせてくれない」予告篇ばかりだからこそむしろ本編に期待出来るのではないかと、つまりこのところDCコミック映画にありがちな "予告篇詐欺的" なものとは真逆のことがファンの間ではささやかれもしている第二次世界大戦中の史実「逃げるが勝ち!」な大撤退作戦「ダンケルクの戦い」を描く、タイトルもズバリな「ダンケルク」の公開がいよいよ迫りつつある中、いまのところ "国内最大級" というふれこみの、2019年には次世代IMAXレーザーシアターが杮落される予定の池袋に追い抜かれるまでは、もう成田にはいかずにここしかないでしょな駅前IMAX、電車降りてなんなら5分強で巨大スクリーンに対峙できるアクセスの良いT・ジョイPRINCE品川にて、9月9日公開なので一足も二足も早い感が否めない「公開記念」のクリストファー・ノーラン特集が組まれ、本日24日から翌週30日金曜日まで、「インセブション」と「インターステラー」の2本が期間限定公開ですぞ、みなさん! なのでした。( いやあ我ながら1文が長い長い、息つぐ間がありゃしない。) 映画館としては一年の中でももっとも稼ぎ頭な、ブロッグバスター映画がこれから目白押しな夏興業前の、ちょうどここしかIMAXが空かなかったってことなんでしょうね。
本気の公開記念リバイバルなら、公開日9月9日へのカウントダウン的な直近1週間前にすればより「ダンケルク」が盛り上がるはずなんだけど、そのあたりがなんだかんだいってまだまだ一般的に認知度が低い監督ってことなんだろうし、私には意外なほど一般的には、映画監督にこだわって映画を観る観客が少ないってことでもあるんてだろうな。

両作品共に1日1興業。IMAXとはいえリバイバルなので1300円。おトクだし何十回とテレビ画面で観るより断然価値があるので、ホント映画館で見逃している東京人はこの機会に是非。「インセプション」は朝イチ10時から、そして「インターステラー」は18時20分から。
おそらく2012年公開当時はそれぞれの都合で見送っていたところ、後追いでソフト視聴をし痛く感動の末「ああ映画館で観ておけば良かった」といった後悔民が "待ってました" とばかりに詰めかけるのか、私みたいなリピーターが、まあ上下相当な比率の映像がカットされてしまいはするものの、国内最大級のデジタルIMAXで再視聴するつもりなのか、「インターステラー」は、24日分、かなり埋まってきています。翌日曜の分も。連日18時20分からの興業なので、平日も「インターステラー」の方は盛況になるかもね。3時間の映画なので、終演がなんと21時20分。結構遅くなるので、お気をつけ遊ばせ。

実は3月に公開されていた「キング・コング : 髑髏島の巨神」の予告篇枠で、本国アメリカでは「ローグ・ワン」フィルム上映館でのみアタッチされていたらしい「ダンケルク」冒頭5分間のプロローグ映像が、当品川IMAXと二子玉川のみで限定公開されていたらしいんだけど事前情報が入らず、しかもこのコング、私その品川IMAXで観ているのにも関わらず朝イチ興業だからアタッチされなかったのか、あるいは開始ギリギリの駆け込みだったから時既に遅しだったのか、いずれにせよ見逃していた、観た人らのネット評でのハンパない臨場感らしいそのフッテージを、そんなもんあと少しで公開なんだから待てばいいんだろうけど、今回のリバイバル上映では観られるんじゃないでしょうかねえ、と期待。

そういえば4月に、映画館では久しぶりのリバイバル「ダークナイト」を有楽町のピカデリーで観たんだけど、(not IMAX) さすがに観すぎで途中眠くなっちゃいました。
「インセプション」は公開時に劇場視聴は1回、その後ソフト視聴は2.3回程度というごく常識的な視聴回数だと自ら認識しているけど、「インターステラー」に至ってはちょっと数えきれないくらいこれまでに観てい、その都度感動を新たにしているんだけど、IMAXで観るのは2012年の公開以来。
「ダンケルク」冒頭5分映像のこともあるし、両作の鑑賞報告は来週に!

ではまた近々に。

# by wtaiken | 2017-06-24 03:26

傷だらけの天使ファンに朗報   

週に4話、だから6週間強をもって3月に無事放送が終了したBS12の「傷だらけの天使」。まだその多くを録画しっぱなしのままに、後半10話ほどをDVD-BOX購入以来だから実に15年ぶりに観たのだったが、やっぱりよかったね。
その後半だけをピックアップして観ると、労使関係などどこ吹く風の、ショーケン、水谷豊、岸田森のコントのごときトリオ・アンサンブルがノっていて、たとえば第22話「くちなしの花に別れのバラードを」では、篠ヒロコ扮する華道家元葉子にフラれた修と辰巳が亨を彼女に見立てて踊るフォークダンスの物悲しいやらバカバカしいやらのシークエンスが、到底エピローグとは言い難いくらいにたっぷりそこに時間が割けられているし、第23話「母の胸に悲しみの眠りを」では、冒頭喰うに食えない飢えたショーケンの演技がメイクとともに最高におかしく、明らかに岸田森は役を離れて笑いを堪えているのに必死なところが、今回のデジタル放送でよくわかったくらい、もはや台本を離れ好き勝手にやっている感じすらしてくる。そんなお祭騒ぎの喧噪から、一気にそれぞれが孤独を味わうことになる最終回は、今更持ち上げることもないくらい傑作中の傑作であり、私なんぞ久しぶりに観たその日一日は、「傷だらけの天使」ロスで仕事が手につかないくらいだったよ、何度観ようとも。メインレギュラーのほとんど全員が孤独の中で終わりを迎える最終回に相応しい挿入歌デイヴ平尾の「一人」を含め、各ショットの適確なアングル、亨が死んだところで聞こえる電車の発車ベルなどの音設計、ドラム缶を下ろしたショーケンの肩をいからせて夢の島から走り去るその姿の完璧なところ...もう語り出したらキリがないくらい、なにもかもが神がかり的な終わり方だと思う。
とにかく詳しくはどこかでじっくり語りたい、誰がいつから言い出したのか知らないが、個人的には決して "傷天" とは略したくない「傷だらけの天使」、実はBS12で早くもリピート放送が決定して、今度は日曜夜9時から週一放送だそうです。第1話を取り逃がしたので、また今度は最初から全話観るつもりなんですが、なにより喜ばしいのが、紙媒体以外では珍しくショーケンが語ったインタビュー番組も本日夜9時より再放送です!

「傷だらけの天使」、「前略おふくろ様」DVD-BOXの特典には一切顔を出さず、それら大ヒットドラマに限らず、なかなか顔を出してのインタビューで自作を語ることのなかったショーケンが、わずかに30分とはいえ、おそらく新鮮味のある話も少なかろうですが、やっぱりこれは貴重です。
願わくば、プライベートではつながっているようなのに、ドラマ・映画での再競演は未だ適わない水谷豊とのツーショットが実現したら、ちょっと歴史的な大事件だったのになあ。

そりゃBS日テレじゃないんだから、そのままショーケンドラマ枠になることなく、BS12の後番組渥美清の「泣いてたまるか」もわずか数話で終了したけど、1月とあけずにリピート放送が叶うなんて、やっぱり今だ "伝説" という冠は不滅でしたね。
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# by wtaiken | 2017-04-01 23:37

続・2016年鑑賞映画トップ10   

日を跨いでしまったので、「続」というこで。ちょうど半分の第6位から。


第6位.「新婚道中記」
スクリューボール・コメディが総じて面白いわけではもちろんないが、なにも考えずに楽しめるこの頃の映画はつくづくいいものだなあ、と。ケイリー・グライトとアイリーン・ダンの、スマートで上品なコメディアン、コメディアンヌっぷりが最高の一本。と、書いてみたところで、この映画を観た昨年の10月時点の、2016年の10指に入るほどに感じ入った半年前の感懐を今やすっかり失念してしまい、通り一遍の劇評しかできないのだったが、傑作には間違いないので、オススメします。
ヤフーレビューでは5点満点中 4.60 点。評価数が少ないというのもありますが、さすがに高得点。


第7位.「郵便配達は二度ベルを鳴らす」
確かヴィスコンティ作のものも、ジャック・ニコルソン & ジェシカ・ラング主演81年作も観ているはずなんだが、なんの印象もタイトルの意味するところもまったく憶えちゃいないのだ。で、なんでまた同原作映画を観ることにしたのそれすらも憶えていないが、今作はもうよろめく人妻役のラナ・ターナーが、バツグンによかった。劇中の「これまでに何人の男にくどかれたね?」という男の問いに「私を見てプロポーズしなかった男なんて1人もいなかったわ」なんていう豪語もさもありなんの美しさにうっとり。ようやくここにこの物語の概要と、タイトルの意味するところを理解できたのだが、そもそも3度も映画化されるほどの内容かねえ、これ。と批判しつつも、ラナ・ターナーただの1人で2016年の10指に堂々のランクインです。
ヤフーレビューでは5点満点中 3.60 点。多の2本より微妙ながらも評価高し。


第8位.「ドント・ブリーズ」
実はこれ、「ローグワン」のモヤモヤ気分を解消してくれるのはきっとこの一作だろうと期待を込めて2016年末に観に行くつもりだったものがズレにズレ込んでの17年1月19日に観たので、2016年トップ10にはランクインすべき映画ではないのだが、今2017年末の10本を決める時にはおそらくこの映画を楽しんだ感情も薄れてしまいランク外になるんじゃないかと踏んで、「16年に観るつもりだった」この映画を特別枠として入れてみました。
すべてが適確な演出に裏打ちされてい、終始ニンマリ顔で鑑賞。プロットは簡潔、金欲しさに盗みに押し入った若者らが盲目の男の家という密室で遭遇する恐怖の連続、「あのセリフはそういう意味だったのかよぉ」な、よもやの展開、生き延びた1人がその密室たる家から這々の体で逃げ延びて "外に出てしまえばいくらなんでも追って来れまい" と、まさにひと安心する暇を寸分も与えてくれないワンちゃんをスッと出す狂いのない演出、希望に満ちた西海岸へ向かうはずの空港ロビーが異常なほどくっきりと影を落していてバッドエンドにすら思えるラスト、そしてエンドロール、「ああここではあんなこともあったよねえ」の無人カーテンコールというアフターサービス。これまた最高の一本でした。
ただひとつもったいないのは、盲目の老人、もっと視覚以外の感覚が研ぎすまされているのかと思いきや、若者のぎりぎりを霞め通っても人の気配や体臭すらも感じない、案外ぼんくらなんじゃないかとも思えてしまうという設定が如何なものかと。冒頭主役の女がたばこを吸っているという描写に、これは断然のちのち効いてくる設定なんだろうと思っていたら、なんの伏線でもなかったし。そういう怖さも積み重なっていたら、もっと上位だったかも。
あ、ちなみに本日22日ソフト発売日なんだそうです。レンタルも昨晩から並んでいるのかな? 観て損はないです、てか本当に面白い映画なので、是非。
ヤフーレビューでは5点満点中 3.72 点。意外と評価が低いなあ。



第9位.「生贄夫人」あるいは「花心の刺青 熟れた壷」
神代辰巳一辺倒だった日活ロマンポルノから大きく開眼した2016年、その神代とは違うベクトルで強烈だったのが小沼勝の谷ナオミもの。神代の撮る谷ナオミにエロスはほとんど感じなかったけど、小沼勝の、肌に密着して舐めまわすかのようなアップショットはエロ大炸裂です。
神代のロマンポルノ監督作では、なんの情報もなく手にとったのがいきなり「女地獄」だったし、小沼監督作もまず「生贄夫人」からだったりし、私は強烈な一作を嗅ぎ分ける鼻が利くのかも。脚本は「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」の田中陽造。田中陽造にハズレなし。のちのちの情報でみうらじゅんのウィタ・セクスアリスがこの「生贄夫人」なんだとか。氏の監修による「永遠のSM女優 谷ナオミ」写真集まで買っちゃいました。
ついでに、というか甲乙つけ難く同位にした「花心の刺青」もまた強烈なヘンタイものでしたが、ストイックな彫師蟹江敬三が特によかった。
ヤフーレビューにこの2作のレビューどころかデータもなし。


本来のランキングなら9位に2本選出で10位は空位となるものなのだが、そんなことに頓着せずに第10位も選んでまえ。

第10位.「恋人までの距離」
「6才のボクが、大人になるまで」という6歳の少年を12年間も追い続けたドラマをつくりあげた狂気ともいえる監督リチャード・リンクレイターによる1995年の今作を去年初視聴。若きイーサン・ホークがまあかわいいよね。で、映画はとてもよかったのだが、これには9年後の続編「ビフォア・サンセット」と、さらにそこから9年経った続々編「ビフォア・ミッドナイト」がある、2017年現在3本シリーズなのだが、私的にはこの1作で終わってくれた方が断然よかった。そりゃ今作での二人の行く末を気にはなったけど。あのラストの感じは、ゼッタイに再会しない演出がしてあったと思うんだけどなあ。それにしても辛抱強く登場人物を何年にも渡り描き続けるのが好きなんだね、この監督さんは。なので、4本目もあったりして。
ヤフーレビューでは5点満点中 4.05 点。まともな評価かと。


ということで、2016マイ・ベスト10は、2016年公開作が6本、旧作が4本でした。
正直旧作の4本はおまけに選び出したくらいの感じで、2016年は取り立てて選出するほどの映画が10本もなかったかなあ、という印象でした。

さ、今年ももう桜3月だけれど、いい映画観るぞー、おー、ということで、ではまた。

# by wtaiken | 2017-03-22 02:40 | なんでもベスト10