カテゴリ:なんでもベスト10( 13 )   

続・2016年鑑賞映画トップ10   

日を跨いでしまったので、「続」というこで。ちょうど半分の第6位から。


第6位.「新婚道中記」
スクリューボール・コメディが総じて面白いわけではもちろんないが、なにも考えずに楽しめるこの頃の映画はつくづくいいものだなあ、と。ケイリー・グライトとアイリーン・ダンの、スマートで上品なコメディアン、コメディアンヌっぷりが最高の一本。と、書いてみたところで、この映画を観た昨年の10月時点の、2016年の10指に入るほどに感じ入った半年前の感懐を今やすっかり失念してしまい、通り一遍の劇評しかできないのだったが、傑作には間違いないので、オススメします。
ヤフーレビューでは5点満点中 4.60 点。評価数が少ないというのもありますが、さすがに高得点。


第7位.「郵便配達は二度ベルを鳴らす」
確かヴィスコンティ作のものも、ジャック・ニコルソン & ジェシカ・ラング主演81年作も観ているはずなんだが、なんの印象もタイトルの意味するところもまったく憶えちゃいないのだ。で、なんでまた同原作映画を観ることにしたのそれすらも憶えていないが、今作はもうよろめく人妻役のラナ・ターナーが、バツグンによかった。劇中の「これまでに何人の男にくどかれたね?」という男の問いに「私を見てプロポーズしなかった男なんて1人もいなかったわ」なんていう豪語もさもありなんの美しさにうっとり。ようやくここにこの物語の概要と、タイトルの意味するところを理解できたのだが、そもそも3度も映画化されるほどの内容かねえ、これ。と批判しつつも、ラナ・ターナーただの1人で2016年の10指に堂々のランクインです。
ヤフーレビューでは5点満点中 3.60 点。多の2本より微妙ながらも評価高し。


第8位.「ドント・ブリーズ」
実はこれ、「ローグワン」のモヤモヤ気分を解消してくれるのはきっとこの一作だろうと期待を込めて2016年末に観に行くつもりだったものがズレにズレ込んでの17年1月19日に観たので、2016年トップ10にはランクインすべき映画ではないのだが、今2017年末の10本を決める時にはおそらくこの映画を楽しんだ感情も薄れてしまいランク外になるんじゃないかと踏んで、「16年に観るつもりだった」この映画を特別枠として入れてみました。
すべてが適確な演出に裏打ちされてい、終始ニンマリ顔で鑑賞。プロットは簡潔、金欲しさに盗みに押し入った若者らが盲目の男の家という密室で遭遇する恐怖の連続、「あのセリフはそういう意味だったのかよぉ」な、よもやの展開、生き延びた1人がその密室たる家から這々の体で逃げ延びて "外に出てしまえばいくらなんでも追って来れまい" と、まさにひと安心する暇を寸分も与えてくれないワンちゃんをスッと出す狂いのない演出、希望に満ちた西海岸へ向かうはずの空港ロビーが異常なほどくっきりと影を落していてバッドエンドにすら思えるラスト、そしてエンドロール、「ああここではあんなこともあったよねえ」の無人カーテンコールというアフターサービス。これまた最高の一本でした。
ただひとつもったいないのは、盲目の老人、もっと視覚以外の感覚が研ぎすまされているのかと思いきや、若者のぎりぎりを霞め通っても人の気配や体臭すらも感じない、案外ぼんくらなんじゃないかとも思えてしまうという設定が如何なものかと。冒頭主役の女がたばこを吸っているという描写に、これは断然のちのち効いてくる設定なんだろうと思っていたら、なんの伏線でもなかったし。そういう怖さも積み重なっていたら、もっと上位だったかも。
あ、ちなみに本日22日ソフト発売日なんだそうです。レンタルも昨晩から並んでいるのかな? 観て損はないです、てか本当に面白い映画なので、是非。
ヤフーレビューでは5点満点中 3.72 点。意外と評価が低いなあ。



第9位.「生贄夫人」あるいは「花心の刺青 熟れた壷」
神代辰巳一辺倒だった日活ロマンポルノから大きく開眼した2016年、その神代とは違うベクトルで強烈だったのが小沼勝の谷ナオミもの。神代の撮る谷ナオミにエロスはほとんど感じなかったけど、小沼勝の、肌に密着して舐めまわすかのようなアップショットはエロ大炸裂です。
神代のロマンポルノ監督作では、なんの情報もなく手にとったのがいきなり「女地獄」だったし、小沼監督作もまず「生贄夫人」からだったりし、私は強烈な一作を嗅ぎ分ける鼻が利くのかも。脚本は「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」の田中陽造。田中陽造にハズレなし。のちのちの情報でみうらじゅんのウィタ・セクスアリスがこの「生贄夫人」なんだとか。氏の監修による「永遠のSM女優 谷ナオミ」写真集まで買っちゃいました。
ついでに、というか甲乙つけ難く同位にした「花心の刺青」もまた強烈なヘンタイものでしたが、ストイックな彫師蟹江敬三が特によかった。
ヤフーレビューにこの2作のレビューどころかデータもなし。


本来のランキングなら9位に2本選出で10位は空位となるものなのだが、そんなことに頓着せずに第10位も選んでまえ。

第10位.「恋人までの距離」
「6才のボクが、大人になるまで」という6歳の少年を12年間も追い続けたドラマをつくりあげた狂気ともいえる監督リチャード・リンクレイターによる1995年の今作を去年初視聴。若きイーサン・ホークがまあかわいいよね。で、映画はとてもよかったのだが、これには9年後の続編「ビフォア・サンセット」と、さらにそこから9年経った続々編「ビフォア・ミッドナイト」がある、2017年現在3本シリーズなのだが、私的にはこの1作で終わってくれた方が断然よかった。そりゃ今作での二人の行く末を気にはなったけど。あのラストの感じは、ゼッタイに再会しない演出がしてあったと思うんだけどなあ。それにしても辛抱強く登場人物を何年にも渡り描き続けるのが好きなんだね、この監督さんは。なので、4本目もあったりして。
ヤフーレビューでは5点満点中 4.05 点。まともな評価かと。


ということで、2016マイ・ベスト10は、2016年公開作が6本、旧作が4本でした。
正直旧作の4本はおまけに選び出したくらいの感じで、2016年は取り立てて選出するほどの映画が10本もなかったかなあ、という印象でした。

さ、今年ももう桜3月だけれど、いい映画観るぞー、おー、ということで、ではまた。

by wtaiken | 2017-03-22 02:40 | なんでもベスト10 | Comments(0)

2016年鑑賞映画トップ10   

年が明けてから延々と書き連ねてきた2016年の映画館における映画鑑賞が44本と (年間の映画鑑賞記録をつけはじめたのがここ10年のことなので、それ以前はいざ知らずともおそらくは) 自己最多レコードを達成し、そこへ市販ソフトおよびレンタル、エアチェックなどの自宅視聴を含めた鑑賞総数302本中、お気に入りなどの理由により再視聴した本数75本 (相変わらず多いのだが!) を差し引いた231本から、今年もマイ・ベスト10を発表しようかと思う。
で、なぜに再視聴映画をこのベスト10から除外するのかというと、そんなもの入れはじめたら例年クロサワ、小津らの諸作をはじめ、「ダークナイト」やら「インターステラー」、さらに数年おきに観ている「地獄の黙示録」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」「ブレード・ランナー」「犬神家の一族」などなどのお気に入り映画で上位どころかまるまる全10本を占めてしまうからに他ならない。って、ベスト10発表の度にことわり書きをしているはずなんだけど、一応。

さすがに3月ともなれば各映画賞もすっかり発表済みとなり、意外なところでは設立以来何年経とうがいまひとつ権威という箔のつかない日本アカデミー賞が作品賞に「シン・ゴジラ」を挙げたところくらいで、とはいえ意外も何もキネ旬だとか映画秘宝だとか比較的目にしやすいランキングしか知らないわけで、そんな中、毎週土曜夜放送中の「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」番組内での映画評論コーナーに取り上げられた51本から選ばれる2016年ベスト映画10本は参考までの以下の通り。ただし去年は1位のさらに上いく "年間チャンピオン" なる特別枠が設置され、ベスト11本になっているが、その経緯は省く。

CAMP 「クリード チャンプを継ぐ男」
1位 「この世界の片隅に」
2位 「葛城事件」
3位 「シング・ストリート 未来へのうた」
4位 「何者」
5位 「ヒメアノ〜ル」
6位 「ドント・ブリーズ」
7位 「クリーピー」
8位 「アイアムアヒーロー」
9位 「シン・ゴジラ」
10位 「デッドプール」

なんだそうです。
もちろん各人お気に入り映画なんてものはまちまちなので、この順位について特に言うことはなにもないんですが、2つばかりちなんでおくと、この11本中現状観ていないのは「何者」のみ、さらに今年になってからレンタル視聴した「シング・ストリート 未来へのうた」は、2017年年間マイ・ベスト10に入ってくるかはいざ知らずながらも最高の1本でした。

でもって、市井の広告屋な私のベスト10? トップ10? などなにももったいつけることもないので、第1位からカウントアップで発表していきます! 果たして2016年公開の新作は何本ランクインするのか!! 宇多丸師匠の10本とかぶる映画はあるのかどうなのか!!! ビックリマークをいくらつけたところでまったく煽られませんが!!!!早速第1位から、いってみよー


第1位.「スティーブ・ジョブズ」
ジョブズ伝記はこれまでに何作かつられているが、今作は、本人とは似ても似つかないマイケル・ファスベンダーがヅラも特殊メイクも施さずに (って書いといてふとカツラは被っていたなあと思い出したのでここにカッコ書きで訂正したします) 似てないままジョブズを演じてきっている、ダニー・ボイル監督による2015年作。3つのプレゼンテーション直前のジョブズに密着したという体裁の約2時間、登場人物も限られているので、しゃべりつづけるジョブズの嫌な男っぷりがアンドロイドなファスベンダーによってより際立っている。
アカデミー賞主演男優、助演女優賞候補にもなっていたし、気にはなっていたものの、果たしてこんな極端なシチュエーションの映画が成立するのか、鑑賞中に飽きちゃうんじゃないかという若干の不安はあって、出演する側や演出する側にもそんなメンタルがあったのか、あるいは単なるスケジュールの都合かははいざ知らず当初監督にはデヴィッド・フィンチャーが、ジョブズ役にはクリスチャン・ベールが予定されていたようで、それはそれで観てみたかったものの、この映画はこれで大正解だったと思う。前述の通り、ポーカーフェイスなファスベンダーの人肌の感じさせない人物造形が、映画では最後となるプレゼン会場の屋上で、次なるプレゼンを予感させる、とある人物との "実は" 的なつながりを示すシーンにより効いてきて、私は完全にノックアウトでした。個人的には2016年ダントツの1位。
ちなみにヤフーレビューでは5点満点中 3.28 点です。


第2位.「君の名は。」
ま、こりゃね、好きなんだから仕方ない。いやわかるよ、あり得ない設定のうえにありえない話が積み重なっていくというところもさ、批判する人からすれば「感情移入できまっせーん!」なんだろうけどさ、単なる「転校生」現代アニメ版かと思いきや、そこに「時をかける少女」まで取り組まれてくるわけで、説教臭いしゃべくりが好きになれない大林宣彦監督のメディアから垣間見える人となりは置いておいて、それら諸作は大概の映画好きは大好物なはずで、もちろんかつて私も尾道にあこがれた一人としては、こりゃたまらない映画でした。その他この映画については「映画館鑑賞映画総括」で記した通り。
エンディングについては、ありゃバッドエンドなんじゃないかなんて評する人もいるけど、実は「もしや二人にとって悪しきエンディングが待ち受けているじゃないかしらん」という不安だったりドキドキを、別の未来になったエピローグシークエンスではちゃんとひとつひとつ打ち消していって、"もうあと道はひとつしかなかろう" なハッピーエンドへ向かわせるという親切な映画なんですよ。もう一回観ようと思いつつ、まだ行けてないが、それにしても息が長い映画だ。
一昨日銀座松屋ギャラリーに水木しげる展を見に行ったら、その隣りのギャラリーでは「君の名は。」展が開催されていて、これがまた両展覧会ともに大盛況してましたよ。家族づれでなければ、お隣さんにも顔を出したかったところでしたが。
ヤフーレビューでは5点満点中 4.08 点。なんだかんだいって高評価キープだね。


第3位.「この世界の片隅に」
年間鑑賞映画のマイ・ベスト10にアニメが入るなんて、確か2009年「サマーウォズ」以来のことで、しかも10本中に2本も入るなんてのは史上初かも。この映画の傑作ぶりは「映画館鑑賞映画総括」で記した通りなので、さらに補足することはなし。
ヤフーレビューでは5点満点中 4.06 点。あれ、意外。「君の名は。」より低いなんて。


第4位.「シン・ゴジラ」
これまではのゴジラは人類に対し悪者だろうと見方だろうと、なんだかんだいっても「ヒーロー」扱い。故に、造形は基本的に「かっこいい」ゴジラだったし、眼球の動きや動作・所作などにもしっかり感情を取り入れていたそんな歴史を根底から覆し、無表情、無感情、しかも変態する不気味な造形のゴジラにした庵野とそれにゴーサインをした東宝に、やっぱり拍手喝采ですね。第一から第四まで形態があるから、よりフランチャイズでも成功を収めているんじゃないでしょうか。あのひょこひょこ蠢く一番気持ちの悪い第二形態のフィギュアはさまざまなカタチで商品化されているようだし。そんな不気味な造形物としてのゴジラとフランチャイズの成功は、なんにせよ作品そのものが受け入れられた証だろうと。
ヤフーレビューでは5点満点中 3.87 点。いちいち評価を読んではいないが、ゴジラは着ぐるみ、ゴジラでエヴァをやってんじゃねえ的な、昭和ゴジラ世代からは忌み嫌われているのかもしれない。これも偏見か?


第5位.「デッドプール」
映画館で観た当初は、もっと上位で「こりゃサイコーだわな!」でしたが、このあたりに落ち着きました。
ヤフーレビューでは5点満点中 3.79 点。これも意外に低いな。アメコミ映画を、特に「X-men」シリーズを観てないとぜんぜん笑えないからか?


と、つづきは本日どこかで。

by wtaiken | 2017-03-21 04:17 | なんでもベスト10 | Comments(0)

マイ・シネマ・ランキング2015・続々々   

さながら昨日などは、早合点した冬ごもりの虫が浮かれて地中から這い出しそうな気候の2月の半ばを迎えようというのに、いまだ2015年の話を引きずるのもどうかとは思うが、残すところ2作きりのことだし、このままワン・ツー・フィニッシュをうっちゃっておくのも気持ちが悪いので、案の定なんのヒネリもなく「マッドマックス / 怒りのデス・ロード」が年間ベスト1に輝いた月刊誌映画秘宝の後塵を拝する「マイ・シネマ・ランキング」の第2位から、ひさしぶりの更新をば。


第2位.
「アントマン」

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auの三太郎CMのかなり初期の段階から画面片隅に小さくひそかに登場していたらしき一寸法師じゃないけれど、"マーベル史上最小ヒーロー" と謳われた、人間を小さくし戦地へ送り込むことで世界状勢が一変するとされる特殊スーツの技術開発をめぐる争奪戦という「おいおいマジか」という荒唐無稽な "とんでも設定" さ具合といい、そういったバカバカしさも含めて、個人的には「こんぐらいな感じが実にマーベル」らしく思えて、たとえばこの映画の笑える部分の多くは、降板してしまったポリス・アクションと笑いのハイブリッドな傑作「ホット・ファズ」監督エドガー・ライトの置き土産だとする説があるようだけど、いずれにせよ出来上がった映画は、ここ数年の「ダークナイト」後遺症的になんでもかんでもシリアスになりかけているスーパーヒーロー映画とは本来 "これくらいの軽いノリ" というか「こういう方向もそもそもあったんじゃないか」な指針を示してくれた、結構カジュアルに鑑賞できる、私としてはマーベル・ヒーロー映画の中でも上位に位置するくらいお気に入りになった、この作品がよもやの第2位にランキングです。

正直とてもかっこいいとは言いがたいスーツ造形だし、主演俳優も私にはほとんど縁のない人だし、監督も知らないしだし、DVDスルーどころかまるで観る気がなかったところ、本国アメリカでの公開後の作品評価がまずまずで、さらに後押しされたのがラジオ番組「ウィークエンド・シャッフル」におけるライム・スター宇多丸の上々な評価。どれ、てな具合に観にいって正解だった。
主役のアントマン演じるポール・ラッドも好感だし、なにせマイケル・ペーニャ筆頭のケイパー・グルーブが最高! で、その中のキモオタなハッカーを演じているのが、「ダークナイト」でジョーカーに心酔し市長暗殺一味に加わる偽警官シフ・トーマス役だったデヴィット・ダストマルチャン。ヒュー・ジャックマン主演の「プリズナーズ」でもかなり危ないロリコンな容疑者役だったし、今回もまあいうなれば "そっち系" として同類ながらも「いいやつ」な役どころでよかったよかった。

ちなみに私の動体視力が確かならば、敵役のイエロー・ジャケットの研究所にアントマンが侵入したラストの攻防戦で、構えた拳銃のその銃口を伝ってきたアントマンのキック一発で倒される警備員のひとりが、「ダークナイト・ライジング」で、バットポッドに乗って登場したバットマンの構える「E.M.Pブラスター」を撃ち抜いてしまい、思わず「すいません」と口走る警官役の人だったと思うのだが...定かではない。


第1位.
「バードマン あるいは(無知がもちらす予期せぬ奇跡)」

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個人的には2015年はこの映画に尽きたな。嫌いな人にとっては「なにか意味ありげに、如何にも高尚な "フリ" をしている感じ」が嫌味ととられるようだし、映画全編をワンカット演出にする意味がわからん! だとか、「なに嘘でしょ、これがアカデミー作品賞?」なんて評価も散見されるが。
いやいやいや、ワンカット演出に意味なんてなくていいし! (もちろん疑似ワンカットだけど) そりゃ監督としてはキチッと理詰めでこの手法をとったとは思うけど、一昨年だったか世の中的には高評価だった「ゼロ・グラビティ」で冒頭30分のワンカット演出に「もしやこの宇宙漂流物語の地球生還までをワンカットで押し切るつもりだったらこりゃとんでも傑作になるぞ」と期待した分、結局途中でカットを割った途端に勝手に「裏切られた!」とばかりに評価ががた落ちしたこともあったから、今回のこそは! のチャレンジに「いいぞ、もっとやれ」と心底拍手喝采でした。観ている間にいちいち意味なんて求めないし。←ちなみに「ゼロ・グラビティ」もこの「バードマン」も撮影はともにエマニュエル・ルベツキで、アカデミー撮影賞はこの2作で2年連続の快挙! それとワンカット演出で有名なのは、ヒッチコックの「ロープ」。この作品では棺のフタの開閉でブラックアウトさせ如何にもワンカットに見せている

逆にこれがアカデミー賞穫ったところがすごいと思うし、ドラムのリズムで押し切る音楽の演出も最高でした。

これまでの監督作に特に見るべきものを感じなかったアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督は、この1作で突如覚醒したというか一皮も二皮もむけたというか、これつくったたった2年後に、日本公開の待たれる「レヴェナント : 蘇えりし者」だっつーんだから、ちょっとすごくね?て感じです。ともすると監督賞で史上初の2年連続オスカーなんてこともあるやもしれず。
それにしても憶えづらい名前だなあ、映画の話するにも「ほら、あの、バードマンの監督の、えー、イリャニ? イャニィ?とかなんとかいう監督の、ほら!」っつって、言い当てられた試しがない。


とまあ、私の2015年はこんな感じでしたよ。

逆にワーストは1位だけ特に記しておくと、そりゃもう断トツで「進撃の巨人」!
オンラインのレビューで「くそです!」なんて下品な評価も多くあるけど、汚い言葉は使いたくない私としての一言評価は「噴飯ものです」でした。

なにが最悪かって、演出のすべて! とにかくいい悪いの判断のできない、判断のできないそのままを丸投げしてくる希有な作品というか。
叫んだら巨人が気づくんじゃねえのなんていう設定もどうにもいいように解釈してなのか力んで叫ぶしか能のないバカな演技を延々と聴かされる特に続編、背負い投げのシーンを筆頭に見ていて恥ずかしくなる演出、そりゃ人類の工業技術がストップした未来の話とはいえ平気で現存するアップルのリモコンそのまま画面に大写しするそのセンス...挙げればキリがないし、クサした評価はいくらでも読めると思うのでもう繰り返さないけど、こんな人が監督ならば新しいゴジラもたかが知れたな、と。せめて総監督庵野の良心で、なんとか持ち直してほしいけど。

最後に一言。「進撃の巨人」といいながらも、中型巨人が日向ぼっこしてるシーンでしか終盤まで出てこないなんてそんなバカな、な読編が特にひどい! ダメ、観ちゃゼッタイ! 久々の1作。

by wtaiken | 2016-02-14 04:52 | なんでもベスト10 | Comments(2)

マイ・シネマ・ランキング2015・続々   

先週は角川シネマ映画館で市川崑特集の一本、「犬神家の一族」を観てきました。
実は市川崑を知ったはじめての映画は中ニ・夏の「獄門島」からで、角川文庫の杉本一文表紙画の禍々しさにようやく勇気を振り絞って手に取れたのがその年の春、つまりどっぷり横溝正史の世界にはまったときすでに「犬神家...」と「...手毬唄」は公開後、当時はレンタルビデオなど遥か未来のことであり、観たくてもどうにも観られなかった時代だったので、そこから数年後のテレビ・オンエア時にはもう待ちに待った感じで貪るように観た記憶はあっても、そのままテレビ・サイズですっかり満足してしまったのか、あるいは「ぴあ」あたりの情報誌でマメに網を張り、リバイバルや名画座でその金田一シリーズ両名作を映画館で観たのかもはや記憶が曖昧模糊としてしまってい、「初デジタル化」と謳われてもいるこの機会に観ておくかというモチベーションで、これまでの視聴回数などとても指折って数えきれない「犬神家の一族」を鑑賞し、そして来週には (こちらは残念ながらデジタル化はされてないようだが) 「悪魔の手毬唄」も観る予定なのだ。

改めて言うまでもないことかもしれないが、この金田一シリーズの特徴と言うべき母子愛描写が、傑作とされる第一作目「犬神家...」と第二作目「...手毬唄」には特に突出して明確に表現されていて、それがこの歳になると特にしみてくるのだ。
まあこの2作の作品・興行両面での成功がその後の女優 & 親子愛シリーズ的なしばりをつくってしまい、三作目「獄門島」原作の結末を改悪して以降の失墜へとつながっていくわけなんだが、そのすべての基となる「犬神家..」での母・高峰三枝子と子・あおい輝彦の演技が、ここに今更ながら特筆するほどよかったなとしみじみと実感されたのだった。二人が手に手をとって犬神家の広い居間を歩く "道行き" シーンは、美しくも悲しい、本当に感動ものだ。大スクリーンで今回観られてよかったよ。
清水宏監督作「信子」でのなまりのかわいい新米教師役や「元禄忠臣蔵」では男装の麗人な役を演じていた、つまり日本人形のように美形女優だった高峰三枝子による "ザ・ニッポンの母" な包容力で演じきった犬神松子は、ここにおいても到底リメイク版の富司純子は足元にも及ばない。そしてあおい輝彦の、片や犬神佐清を実直・誠実な青年として演じ、もう一方ではこの映画を象徴するアイコンである能面のようなマスクの青沼静馬を実に不気味かつおどろおどろしく演じ分けているところなんざ助演男優賞制覇もんでしょ、あれは。

...と、やっぱり熱くなっちゃうな、市川崑の金田一シリーズ。
角川シネマ館で観、そして観る予定の「犬神家の一族」と「悪魔の手毬唄」については、(もしや以前も少し触れているかもしれないけど) せっかくの機会なので、いずれしっかり書こうかと。ひとまず長くなった枕はここまでとしてー。

では「マイ・シネマ・ランキング2015」のトップ3へ行きましょう。


第3位.
「キングスマン」

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監督のマシュー・ボーンについては、以前確か「X-MEN : ファースト・ジェネレーション」で批判しているので、私が支持しないいくつかの理由を詳しくはここでは繰り返さないが、端的に記すなら、彼がお遊びの愉しいつもりで描くシーンの多くが、私には悪ふざけにしか見えないという点。また無駄に残酷描写が多く、しかもそれを笑わせようとしているところが正直「キライ」。
だから、ヒット・ガールは愉しく観られたけど「キック・アス」も、つづく「X-MEN : ファースト・ジェネレーション」も私は評価しない。
で、2作つづけてダメだったので、2年前に全米公開してロングランのスマッシュ・ヒットを飛ばし、作品的にもなかなかの好評を得ているらしかったこの「キングスマン」も、もしかしたらいずれレンタルで観るかもしれない程度のまったく興味の外側にあったんだけれど、去年6月にオランダ・ドイツロケハン渡航中の機内映画ラインナップにまだ日本公開前の今作があり、じゃあそうかい暇つぶしにでも観ておくかいぐらいの軽い乗りだったものが、最終的には「これはきちんと音のいい映画館で観るべき」という結論に達するほど気に入ってしまったという。端末が小さいのは致し方ないにしても、飛行音で音声がほとんど聴きとれないっていうのは映画にとっては致命傷。それでも「こりゃ面白い。映画館で観たい」って思ったんだから、映像力が相当なものってことなんだろうね。
つまりこれまで嫌悪感しかなかった監督の残酷描写が、今作では鼻持ちならない選民思想層に対して表現されているので、なんとなく「ひどい!」という感情は至らず、見せ方においてもポップに美的に表現されてい、さらにそれが笑いに昇華されているところが私にとってこれまでになくよかったところ。ちょっと教会でのそれは長すぎの気もするけど。
といった具合で、これまでのマシュー・ボーン評価下げポイントが逆に転じて評価「上げ」に貢献したので、あとはどんどん加点されていくのみ、という感じ。
よかったところは挙げるとキリがないが、熱望しつつ監督することが叶わなかった007シリーズへの偏愛、特に最近のシリアス路線は認めず、ロジャー・ムーア時代の荒唐無稽な悪役らが世界征服を企む大風呂敷をこそ愛してやまない感じを、全編に渡って訴えているところが好感。そのものズバリを丁々発止なセリフのやりとりでもしているし、たとえば悪のアジトの床のデザインが! もう昔の007っぽいし!
さらに007での、Mとかマネーペニーとかが通信しようとするジェームズ・ボンドの、任務そっちのけでしっぽり美女といいところで終わるラストも踏襲、というよりは如何にもマシュー・ボーン的というか今様というか、ハードコアにオマージュされていたりもして。
ほかにもルーク・スカイウォーカーとメイス・ウィドウの短いながらもよもやの競演があったり。
で、キリがないいいところを最後に2つで締めると、まずはかつては同胞監督のガイ・リッチーお気に入り、いまはマシュー・ボーン作には欠かせない存在のマーク・ストロングが、もう最高にかっこいい! 「これは、オレのだ。」サイコー! 個人的にはコリン・ファースなんかより断然よかったっす!
そしてなによりそのコリン・ファースをさらに差し置いて、もうほとんど主役といっても過言ではないエグジーを演じるタロン・エガートンなる若手俳優の魅力。続編、もちろん彼主役でイケるでしょ。

その他ぜんぜんトップ10には入らなかったけど、「セッション」のマイルズ・テラーとか、「メイズ・ランナー」のディラン・オブライエンとか、「スター・ウォーズ」のデイジー・リドリーとか、8位の「EX MACHINA」や「コートーネームU.N.C.L.E.」のアリシア・ヴィキャンデル、そして今作のタロン・エガートン...なんだか若手俳優の活躍が目覚ましい1年だったなと。

by wtaiken | 2016-01-24 01:25 | なんでもベスト10 | Comments(0)

マイ・シネマ・ランキング2015・続   

前回は8位「EX MACHINA」まで。今日もとっとと行きましょう。

第7位.
「思い出のマーニー」

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数少ない旧作からの1本。
たいがいの映画には賛否両論がある。それはどんな映画にも。「七人の侍」も「冒頭長老のセリフ、ほとんど聴こえないんですけど」みたいな理由で評価が低かったり、「ゴッド・ファーザー」に至っては「やくざ映画受け付けないんで」とか平気で言ってみたりして、とにかく予想だにしない、驚くべき理由で人の好みは左右されるのだ。で、ことこの映画については、比較的わかりやすい理由で好き嫌いが極端にわかれるんじゃないかと思う。つまりオチの部分。
公開時に、仕事場の映画好きな後輩からこの映画の感想を求められた。私はごく限られた作家によるアニメーションしか興味がなかったからこの映画を観る予定はなく困ったが、その後輩曰く「(全体的に) いいんだけど、自分的にはオチのところがダメでしたわ〜」とのことだった。
さて、それがなんのきっかけだったか、1年遅れでこの映画を観る気になった。で、結果はどうだったのかというと、言うまでもなく年間291本観た中の第7位。
これは宣伝もそうだったし、映画でもマーニーの登場からしてそれを "ネタバレ" というほど隠そうとはしていないので、ここで端的に内容を言ってしまうと、すなわち「ゴースト・ストーリー」なわけです。しかも優しい幽霊、「ジェントル・ゴースト・ストーリー」というやつ。
この分野でパッと思いつくのが、そのものズバリの「ゴースト / ニューヨークの幻」なんだろうけど、例の、ほぼ濡れ場と言われている、ロクロを回すデミ・ムーアの背後から幽霊となったパトリック・スウェイジが抱きしめる有名なワン・シーンしかしらないという、つまり観てもいないし今後観る気もないやつだとか。見知ったところでは、片岡鶴太郎と秋吉久美子演じる死んだ両親が突然息子風間杜夫の前に現れる浅草のシークエンスが最高の邦画「異人たちとの夏」、倉本聰脚本、若尾文子が幽霊になって夫藤田まことを見守る未ソフト化テレビドラマ「あなただけ今晩は」、小説だと室生犀星「童子」、このブログでかつて推奨したはずの橘外男「逗子物語」...などなど。好きだから思いつくのか、比較的私はこのジェントル・ゴートス・ストーリーに弱いらしく、上記「ゴースト」以外は、すべて感動して号泣しているのだけど、さて「思い出のマーニー」だ。
評価が2分化し、後輩が "引いてしまった" という肝腎のオチ部分、というかすべてが明かされるラスト、私は予想だにしていなかったので虚をつかれてしまい、そしてやはりここでも号泣 & 怒濤のエンディング曲にまたもや滂沱の涙でした。すなわち、人が道を踏み外しかけたとき、優しく手を差し伸べ道標を示してくれるゴーストの存在に。
正直ここ数年のジブリ、というか宮崎駿アニメにはなんら思い入れるところがなかったし、高畑の「かぐや姫の物語」もダメだったし、それ以外の監督作には興味のカケラもなかったけど、個人的にはジブリ作の中では傑作の部類に余裕で入りました。
まあ穫る穫らないはどうでもいいけど、まずは今年のアカデミー長編アニメ映画賞ノミネート、おめでとうございます。


第6位.
「クリード チャンプを継ぐ男」

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ここから先上位6本のすべてが新作で、そして映画館で鑑賞したものばかり。もしかしたら映画館で観ることで評価が少し高めになっているのかもしれないけど、それはむしろ逆であって、大きなスクリーンで観てこそ本来のされるべき評価になるんだろうと思う。そして上位6本は、本当に僅差、ちょっとした思い入れの差で順位が上下したのもので、去年は稀にみる公開作に傑作の多かった年だったことになる。
そして「クリード...」、実は「スター・ウォーズ」のあとに口直しくらいのつもりで観たら傑作だったというのがこれ。
私は、あまり筋肉ムキムキ賞讃 &大活躍映画だったり、チューブ・トップで汗をかきまくるタイプの役者・ミュージシャンも苦手なので、これまでシルベスタ・スタローンについては、真ん中の "スタ・スタ" のところがモタつくからいっそワンペアとして消して略称し「シルベローン」にしてしまえ! などと勝手に小バカにしていたくらいの扱いで、それに映画史に残るとされているロッキー・シリーズのすべては鑑賞済みであったものの「まあ普通に面白い」というそれ以上でも以下でもない程度の評価、だからランボー・シリーズは観たのが1本はきりだし、エクスペンダブルズ・シリーズに至ってはすべて未見という、要は「ほとんど興味の外側にある役者 (とその出演作) 」の一人であったわけ。
そんな個人評価の、「ロッキー・ファイナル」で終わったはずのシリーズが、ロッキーのライバルであり親友でもあったアポロの息子を主役にしスピン・オフ的に継続されたこと、そして全米公開後評価が高かったことから、じゃあ行ってみるかと軽いフットワークで観たわけなんだけど、それがもうホントすいませんでしたシルベローンさん、いや、シルベスタ・スタローンさんて感じでした。
闘い終えたはずの老齢ロッキーにもまだ闘いが残されていたこと、ハングリー精神からではなく、己がなにものなのかを知るためにあえて無謀な闘いに挑む若者クリード、その二人三脚のトレーニング・シーンに涙。もうオレ映画観て泣いてばっかじゃーんという感じなんだけど、随所随所に散りばめられた、クサい言い方だけど "人間讃歌" がこの歳になると響くんだよねえ。
決して懐古趣味の映画になっていない点、1試合1カットで撮るなんていうチャレンジングな演出もあり、すべての要素が "2015年版ロッキー新章映画" になってところがいいよ。もう老いたスタローン最高!
続編とはこうあるべき、最高に美しい姿としてシリーズが復活するという、個人的には「スター・ウォーズ」に抱いたモヤモヤをすべて蹴散らしてくれた映画。そしてなにより賞讃すべきは、あのSFの近年の傑作「クロニクル」に出演し、同監督による大失敗作とされてしまったブロッグバスター「ファンタスティック・フォー」にも出ていたマイケル・B・ジョーダンがすばらしいです! まだ間に合う! この映画の感動は是非劇場で!

ちなみに、クリードにつく伝説のスタッフたち、どんなパンチも受け止める名人、どんな傷もたちどころに塞いでしまう名人、すべて本物なんだって。なんだかそんなスタローンの熱い思い入れにもジーンときてしまうんだな、もう。


第5位.
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

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でたー、マッドマックス! もう2015年はこの映画に尽きたね! って "尽き" といて5位なんだけど。
ジョージ・ミラーって、これまでのマッドマックス3部作以外なに撮ったか知らなかったし、周囲の映画通に言わせると「ベイブ / 都へ行く」もいい映画なんだそうだが、それにしたって17年も前の作品だし、マッドマックスとしてだと実に30年ぶりのシリーズ最新作、っていうよりは自身によるリブード映画って感じ。もはや過去の監督だと高を括っていた人がよもやの復活劇、しかも錆びてもないし古びてもない! てかむしろ若々しくもあり、ルックも編集も演出のすべてが "いまどき" のエンタメ作品になってっし、齢70にして自身の最高傑作を創っちまうとはな! もう文句なしの、傑作エンターテイメント映画。ド頭からダレ場一切なし! まさにいきなりのトップスピード、映画のストーリーそのままのテンションで一気にラストまで飛ばしまくる映画。「マックスのカリスマ性が乏しいんですけど...」だとー! そんなの関係ないじゃん! 映画全体にカリスマ性があるんだから。2015年は、この映画を劇場で観ずしてなにを観るんだ、というくらいの作品でした。
ウィークエイド・シャッフルで宇多丸が絶賛をし、次回のアカデミーとか賞総なめっしょー!くらいのテンションでしたが、ブロッグバスター、エンタメ、シリーズ物嫌いのアカデミー会員たちもさすがに無視できなかったようで、作品賞、監督賞をはじめとする10部門にノミネートされたのは立派。まあ正直最優秀作品賞にはならんだろうけど、それでも2015年の8本に選ばれただけでもすごいことです。
それにしても昨年は意外なシリーズ最新作が多かった。世の中的にはいらないといわれてしまった「シン・シティ」しかり、このマッドマックスしかり、ファイナルの後のクリードしかり、そしてスター・ウォーズも。うち2本も私のトップ10入りでした。


第4位.
「ジョン・ウィック」

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でたー、ジョン・ウィック! 若くして亡くなった愛妻の残した形見の犬が無惨にも殺されて、その復讐に立ち上がった伝説のヒットマンが、ただもう人を撃ちまくるし殺しまくるという、それだけの映画です。ええ。
この映画を受けつけない人の評価に多く見受けられるのが「犬一匹のためにありえないストーリーで、感情移入できません」...とね。... ええっとーですね、あのー、なんでもかんでも感情移入して映画を観ようとすな!と私はいいたい、そんな人には。端から高みの見物をする映画があってももちろんいいだろうし、そもそも "ありえない" 出来事、フィクションをフィクションとわかった上で、それを愉しむのも映画の醍醐味であるわけで、私は終始「おいおいおい!」ってツッコミながら、いい意味の "半笑い" でこの映画を観てました。針が完全に振り切っちゃっているので、もうキアヌ、超かっきーーって感じ。身のこなし、アクションのキレも申し分なし。
途中愛犬殺しの主犯、マフィアのボスのバカ息子が追いつめられて「なんであんな犬コロごときのために...」って言いかけたところを容赦なくジョン・ウィックに仕留められるんだけど、これってまさに観客の声を代弁するセリフであり、それをあえてすべて「言わせないよー」とばかりに途中でバッサリぶった切るところなんざ「そんなことはつくっているこっちが百も承知」と言わんばかりの確信犯って感じでした。
すでに続編製作が確定したようで、迷走していたキアヌもこれで完全復活ですね。脇を固める俳優もよかった。もう続編つくるんだったら...の次元大介なウィレム・デフォー、ドラゴン・タトゥーのときはなんと平凡な、魅力の乏しい役者なんだと思っていたミカエル・ニクヴィストが、ハリウッドでは「ミツション・インポッシブル」といいこの作品といい、悪役でいい味出してきてるし。始末したつもりのジョン・ウィックの執拗な銃撃に「もーう、ホントよくやるよ」的に微笑むところが特によかった。


さあて、残るはトップ3! 3/291は果たしてどの映画なのか?! それは明日。ではまた明日。

by wtaiken | 2016-01-20 12:13 | なんでもベスト10 | Comments(0)

マイ・シネマ・ランキング2015   

今日は一切の枕なし、単刀直入に本日は本題へと突入しようかと。
本来?ならば、去年1年間に劇場で観た映画短評をすべて書き終えてからのトップ10発表という段取りのつもりだったけれど、その流れだと年間評でさんざん誉めちぎった映画がわかりやすく順当に10位内に入ってくるだろう予定調和を回避する意味で、また映画館で観た映画を順繰りに評価しているうちにきっと飽きて中途で投げ出してしまうだろう堪え性のなさからも、当初のあとさきを変更し、「2015年に私はこんな映画が気に入っていたのだなあ...」と老後しみじみと縁側で茶でも啜りながら述懐するため、今日ここに、主に自分のために、もしなんならこれを読まれて今後の映画鑑賞の一助にでもついでになればと、記録として残すものなのである。


さて昨年私がすべての鑑賞メディアにおいて観た映画の総数は291本で、内訳は映画館鑑賞が36本、残りはほぼ自宅視聴により、そして海外へ移動中の機内ビジョンという劣悪な環境下での視聴もわずかながら7本ある。さらに291本中、初見の映画は226本で、残りは毎年のように決まって必ず観ている映画、たとえば「天国と地獄」を筆頭とした黒澤映画、少しずつ4Kリマスター化されつつある小津映画、ウディ・アレンもの、「ダークナイト・トリロジー」を主としたクリストファー・ノーラン作品などなど、再視聴ものが今年は65本もあった。これにはどうも精神的な理由らしきものがあって、つまりたびたび書いているように去年は春と夏に大きな仕事の山が2つあり、その繁忙期の合間にぽつりとできた寸暇にこそ映画がどうしても観たくなるもので、そんなとき「これは間違いない!」というテッパン作品にすがりつく機会が多かったというわけ。

そんな新旧入り混じった291本の映画の中から、ランキング好きの私がトップ10を選んだわけですが、もちろん評価の定まっている再視聴作品は含まれません。て、そりゃそうだよ、それを入れ出したら毎年トップ10の作品が同じ並びになってしまうからね。

てなわけで、もったいつけるつもりはないけれど、早速第10位からはじめよう。

第10位.
「ジュラシック・ワールド」
「ジャージー・ボーイズ」
「インサイド・ヘッド」


いきなり掟破りな同率で10位が3本! て、掟もなにもない無法なランキングなので、つまり1位から順に選んでいっての最後の10本目がどうにも決めかね、決定打の見いだせないままに...という理由による。
1本ずつ手短に行きましょう。


「ジュラシック・ワールド」
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このシリーズは、第1作目からなんら変わりばえのないお決まりパターンのストーリーなので、そこに新鮮味はまったくない既視感だし、改めてスピルバーグによる、登場感をあおる、恐怖心を高めるなど演出の的確さを (つまりこの映画では、そこがなっていないから)再認識させられたり、檻から逃げ出すためにとんでもないIQを示した遺伝子操作による新種の恐竜が、逃げ出してみたら頭の良さは微塵も発揮せずに、結局は単に凶暴性を発揮するに止まる肩すかしっぷりだったり、その恐竜のハイブリッドにしても、都合よく「実はこんな動物の遺伝子も組み合わせていたかー」な後出しジャンケンだったり...と、こう思いつくままに書いていると、とても "トップ10" に選んだ作品とも思えない評価になるんだけど、唯一のベネフィットが私的にはかなりツボだったという理由でこの位置なのだ。
それは、「ジュラシック・パーク」に笑いの要素を付加してみたら、こんな映画になりました、という点。それだけ読むと、なんだかトンデモ映画と思われるかもしれないけど、実は恐怖と笑いとは裏腹、緊張感を高めれば高めるほど笑いにもつながりやすいということ。まあこの緊張感とは主に登場人物に課せられたもので、そこは前述の通り観ている側には弱いところもあるんだけど、こと笑いに関しては、セリフはもちろんのこと、人物の表情だったり、間だったりが適切だったと思う。
もう「龍三と七人の子分たち」とは比較にならないくらい笑いましたよ、って、本当に北野武監督は笑わせようとする映画はダメだなー。
話は傍流に逸れたけど、全体を包むスピルバーグ「ジュラシック・パーク」愛と、やっぱりティラノザウルスサイコー演出も加点。

公開時に劇場で視聴。そりゃやっぱりこの映画は映画館で観ないとね。


「ジャージー・ボーイズ」
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「君の瞳に恋してる」。これはかつて所属していた劇団の、カーテン・コールに必ずかけていた曲で、少しばかりの甘酸っぱさを伴いつつも格別に思い入れがある曲なのだ。格別に思い入れながらもそれがボーイズ・タウン・ギャングのオリジナル曲なんだと、この映画までそう思って疑わなかったという音楽知識の無学さはさておき、オリジンたるフォー・シーズンズのメンバーたちの、基はミュージカル作品による夢と挫折の物語を、堅実な手腕で映画化してみせるクリント・イーストウッドの、最後の最後、出演者すべてを登場させ歌って踊らせるカーテン・コールという、愛情溢れるサービス精神に感服。もちろんその中にはあの強面のクリストファー・ウォーケンも含まれ、さらには60年代という時代設定に見事に則したカタチで出演しているクリント・イーストウッドも舞台裏では踊りを習いかけ...と残念ながら「やめとくよ」とばかりに引っ込んじゃうんだけど、監督自らもこのカーテン・コールに出ていたら、もっと上位だったかも。
公開は1昨年前の2014年。レンタルDVDで視聴。
ちなみに「君の瞳に恋してる」のマイ・ベスト・カバー曲は、もちろん前述のボーイズタウン・ギャングにほかならないが、次点は椎名林檎のだったりします。


「インサイド・ヘッド」

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人の心情を左右する、頭の中の5つの感情。少女が成長していく過程で、幸せを願う5つの感情が衝突して頭の中はパニックに。当然少女は荒れて...みたいな話は机上の論理でなら成立できても、そこからエンターティメント作品に昇華させるのはなまなかな才能では無理なところを、見事にやってのけてしまうピクサーの底力。しかも思い出の島が倒壊していくさまは、取り返しのつかない感をすばらしいアニメーションで表現している。そしてなによりも感動的なのが、人は大切な何かを捨てていきながら成長していくということを気づかせてくれるシーンで、わかっちゃいるけど、もう条件反射で滂沱の涙。そういや「インターステラー」の運動の第三法則でも泣いているという、弱いんだな、このテーマに。
頻繁に覗くYahoo!映画のユーザー・レビューの点数は思いのほか低いが、いやあよくできているよ。
これはレンタルで自宅視聴。だからこそ思いっきり泣けたのかも。


第9位.
「自由の幻想」

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映画館で観た映画が多かったことに比例して、このトップ10もおおむねが劇場公開の新作映画になってしまった。このあとのランキングのネタバレにもなるけれど、実はそれが今年の傾向。
で、数少ない旧作の1本がこれ。今年はルイス・ブニュエルのプチ・ブーム到来で、一時期一気に貪るように観たのだ。傑作揃いだと言われているブニュエルのフェチシズム炸裂なメキシコ時代の作品もいいが、晩年フランスに戻っての諸作も捨てがたい。その中でも「自由の幻想」が傑作だろうと。
いきなりが「新春スター隠し芸大会」のハナ肇の元ネタかよ!の銅像が動き出して人を叩くというギャグにはじまり、とにかく終始くだらない、ときに意味不明かつシュールな笑いが満載のこの映画。これってかなりモンティ・パイソンが影響を受けているはずだよ。


第8位.
「EX MACHINA」

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"EX MACHINA" で検索するとヒットする、2007年公開のアニメ作品が第8位、ではない。今年公開の、なにせ「スター・ウォーズ / フォースの覚醒」出演組のドーナル・グリーソンとオスカー・アイザックが出演しているし、作品的にも評価が高いことからも日本でも単館ながらも即公開されるだろうと踏んでいたのに、焦らしに焦らされなかなか公開されずに今に至る、人工知能 A.I. を扱った、スリリングで不気味なSF映画が第8位なんでR。って、なんでまた突如嵐山調?
なにはさておき特筆すべきは、広告ビジュアル面を一手に担う A.I. エヴァを演じる、アリシア・ヴィカンダーともアリシア・ヴィキャンデルとも表記され、いまだ日本語的にどう扱うか定まっていないほどの、つまり今年突如新星のごとく現れては「コードネームU.N.C.L.E.」でもキュートさを発揮し、さらに「リリーのすべて」ではアカデミー助演女優に選出をされ、さらにジェイソン・ボーンシリーズの最新作に出演も決定、もしかしたら早くもリブートされる「ドラゴン・タトゥーの女」でリスベットを演じることになるかもしれない、今とこれから特に話題になるだろう彼女の、むしろこのスキン・ヘッドの方がかわいいのではないかと思えてしまうほどの魅力に尽きる映画だ、って長いよ!
A.I. の造形物としては、ビヨークの「All Is Full of Love」PVに出てくるアンドロイド以来の出来栄えだったと思うし、そんなにキュートでセクシーなドロイドが目の前にいれば、いくら技術の発展した未来だろうと、というか、いつの世でもかわいい女性の前では男は誰しもが愚かしくなる、という映画。

欧米諸国では春先に公開し秋口にソフトが発売されたので、日本公開に期待せず速攻日本語字幕付き版をゲット & 視聴。私が購入したこの ↓ スチール・ブック仕様ははもうAmazon.co.jpでの取扱はないみたい。残念ながら。
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日本公開を切に願いましょう。

by wtaiken | 2016-01-18 00:44 | なんでもベスト10 | Comments(0)

続々・2014 マイ・シネマランキング ベスト10   

さあ残りは簡潔にまいりましょう。


第7位 
ユナイテッド93(2006) 監督 ポール・グリーングラス


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手持ちカメラの細かいカット割りによるライヴ感あふれる演出は、それまでのアクションシーンを一変させたと言われるジェイソン・ボーンシリーズの監督による9.11自爆テロ再現ドラマ。
遅ればせながら「キャプテン・フィリップス」を観て「これはいい!」と感心をし,引き続き観た今作には、結末がわかっていながらも緊迫感演出が半端なく、終始ハラハラドキドキ。
ボーンシリーズはテレビオンエアの度ついつい観てしまう「普通に面白い映画」であるが、そもそもこの監督ドキュメンタリー映像出身者なので、こういった "実録もの" の方が性に合っているのかも。
それにしても事件からわずか5年後につられたとはね...。
ほぼ同様に臨場感たっぷりにハラハラした「キャプテン・フィリップス」もオススメです。


第8位 
ロスト・イン・トランスレーション(2003) 監督 ソフィア・コッポラ


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「ゴッドファーザー PART3」がダメな理由はいくつかあるが、その最大の戦犯は、ドン・マイケル・コルレオーネの娘役の、演技がさしてうまくもなくさして可愛くもないソフィア・コッポラだ!と私の周囲の映画好きは当時さんざん非難したものです。その後こうして映画監督として偉大な父の稼業を世襲することになろうとは思いもしなかったけれど、今更ながらくだんの「オール・タイム・ベスト301本」に入っていたので「どうせ...」的な、少し斜に構えて観たのだけれど、かなり好きな映画でした。
淡々とした調子もよかったし、この映画をクズ扱いする人らの「日本を相変わらず誤解した視点でとらえ、もの笑いのタネにしている不快感」を私はまったく感じなかったし、日本といえばの、障子に富士山、芸者のいるオリエンタルなクラブ...などという無様な描写の諸作に比べると、断然外人から見えるリアルな日本の姿をとらえていたと思う。なんたって2014年の「GODZILLA」でさえ "まだ富士山かいっ"だったしね。

スカーレット・ヨハンソンを私はあまり好きではないが、この映画では可愛らしく表現されていたし、なにより初老なりかけの中年男ビル・マーレイの味わいがもう!


第9位 
エターナル・サンシャイン(2004) 監督 ミシェル・ゴンドリー


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これも「オール・タイム・ベスト301本」からの一本。時間軸の交差させ方がうまい、まあ脚本の勝利かという良作。基本トゥーマッチな演技になりがちなジム・キャリーの抑えめシリアス演技も好感、ケイト・ブランシェット...おっと間違えたウィンスレットははじめて愛らしく感じましたよ、この映画で。
結構まともな、ベスト10に入っておかしくない作品も、こうしてランクインしてみる、と。


第10位 
股旅 三人やくざ(1965) 監督 沢島忠


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3人の若者による「股旅」という市川崑の傑作もあるが、こちらはタイトルにある "三人やくざ" はそれぞれ独立した物語で登場するので、やくざを演じる仲代達矢、松方弘樹、中村錦之助というスターが絡むことはない。
観終わってまだ湯気がたっているくらいの、つい先日に観た興奮が第10位にさせてしまった感があるが、オムニバスの第3話、つまりトメであるラスト、気の弱い、やくざに憧れて股旅をしている男を演じる中村錦之助がもう最高に笑わせてくれます!
とにかく第1話の仲代も第2話の松方もそれなりに面白いんだけど、そんな二人がまだまだ前座に思えるくらい圧倒的な役者力の中村錦之助に尽きる映画で、やっぱ中村時代の萬屋錦之助はすごいなぁーとつくづく。

他にもテレンス・マリックの映像美炸裂な「ニューワールド」とか、一番美しい時のニコール・キッドマンが観られるだけでいいんじゃないかの異色ミュージカル「ムーランルージュ」とか、撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマの美意識炸裂「her / 世界でひとつの彼女」とか、劇場観からもう一作選ぶなら、トムが人生をループする前半100点、その特殊能力のなくなるいつものアクション映画然とする後半50点の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」とか、そこらアタリが次点作でしょうかね。


と。
なにも3回に分けるまでもなかった企画でしたが、如何でしたでしょうか。
お暇に時の、映画鑑賞選定の一助にでもなれば。ではまた。

by wtaiken | 2014-12-29 00:01 | なんでもベスト10 | Comments(0)

続・2014 マイ・シネマランキング ベスト10   

今年の暮れはここ数ヶ月の繁忙が嘘のように、気がつけばカットアウトで仕事がいつの間にか終わってい、なにか拍子抜けな感じで例年にない早い大掃除に昨日からとりかかっている。

掃除も一段落ついたところで、今度は先送りにしていた年賀状のデザインに突貫工事でとりかかって、遅ればせながら年内にはどうにか発送できそうな感じである。まあそんなどこにでもあるような年の暮れを送っているわけだが、さて昨日中につづきを書くつもりが結局家人らが寝静まったこれから、というところ。

早速つづきの第5位から。


第5位  ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013) 監督 マーティン・スコセッシ

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未だかつてこれほど劇中「フ○ック!」を連発する作品はアカデミー優秀作品賞ノミニー史上なかったと言わしめた、まあとにかく行き着くところまで行ってしまった快感のある作品で、「ヒューゴ...」とか、このところ「終わった」感の濃厚なスコセッシが、"あのスコセッシ" として還ってきた!的な快作。
全編に渡ってディカプリオ最高!な作品で、ディカプリオ史上においても「ギルバート・グレイプ」と双璧なほど見事ななりきりぶり。ななんだそのダンスは!とか、ラリって自動車に乗り込むとことか、すっかり笑わせていただきましたよ。
それにしてもここまでやったのに最優秀主演男優賞がとれなかったのは、この作品でも冒頭にチラッとしか出ないくせに場面をかっさらっちまう旬な男マシュー・マコノヒーの、オスカーを穫りやすいとされる体重の増減系に阻まれてしまったから。
あのディカプリオ一世一代のはりきりっぷりにアカデミー会員もこれまでの芸歴合わせ技で応えてあげてもよかったのに、と肩入れしたくなるほど、本当にサイコー!でした。


第6位  裸のチェロ(1971) 監督 パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ

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今年の下半期は、 "EMPIRE誌発表の「オール・タイム・ベスト301本」ランキング中未見100本を一本一本地道に観てはつぶすブーム" があった他にも、ある世代にとっては「青い体験」で人気があったラウラ・アントネッリブームでもあった。

その彼女の主演作では、(数本鑑賞のうちいまのところは) 断トツで劇中ヌード率の高い作品がこれ。
"エロティック" というよりは、ラウラ・アントネッリ扮する自慢の奥さんの、その裸をどうにかみんなに見てもらおうとする夫の現実と妄想が交差する、かなりバカバカしいコメディで、途中もろ谷崎潤一郎「鍵」を彷彿とするシーンが出てくるのだが、あれは確実にパクリでしょうね。さらに "裸とチェロ" と言えば、の、マン・レイなシーンもあったりします。
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監督のパスクァーレ・フェスタ・カンパニーレは、コリンヌ・クレリーが裸でライフルを構えるポスターが有名な「ヒッチハイク」の監督でもあって、なんか "裸に○○" というモチーフのお好きな監督なのかもしれない。

写真映りではかなり損をしていると思うラウラ・アントネッリはとってもキュートな女優さんなので、ジャケット写真には惑わされずに、世の殿方には是非観ていただきたい映画です。

ちなみになんでもかんでもランキング好きな私の「この映画の、この女優の、このヌードを観よ!」ベスト10の第3位がこの「裸のチェロ」。そして前述のコリンヌ・クレリー「ヒッチハイク」は第5位。実はすでに以前の記事で、不動の第1位は発表済みなのだけれど、いずれこのランキングはちゃんとやるつもりなので、世の殿方はお愉しみに。
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それにしてもコリンヌ・クレリーもジャケ写で損をしている女優さんだ。


と、今日のところは2本紹介まで。残りの4本は今日か明日か。では就寝でございます。

by wtaiken | 2014-12-28 02:54 | なんでもベスト10 | Comments(0)

2014 マイ・シネマランキング ベスト10   

暇を持て余す大学生じゃあるまいに、昨年は「1年365本映画を観るぞ!」と社会人にあるまじきノルマを課したおかげで、年間397本鑑賞という自分としては偉業を成し遂げたものの、それは単なる「趣味」から逸脱としているような、なにか数字に追われる営業マンのような息苦しい感じがし、年間500本や1000本といったさらなる高みを目指すことも考えられたが、それは老後の課題に残しておき、今年は観たい映画を観たい時にのんびり観ていくつもりが、染み付いてしまった「暇とあらば映画を観る」体質はそう簡単に変えられるものではなかったようで、前回チラと各月毎の本数をお伝えしたその総数が12月27日現在232本という、「お前ちゃんと働いているのか」疑惑でも招きそうなことになってはいるものの、この数はここ4年間で最低本数だったりする。

まあそれはそれとして、これは今年に限らず毎年の傾向として、私が観るのは主に古い映画ばかり、ただ茫漠とやみくもに旧作を観ていることもあれば、なにかをきっかけに突如訪れるマイ・ブームでひとつのカテゴリー一辺倒になることもあり、それが今年上半期は、不謹慎な言い方かもしれない、まるで追悼を先読みしたような、若き日の高倉健や菅原文太が大活躍する東映任侠映画ブームがあり、下半期はイギリスのEMPIRE誌発表の読者アンケートによる「オール・タイム・ベスト301本」なるランキング中未見の映画が100本もあったことにショックを受けて、それらを一本一本地道に観てはつぶすブームがあった。ちなみに今のところ約半数を鑑賞し、残りあと53本となって、これは少しノルマに近い感触があるけれど、来年も引き続き実行したいと思っている。

さて、今年も残り数日となり、大掃除やら年賀状やら家のことにおおわらわとなって怒濤の年越しへ向け一気に加速しそうな昨今、もしかしたらこのあととんでもない傑作に出逢わないとは限らないものの、ちょっと宇多丸の「ウィーク・エンド・シャッフル」に影響されたわけではないと言い切れない、この時点での2014年に観た映画のマイ・ベスト10でも発表しようかなあ、と。

で、カウントダウン! なんてもったいぶることもないので、まずはとっとと第1位から。


第1位 昭和残侠伝 血染の唐獅子(1967) 監督 マキノ雅弘

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「鳶職」の世界、お葬式に「木遣り歌」が流れ、高倉健の役名が「ひでじ」とくりゃ、もうマイ・フェイバリットドラマ「前略おふくろ様」を彷彿としてしまう。
個人的には「昭和残侠伝」シリーズではこの一作が飛び抜けて傑作であり、いちいち高倉健のセリフが決まりすぎ、随所に散りばめられた捨て台詞もまたついつい画面に向かって「よ、健さん!」と声をかけてしまうほどにイカしている。

このブログでもちょくちょく言葉として出てくる「がまん劇」がこのシリーズの基本で、主人公の高倉健 (他のシリーズでは菅原文太や鶴田浩二) が巨悪な組織に理不尽な嫌がらせやあからさまな暴力を受け、それにじっと堪えに堪えるのだが、その我慢が限界を超えるクライマックス、怒濤の殴りこみへと突き進むという、のちの「必殺シリーズ」に連綿と受け継がれる物語構造がこのシリーズやその他多くの東映任侠もののパターンである。
いつも敵対する側に属する池部良が、反旗を翻して高倉健に「お供されて戴きます!」と言って殴りこみをかける二人の道行に流れる「唐獅子ぼーたぁあぁん」のいつもの熱唱も、改めて寅さんシリーズを引き合いに出すまでもないそのマンネリズムこそが、心地よい安定や安心を与えてくれるのだ。
私の任侠映画ブームは、別の面では藤純子ブームであったわけだが、にわか藤純子ファンとしても、有名な緋牡丹お竜シリーズの男勝りなお姉さんよりも、けなげにつくすかわいい女を演じることの多かった昭和残侠伝シリーズの方がやっぱり好きだし、その中でもこの作での藤純子がベスト。
「やだわ、やくざの映画なんて」なんて言わないで、「ぽっぽや」だとか「南極物語」だとか「幸せの黄色いハンカチ」だとかの "いい人" すぎる高倉健ばかりじゃなくって、ドスを脳天から力任せ振り下ろす修羅の高倉健も、是非この機会に追悼の意も込めて観て欲しい一本。


第2位 インターステラー (2015)  監督 クリストファー・ノーラン

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映画館に3度も通いながらベスト10に入らないじゃ道理が通らない。1位にしないところが我ながら照れ隠しな感じがしなくもないが。
改めていいところを書くまでもないだろう、さんざんやってきたことだから。
荒唐無稽を愛することもまた映画の楽しみ方のひとつだとだけ言っておきたい。
そして「ダークナイト」を “ アメコミ映画の枠から大きくはみだしたリアル都市型犯罪映画だ ” などと勘違いの絶賛をした人ほど「ダークナイト ライジング」に絶望し、そしてこの「インターステラー」だ。
クリストファー・ノーランは完璧主義者でもリアル志向の監督でもまったくないことを明示した、「残る」か「残らない」かをふるいにかける踏み絵的映画だったと思う。


第3位 暖簾 (1958)  監督 川島雄三

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とんだ駄作・珍作もあるにはあるが、おおむね傑作揃いだと思っている川島雄三フィルモグラフィの中において、「あれそういえば観ていなかったな」だったこの一作。
川島雄三、というよりは、いやはや主演の森繁久彌の凄さを改めて思い知る一作というか。同監督×主演コンビによるもうひとつの傑作「青べか物語」のソフト化が待たれる。


第4位 ホットファズー俺たちスーパーポリスメン!ー (2007)  監督 エドガー・ライト

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ついつい見逃したままビッグタイトルだけに「観たような気になれるから観なくていいか」系でバスしていた諸作の多かった「オール・タイム・ベスト301本」ランキング未見の映画100本中、これはなんとなくタイトルに見覚えが…程度の作品でした。
「観たような気になれるから観なくていいか」系は、「ああやっぱりどこかで観たような映画だったな」と、私的には可もなく不可もない映画がほとんどだったけど、これは狙っても大概外しがちな、カッコ良さとお笑いの見事なバランスのとれた最高の作品なんじゃないでしょうか。
サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、エドガー・ライトのトリオものでは他にもランキングされた2作「ワールズ・エンド/酔っぱらいが世界」と「ショーン・オブ・ザ・デッド」より本作を強くオススメしたい。


...と、第5位以下は引き続き本日のどこかで。もう眠いや。

by wtaiken | 2014-12-27 02:52 | なんでもベスト10 | Comments(0)

そこんとこよろしく!ここんとこご無沙汰!   

懐かしのダウンタウンのコントからの引用タイトルである。
それにしても、今年は、気楽にダラダラとブログの更新をマメにしようと思った矢先の、よもやの追悼途中放棄だ。

まったくあっという間のひと月だったし、つい先日年が明けたとばかり思っていたら桜は散るし、もういくつ寝るとゴールデンウィークが差し迫るという、勢いの止まるところを知らない月日の流れである。このところの1年は、なんか9ヶ月くらいで終わっているんじゃないかと思うのだが、どうなんだグリニッジ天文台。


市川崑を語る糸口を「おっぱいポロリ」としたまくらは我ながら上々であった。間を空けず、私は市川崑作品の見所を、古くは「暁の追跡」から、2007年の「ユメ十夜」まで、これまで観た約50本弱について一本一本端的に語るつもりでいた。しかしこれが改めて書こうとすると、もうだいぶ前に観たっきり印象の薄れてしまった作品が多々あった。例えば「黒い十人の女」や「炎上」、「私は二歳」などなど。これら一連の大映作品を市川崑の傑作と讃える向きもあるが、私はほとんど憶えていないのだ。まあ若くって、その作品の良さを理解できなかったってこともあるやもしれないし、だったらこの際も一回観とくか、と、そんな調子で古いビデオを引っ張りだし、それらを改めて観なおしたり、ついでにお気に入りだったオムニバス映画の「女経」をまた観たりなんかもし、さらに公開されて以降ソフト化に恵まれない「幸福」だとか「火の鳥」だとかの公開当時の記憶をたぐってみたり、なんてことをしていたら、時は「1年9ヶ月くらい」のスピードで過ぎてい、つまりもうなんだかすっかり書くのが面倒くさくなっていたのだった。

50本もやっていられない。そんなわけで追悼縮小決定。以下市川崑作品フェバリットトップ10。カウントダウンで。


10「雪乃丞変化」1963年c0018492_3344315.jpg





なんか最近、この作品、タッキーがやってたでしょ。

我々世代には特に思い入れのない長谷川一夫の、なるほどこれがかつての大スター演技かぁ、とちょっと唸ってしまう一本。もうとにかくすべてがたっぷりしている。そしてその濃厚さと真逆なのが、市川雷蔵。長谷川一夫二役の闇太郎のニセモノ、昼太郎を端役ながら飄々と演じていて、それがアクセントになっていていいのだ。


9「ビルマの竪琴」1956年c0018492_32133100.jpg





オウムが...、二羽のオウムが両肩に仲良く!

これはやっぱり日本映画史に残る名作なんでしょう。卒業式での「あおげば尊し」にはなんら感慨はわかなかったけど、この映画で水島上等兵が奏でる「あおげば尊し」には、「泣かせにきたな」とわかっていても、やっぱり涙。自由のきかない収容所内と外の通信にオウムを使う、なんてあたりもグッと来てしまう。音楽好きの隊長を演じる三國連太郎の、戦場での隊長役とは思えぬほどの軽妙さがいい。
「思うようにロケができなかった。ビルマの赤い土を是非カラーで撮りたい」という監督の思いから1985年に再映画化されるが、まるで東映のやくざ映画で使われているかのようなとってつけた銃撃音や爆発音、過剰な音楽の使われ方など、ちょっとどうなの?という演出が目立つ。隊長役の石坂浩二はシリアスすぎるし、オリジナルをしのぐリメイクものなどないのだ。きっとね。


8「ぼんち」1960年c0018492_3221992.jpg





これ、映画では、もっと横長の、ズドーンと広い画の中に、ポツンと日傘が置かれているのだ。

どんなに演出が優れていようと、やっぱり映画の善し悪し、好き嫌いは畢竟シナリオに依るところが大きい。特に私の場合は。それでもごくたまに、たったワンシーンのみでその作品が好きになってしまうこともあるのだった。
若尾文子演じる妾の芸者ぽん太が本宅へ挨拶にいく、ほとんどモノトーンで直線の屋根瓦と、鮮やかなピンクのまあるい日傘という対称物を、真俯瞰でとらえたワンカットがもうすばらしいのだ。このシーンだけでも観る価値あり。
ちなみに56年の「日本橋」では同じ若尾文子が雪の日本橋を、真っ赤な番傘で歩くシーンがあるのだが、それも目が覚めるように美しい。


7「鍵」1959年c0018492_3232721.jpg





京マチ子のまゆ毛が、とにかくすごいことになってます。

大映時代に好きな作品が集中してしまうが、やっぱりこの時代の市川崑は、映像作家として一番脂が乗っていると思う。夫婦を京マチ子と中村鴈治郎、その娘の婚約者を仲代達矢が、それぞれ爬虫類のような不気味な演技をしていて強烈なのだが、それにも負けず劣らず娘役の叶順子がいい味の映画である。
極力カラーの発色を抑えた色彩説計が、全体をヌメっとした感じにしている。
酩酊して気絶する妻を裸にして写真を撮る中村鴈治郎のメガネが、京マチ子のお腹にポロッと落ちてしまうシーンがとてもエロチック。


6「おとうと」1960年c0018492_3242123.jpg





どうやらビデオやDVDでは、残念ながら"銀のこし"の本来の色は再現されてないらしいのだけど。

やっぱりこの頃の市川崑は、黒澤の「隠し砦...」から「赤ひげ」時代に匹敵するね。姉げん役の岸恵子の頬がふくよかできれいめに撮れたシーンは、全部ギスギスに見えるように再撮したんだそうだ。大正期のカラーを再現してくれ、という注文に、カメラマン宮川一夫が現像の特殊技術で応えた、いわゆる"銀のこし"を開発したことで有名。デヴィット・フィンチャーの「セブン」とかでも使われている技術。
父の森雅之は、作家有島武郎の実子であるだけに作家の役にピッタリ。もし生きていたら、75年の「吾輩は猫である」の苦沙弥先生は、森雅之こそはまり役だったんじゃないだろうか。ま、この作品には関係ないが。
サパサパしたげんの所作で、湿っぽい余韻をカットアウトするかのような幕のおろし方は、到底男には書けねえホンだなあ、と思った。それは向田邦子のホンにも共通する凄みだが、当然市川監督の奥さんである和田夏十さんのシナリオと思いきや、違っていてビックリ。


5「女経」1960年c0018492_3251189.jpg





こうして見ると、やっぱり"キレイ"という言葉にピッタリな山本富士子。

三話構成の第二話「物を高く売りつける女」を監督している。ほかの二話は、増村保造と吉村公三郎。
高畠華宵の絵からそのまま出てきたような、いかにも日本美人の代表格たる山本富士子は、この作品を観るまではどこか優等生的な女優に思えて、私の中での「かつての女優ランキング」にはベスト10どころか圏外の人でしたが。前半の、ミステリアスで幽霊のような女から、突如べらんめえ口調に転調する山本富士子は、まるで植木等の「ハイ、それまでよ」みたい。それを可愛らしく演じて、とてもいいのだ。ここでも市川崑の色彩設計は抑えめで、青と赤のみ鮮やかに見せている。


4「細雪」1983年c0018492_3261581.jpg





んー、いいシーンですこれは。

デビューから軽妙な喜劇作家として主に東宝で活躍した時代を前期、大映で良質な文芸作品を連発していた時代を中期、そして76年の「犬神家...」以降の邦画界最前線に返り咲いてからを後期と括るならば、これは後期の代表作であり、傑作である。カット割り、照明、色彩設計のすべてが、金田一シリーズでの実験期を経て、見事に結実された作品。
さらにそれに拮抗してすごい仕事をしているのが、当時40歳になってからいよいよ美しさのピークを迎えるという脅威の女優、三女雪子を演じる吉永小百合だ。またとない絶好のタイミングだった、監督と女優の幸福な出会い。
ラスト、窓外に細雪の降る料理屋の二階でひとり涙を流す石坂浩二に、公開当時高校の私はいまひとつピンと来なかったものだが、この歳になるとジーンとしみじみしてしまうのだった。


3「犬神家の一族」1976年c0018492_326551.jpg





金田一耕助の登場シーン。「木枯らし紋次郎」オープニングタイトルの登場シーンとやっぱり似ている。

市川崑による金田一シリーズでは二作目の「悪魔の手毬唄」を傑作と推す人が多いが、私はダントツでこれ。もちろん76年の。2006年のリメイク作に、同じ台詞、同じカット割り、同じキャストがいくらあろうと、出来は雲泥の差だ。
あまりこの映画の面白さを理解しない人は、まず怖くもなんともない、という。さらに犯人と金田一耕助の、丁々発止の頭脳戦などを期待すると、肩すかしを食らうことだろう。じゃあなにが面白いのか。それは市川崑の動作に対する細かい演出の冴え、にあるのだ。
例えば、次女竹子と三女梅子の会話が、婿養子の金田竜之介の巨漢をはさむことで、少しだけ行き違ってしまう、ものの1秒ほどの動作。
犯行現場に残されたブローチを発見した金田一が、そればかりに気を取られ、テーブルに軽く接触する様。
犯人に自らの推理を勢い一気呵成にまくしたてたことで軽く咳込んでしまう、つまり金田一耕助の探偵としての若さの演出。などなど。
そのどれもがごく自然の所作の流れの中で処理されているから、いちいち観るものを立ち止まらせないが、これら細かい動作の集積により、登場人物のそれぞれが活きたキャラクターとして見えてくる。人がしゃべるときの無意識にする動きを、意識的に再現させることはなかなか難しい演出術なのだ。リメイク版に欠けている魅力のひとつはここにある。なんだかみんながみんな、台詞をしゃべるためにしゃべっているようにしか見えなかったんだよなあ。


2「股旅」1973年c0018492_39416.jpg





「映画は所詮、光と影」と言っていた市川崑。まさにこのシーンにこそ相応しい。ギザかっこゆすなぁ。

渡世人に憧れる若者3人の、70年代の時代感をたっぷり盛り込んだ青春ロードムービー。斬り合うショーケンと小倉一郎のカット割りが凄まじく、そのあと訪れる寂寞感なんて、まさに"「傷だらけの天使」渡世篇"といったところ。これを撮りたいがために、市川崑は、テレビドラマのアルバイトで稼いだギャラを製作費に充てた。それが「木枯らし紋次郎」だ。


1「木枯らし紋次郎」1972年c0018492_3302516.jpg





市川崑のヒーロー像は、どこからともなく現れて、いづくへと去っていく、定住しない孤独感。だからこの登場シーンは金田一耕助とおんなじなのだ。
それにしても新日本紀行に出てきそうな、これぞ日本の風景。今でもこんなロケーションってあるのかしら。


まあ、結局のところ、市川崑の映像は、このドラマのオープニングタイトルの演出につきるな、と。映画じゃないんだけど。
上條恒彦が唄う主題歌「だれかが風の中で」と、ジャンプショットやマルチ画面を駆使した映像の見事な融合。これを観るためだけに、子供の私は夜更かしをしていたのだ。そしてそれだけ毎週欠かさず観ては満足して、本編もそこそこに寝入ってしまう。だからドラマをほとんど憶えていないのだ。だからといって、改めて観ることもないと思っている。私にとっての「木枯らし紋次郎」は、このオープニングタイトルがすべてなのだ。


と、自分的には駆け足に好きな10本について書いてみたわけだけど、これも日によって変動したりするもので、とくに10本めを「雪乃丞変化」と「野火」とで迷った。「野火」ではミッキー・カーチスがとにかくいいのだ。
そう、なにより市川崑作品では、役者が実に魅力的に見える。10本には入れていない初期作品群における伊藤雄之助や「悪魔の手毬唄」の若山富三郎、金田一シリーズにおける加藤武や草刈正雄のコメディーリリーフとしての起用、山本富士子、岸恵子、吉永小百合...こうして改めて作品歴の半数近くを鳥瞰してみると、結句市川崑は私にとって、アングルだかと照明だとかカット割りだとかの"映像のスタイリスト"としてよりも、なにより「役者あしらいのとても上手な監督」だったという結論に落ち着いたのだった。合掌。

by wtaiken | 2008-04-12 08:40 | なんでもベスト10 | Comments(2)