ああ、勘違い   

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忙しいと不思議なもので、画になりそうな面白エピソードがちょうどなかったりする。
まあそれは言うなれば、仕事にいっぱいいっぱいだと、こっちの、些細なことを面白がるアンテナが鈍るからなのかもしれない。

撮影−編集−MA(出来上がった映像に、音楽、ナレーション、場合によってはSEを入れて、映像と音を合わせて完パケにする作業)を繰り返すスタジオにこもりきりの日々を過ごしていると、お通じの具合が不順になったりしたが、そんなもの画に出来ないしな。
久しぶりに余裕のある今になって、ここ数週間のことをつらつらとなにかネタはないかと思い返してみると、ひとつだけあった。

唐突ではあるが、私は人から「声はいいよね、会田さん」とよく言われる。
ここで「声」“も”ではなく「声」“は”であるところが、返す返すも残念ではあるのだが、もうなんだか一々引っかかっていられないくらいに頻繁に言われている。
だから嫌味な話だが、こと声に関しては、ずいぶんと天狗なことになっているのだ、私は。
で、こんなことがあった。

先日のMAで、ナレーションを奈佐健臣(ケンジ)さんにお願いした。
よく指名で依頼する、頼りにしているナレーターのひとりだ。
その奈佐さん、実は先の我がワールドツアー公演前日、自らの一人芝居の折り込みに、ザムザ阿佐谷に来ていたのだ。
お見かけしたんだけど残念ながらミーティング中で声をかけられなかった、とそんな調子で雑談ははじまった。
「こないだ来てたでしょ、ザムザ阿佐谷に」と切り出し、ポッカーンとする奈佐さんに「あん時、小屋の中にいたんですよ、私」なんつって話は盛り上がっていった。
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笑ってる場合ないようなのだ、私は。
なんだなにが違うんだ。
と、そこで私の頭脳回路がフル回転だ。

「声、いいっスよね!」と言われ、照れ笑いする→×
だったら、どうリアクションをとるべきだったのか→????

も一度考え直してみようじゃないか

ん...? もしや「声、いいっスよね!」この出発点を聴き違えたんじゃなかろうか私は...

だいたい唐突すぎるわけだ、「声、いいっスよね!」なんてさ。
じゃあだ、話の流れはなんだったかだ

「こないだ来てたでしょ、ザムザ阿佐谷に」なんていってさー・・・、

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こうして微妙な空気を残しつつも、会話はなんとか流れていった。
「なんか聴き間違いしたんじゃねーか、この人は」くらいはもしかしたら悟られたかもしれない。なんだよ、この人たー。照れ笑いしてるよ、どーも。なんて思ったろう。
だか「声を誉められーので、大いに照れ笑い」なんてことまでは、よもや色男であっても気づくまい。ひやー、危ねー危ねー。
ま、冷静に考えてみればだ。ナレーターですよ、声のプロフェッショナルっすよ。言うわけないじゃないか、お世辞にも。

それにしてもミスはミスとして、相手の表情を見て瞬時に聴き間違いに気づいた見事なリカバリーっぷりには、やるよな、オレ。ともちょっと思ったりした。


で、後日談。というか、本日談。
画を描くにあたり、奈佐健臣さんの顔ちょっとでも似せようと思い検索。
ご自分のホームページなどあったりして、んでその経歴読んでビックリ。なんと、なななんと! 元状況劇場の人でした!!
佐野史郎あたりと同じ時代に在籍していたようで、おそらく自分が大学時代頻繁に観てた芝居にも出ていたようです。
その後、オルガンヴィトーに。
なんだかえにしを感じてしまった、一方的に。
で、今度仕事で会ったら、是非そのへんの話題で盛り上がろうと思いましたとさ。
唐十郎の話とか、訊こうっと。


※二枚目の自分の顔から、今生やしっぱなしの無精ひげが描き落ちています、画をご覧の際は、口元と、顎に無精ひげを頭の中で描き加えくださいますようくれぐれもお願いいたします。

by wtaiken | 2005-05-23 23:37 | ああ、監督人生 

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