「目指せ、針すなお!の似顔絵塾」第三の男   

昨年WOWOW無料放送で勝新太郎の映画座頭市シリーズ第1作「座頭市物語」を観たのをきっかけに、レンタルが解禁されていない数作をのぞくすべてを立て続けて視聴し終わる頃合いを見計らうようにして、今度はBSフジでテレビシリーズの座頭市が連日放送されはじめ、年が明けてからは第2弾「新・座頭市」の第1シーズンがただいまオンエア中だ。

映画の1本目「座頭市物語」とつづく「続・座頭市物語」はモノクロ作品で、
若き日の勝新は全身ピリピリした刃物のごとく、演じる座頭市はなにをしでかすか得体の知れない不気味な存在であった。
以降シリーズが進むにつれ、座頭市のキャラクターは正義感を前面に打ち出した、人なつこい愛嬌のある善人へと変貌してしまうのだが、特にこの初期2作は市の存在こそが作品全体を支配するいい緊張感を生んでいるし、まだ太る前の勝新の体のキレは抜群、居合い抜きは電光石火でまさに神業、そのシーンだけでも一見の価値ありだ。
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徐々に笑いの要素も取り入れ毎回豪華なゲストを迎えながらも、シリーズものの宿命たるマンネリズムに陥るわけだが、たとえば映画化の8本目となる「座頭市血笑旅」は、その後のテレビシリーズで勝新太郎初監督作品にこれを取り上げリメイクもするほど思い入れが強かったようで、座頭市の旅に”赤ん坊”を同行させるという足枷をはめて、シリーズに新鮮みを加えることに成功している。
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他には、成田三樹夫のクールな悪役っぷりがかっこいい「座頭市地獄旅」、
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松方弘樹の父である近衛十四郎と勝新の対決がシリーズ屈指の名シーンである「座頭市血煙り街道」あたりはオススメだ。
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テレビシリーズは、映画だと1時間半ほどのストーリーを凝縮して正味45分にまとめているのでテンポがよく、結局のところは勧善懲悪で、剣ひとつ抜けば向かうところ敵なしのこのスーパーヒーローを扱うソフトとしては、映画よりもむしろテレビドラマの方が最適だったのではないかとさえ思う。
またゲスト陣は映画よりも時に豪華だったりする。石原裕次郎、吉永小百合、浅丘ルリ子…これまででは田中邦衛と緒形拳がゲストの回が出色の出来で、両名ののびのびとした怪演ぶりは圧巻だった。
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そしてなんといってもグッとくるのが男気満載の主題歌だ。
テレビシリーズ第1作目の「座頭市物語」では主題歌の「おてんとさん」を勝新自らが唄い、そしていまオンエア中の「新・座頭市」の主題歌「不思議な夢」は石原裕次郎。「おてんとさん」は冨田勲作曲で「不思議な夢」の作曲は"悪魔の手毬唄"村井邦彦。
似顔絵塾第一回目二回目の出典「江戸川乱歩美女シリーズ」同様、これもCD化を希望したい。

アヘン不法所持事件で打ち切りになった「新・座頭市」第2シリーズ、そして第3シリーズとこれからも引き続きオンエアしてくれるんだろうけど、もっとも期待しているのが、テレビシリーズの末尾を飾る2本を映画監督の勅使河原宏が手がけていること。これは愉しみだ。


さて話が長くなったが、本題の似顔絵だ。できればこういうスケッチ的な手法は用いたくなかったが。
この塾で自分に課しているのは、「目指せ!針すなお」のタイトル通り、針すなおセンセイのごとき整理されたシンプルな線、引き算で顔を表現し、一見すればそれを誰が描いたものかすぐにわかってしまう自己流似顔絵スタイルの発見にあるので、ちょっとこんなんじゃーなーという感じなのだが、それはそれとして、結構うまく描けたと手前味噌ながらアップしましたとさ。
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テレビシリーズは撮影期間が長いので、この似顔絵を描いた回より上のスチルは髪が伸びているようだ。
また、ごっちゃにしているが、似顔絵の参考にしたのは「新・座頭市」で、"おてんとさーんー"と勝新が唄ったのは「座頭市物語」の方だ。くどいようだが、一応。

by wtaiken | 2012-01-27 03:40 | 目指せ、針すなお!の似顔絵塾

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