「ダンケルク」観てから1日たって   

これを映画評価の基準としているわけではないけれど、ブックマークしてアクセスしやすいからついつい気にしてしまうYahoo!映画のユーザーレビュー数が、大々的に行った試写プロモーションのおかげもあってか公開前にして早191件と、この作品への注目度の高さを示す数値となってい、しかもレビューは書かずに星勘定による点数のみの投票は映画公開後に反映されるらしく、合わせて評価総数いまのところ 334件ということは、9日公開以降に現状で約140件の、そしておそらく日に日に今後ますます増え続けるであろう評価が加算されることとなって、さてどれくらいの星勘定で「ダンケルク」評価が安定してくるのか、ノーランファンとしては興味津々なところなんだけれど、これまでのノーラン作品と比較して予想するならば、ダントツ高評価「ダークナイト」の4,42を越えるのはまず無理だろう。つづく「インターステラー」の4.19もまあ無理だ。おそらくはこの「インターステラー」4.19と「ダークナイト ライジング」4.12評との間に落ち着くんじゃないか、というのが私の予想。もちろん締め切りがないものなので、この世の続く限り評価数は増え続け、点数もまたいつまでも変動するものなんだけれども。
ひとまずは公開後にまず今の評価4.05から一気に高くなるものと予測。そのあとちょっとずつ点数を落ちしていく、というのがこれまでのノーラン映画のたどる評価筋道。つまりまず公開後はノーラン信奉者がどっと繰り出しどっと評価し、つづいて割りと平常心な映画ファンがそれなりの評価をし、公開日からズレルごとに、あんまし興味はなかったけど一応押さえとこか的な超フラットもしくは斜に構えた観客による評価が加算されるという流れかと。ちなみに私はもちろん5つ星を点数だけ投票!

だとすると「ダンケルク」は文句なしの絶賛評...かっつーとこれがそんなことはなくって、公開後当ブログにて詳細を語る予定の映画評では、ノーランが選択したある2つの手法による利点と欠点両面を指摘したいと思っているのだ。
て、おいおい、絶賛しといてデメリットを指摘するなんて、さも私はダメなところもわかった上で高得点を上げてますよ的な、ひとつ高いところから見ているような、なんだか鼻持ちならない奴だなあ、なんて思われる方もおられるかもしれないが、ま、その通りです。いやそうじゃなくて。
いうなればこれまでのノーラン作品の多くに言えることが、「完璧な映画」なんて一作もないということ。あそこはダメ、あそこは気になる、なぜそこを描かないのか、あれやこれや数え挙げればキリがないくらいダメなところが多々ありつつも、あんなところがよかった、その描写がグッとくる、キャットウーマンのボディスーツを観られただけでOK的な、いいところの力が私には強すぎて、欠点をカバーして余あるというか、そんなこたぁどうでもいいじゃないかの心境になってしまうのだ。つまりはダンケルクもまさにそれ。個人的にはあまりにも美しいワンショットに心動かされて傑作と判断してしまうなんていくらでもあるわけで。それが映画だとも思うしね。

なので、ネタバレは極力避けるつもりの「ダンケルク」評、お愉しみに。

さてさて映画を観たおかげで、大手を振って「ネタバレ」表示も気にせずYahoo!映画ユーザーレビューを読めることになって、私として気になるのは、やっぱり低評価の星1つや星2つをつけているレビュアーが一体なにをどう指摘しているのかという点。高評価はどうでもいいんだ。まず大概褒めそやすところは一緒だからね。曰く「迫力」だの「臨場感」だの「緊張感」だの「リアル志向」だの「戦場に叩きこまれる感覚」だの。異口同音てなところでしょう。
ただ低評価、特に星を1つしかつけないレビューアーがなにをどう評価するのかが非常に興味をそそられるのだが、正直その多くは個人的な嗜好性に起因する評価でしかなく、あまりうならせられるほどの「いいとこ突いてきやがって!」なものはいまのところ皆無、に近かった。1件だけ、そうそこを私も指摘したい!ってレビューがあったけど、それは公開後の映画評で書くことなので、いずれ。
低評価レビューの多くはただもう「面白くない」という感覚的なものと、「淡々と進む」「筋がない」「ストーリーがない」といった類いの指摘。
「面白くない」という評価、こればっかりはもう何も言うことはありません。そりゃ仕方ない。どんなものにも好き嫌いは人それぞれだから。ただしこの映画に「筋がない」「ストーリーがない」や「淡々と進む」という評価については、これは申し訳ないが、そう指摘した人の映画リテラシーが足りないんじゃないのか、と私は言いたい。ベタなセリフ劇で説明しないと物語を感じとれないというのでは、もうちょっと情けない話だ。この映画には、もちろん歴とした筋もストーリーも起伏もあるしね。

あと音楽の指摘も多く見受けられた。ハンス・ジマーの音楽がオーバーで耳障り。これは個人的にはちょっと頷ける。何度もブログで言及してきたように、事前に一部映画館の予告篇枠で観ることが出来た5分間フッテージ映像の、音楽やメロディーは一切なくてただただ秒針が進む音だけのサスペンスが最高だと思っていたので、ほぼ全編に渡って貼付けられた音楽はちょっと饒舌すぎだったな、と確かに思う。サントラを聴いて、これをどう料理してくれるか期待した分、余計に気になったのかもしれないが。

それとこんな評価も。
「夜になったり、かと思うといきなり昼だったり。時間軸がバラバラです」。

あのー、もう一度よく映画の冒頭を観て、構成を理解してから書きましょうね。
ただ確かに、一回観たきりでは理解できない人も出てくるんだろうけど。

「こんな戦争映画をつくって、大衆がこれを支持している限り、戦争はなくならないな」。

なにをかいわんやだ。なにをとんちんかんな感想を述べているのだ。これが戦意高揚映画だとでも? 

...と、逐一人の意見にもの申して何様のつもりだ、なので、ここまでにしておいて、ってかなり十分でしたが。


ちなみに5分間フッテージは、ある一部を5分間切り出した映像ではなく、いいとこどりの編集した映像であることが映画を観るとわかります。
「ダークイト」の予告篇に使っていたバットポッドで光の中へ走り去るカットが、よもや映画のラストカットだったとはな! くらいの、5分間フッテージにはクライマックスへの肝腎なシーンが入ってたんだよねえ...って、これまた観ていない人にとっては消化不良の書き込みで失礼。

映画を観終わってから、昨年から3本に分けて公開された予告篇も改めて見直してみると、これまでのノーラン予告編に共通の、アウトテイクが今作もかなり使われてました。みなさんも観終わった後、予告篇をもう一度観てみてください。ああ、こんなシーンはなかったなあーと確認してみるのもまた愉しからずや。

ではまた。


by wtaiken | 2017-09-07 00:38

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