2016年映画館鑑賞映画総括 其ノ肆   

9月
32.「セルフレス / 覚醒した記憶」
世の中スター・ウォーズエピソード7以降、隠れ流行語的に "覚醒" 使いばやりだ。監督のターセム・シンといえば、CMディレクターであり、各国美しいロケーションを求めて完成に数カ年かけたという2006年「落下の王国」でのこだわりの圧倒的映像美こそが真骨頂だと思っているのだが、それをピークにして以降「インモータルズ」だの「白雪姫と鏡の女王」だのとハリウッド大作をそれになりにこなしていくそれなりの監督に収まってしまった感がある。これもその系統の一作。普通に面白いし (ホメ言葉) ラストシーンは「ショーシャンクの空に」オマージュかな? 個人的にはバッドエンドもありだと思ったけど。


33.「スーサイド・スクワッド」
偏った映画通ら選出による「映画秘宝」2016年の (一応 "とほほ映画" という表記で配慮している) ワースト映画を、DCコミック映画勢が見事にワン・ツー・フィニッシュ決めた、そのNo.2。※1位は「バットマン vs スーパーマン」。これは以前書いたけど、とにかくこの内容にしてあれだけの期待感を煽る予告篇をつくりえた予告篇ディレクターに惜しみのない拍手を。とにかくなにからどう切り出していいかいっぱいありすぎて楽しくなっちゃうくらいにひどい設定の連続。俗にいう "ツッコミどころ満載" っていうやつで、そもそも私は一連のDCコミックス映画作品のボタンの掛け違いは「マン・オブ・スチール」にあると思っていて、スタート時で敵キャラをいきなり異星人にしてしまったところが味噌のつきはじめだと確信している。DCシネマティック・ユニバースの冒頭からいきなりド派手な異星人VS異星人なんてことをやっちゃうから、「バットマン vs スーパーマン」でもレックス・ルーサーだけではバトルが地味すぎるからと、出自の設定がよく理解できない "ドゥームズ・デイ" なんていうバケモノを出さざるを得なくなるという、2作目にしてこの破綻ぶり。で、もしその軌道を修正できるとしたなら、私はこの悪役ばかりの特攻集団劇で可能だと思っていた。まともな頭じゃ解決できそうもない汚い仕事をあえて減刑という約束とともに任せてしまうというやつで、たとえばなぜ救出になければならないのかわからない単なる一般人をどこぞ難攻不落なところから救い出す作戦だとか。解決していく過程で、実は人類の存亡まで関わるかは置いて、重要人物であることがわかるみたいな。とにかくなんでもいいんだが、もうさーよりによって "魔女撃退" ってのが、もう...。人類にとって、そのエンチャントレスなる敵がどれだけの脅威かもよくわからないし、あの宙空にいろいろかき集めている光る珠は、あれは一体なんなの? なにがどうなってるの? その魔女の力を封じるための制御装置みたいなものもあっさり反古にされて暴走させちゃうってなんなん? それを回収するための特命って、特攻野郎たちにとっての意外などんでんも観ている側からすると「別にそれがどうした」だし。「これからありえるかもしれない宇宙からの脅威に対し、特殊部隊をつくるべきです。」「誰もやんないよ、そんなの」「減刑と約束して、死刑囚らを」「いいねえ」「じゃ魔女もスゴいからメンバーにしましょうよ」「いいねえ」で、暴走。「てめこのやろう、人類を裏切りやがったな。許さないわよ!」ってバカなんじゃないの、出てくるみんなが揃いも揃って。宇宙の脅威からなら、バットマンらジャスティス・リーグがそのうちできるんだから任せときなさいよ。と、それはここでは言わないにしても、じゃあなんだって炎を操るだの射撃の腕がスゴいだのといった特殊能力のない、ただの暴力に歯止めがないだけのヤンキー娘ハーレイ・クインが人類存亡をかける部隊メンバーに含まれるわけ? 登場人物らからもそこについての一切のエクスキューズはないし、てか台本段階でなんか疑問に思う人は総勢何人か知らない製作陣にひとりもいないわけ? 原作がメンバーに加えてるし、じゃダメ。まずそういったところからすべて組み上げないと、台本というやつは。たとえばこの作戦には是非ともジョーカーが必要で、それをかり出すための人身御供でしかない、とかさ。ジョーカーが必要な理由? そんなのはわしゃ知らんよ、脚本チームじゃないんだから。でも観る側としては、とにかく一々に、なんか頷ける設定が欲しいわけで、そう細部をどんどん置きっぱなしに話が進んで行くからもう気持ちが離れる離れる。ジョーカーを演じたジャレッド・レトのピリピリした感じは決して悪くないんだけど、裏もなにもないただただ一途なハーレイ・クインラブラブ設定じゃ浮かばれないよ。でもって極めつけは、スパッと潔く一切の私生活をぶったぎって対ゴジラに特化した「シン・ゴジラ」とは真逆の、えー、こんな後半戦でまだ回想シーン差し込むかね! のいつまでたっても「悪役も1人の人間」描写がくどい、くどすぎる! いやあ、ひさしぶりにひとずきる映画を観てから早半年弱、ようやくここで一気に不満をぶちまけた。私としては「バットマン vs スーパーマン」なんかより数段劣る、去年の断トツワースト・ワン。ハーレイ・クインフィギュア熱に犯されなくて済んで良かった...? とも言える。当ればなんでもよし、品質は問わない? DCシネマティック・ユニバースとしては、もう続編も製作決定。観ません。ハーレイ・クイン主役のスピン・オフ女性ヴィラン特攻部隊ものも創るんだってよ。それには新しいキャットウーマンも。観るかも。


34.「君の名は。」
「人間・失格」みたいな、「。」句点打ちゃOKみたいな。基の、というか元祖というか、数寄屋橋のマチコ巻き「君の名は」とはなんの因果もないようで、戦争という悲劇をはさんで描かれる男女のすれ違いを、今作では未曾有の天災をはさみ込んだ男女のすれ違いという意味では親和性があるんだけど、そこに時空をも絡めた点がミソというか「時をかける少女」というか男女入れ替わりまで取り込んでの「転校生」だったりもする、これまでの新海誠集大成「ベスト・オブ」的な側面のある、とにかくてんこ盛りな映画。ローアングルから見上げる主人公込みの空の捉え方なんてもう毎度お馴染みのカットって感じだし、キラキラした東京の情景描写や「口噛み酒」 (あたしゃ存在すら知らなかったよ) すらもキラキラと美しく表現したり、最後の最後まで頑とした姿勢の父も嘘みたいな話になぜか突き動かされるしで、とにかく醜いだの汚いだのといった暗部を一切描かないような作風だったり、奇跡的すぎの、ありえないことの連続なストーリー自体、もしかしたら好き嫌いの別れるところかもしれないけれど、私は、とっても愉しみました。面白かったです、単純に。これは以前書いて繰り返しになるけど、自分のおっぱいもみもみしながら「よかったぁ」と泣いている主人公の女の子 (?) の姿を見て、わははと笑いながらも涙がこぼれちゃう映画なんてそうはないですよ。それにしても、それまでの興行成績わずか数億円の、一般的に知名度も高くないだろう監督が200億円超えの超特大ヒットを生み出す、というか世の中がそれを導いたメカニズム、そここそが私的には一番興味深いところ。作画監督の安藤雅司はジブリ出身で、ジブリ印の絵力もきっとヒット要因のひとつだろうね。このジブリ、恐るべし、については、このあとにも触れることになる。



寸評のつもりが、酷評と絶賛の2作で長くなってしまった。3本止まりだけど、今日はここまで。
カウントミスで、去年映画館で観た映画総数43 → 44本に上方修正なので、残りあと10本。もう2回くらい続きそう。ではまた。

# by wtaiken | 2017-02-26 04:31 | Comments(0)

2016年映画館鑑賞映画総括 其ノ参リベンジ   

今月末は2本の大きい案件が佳境を向かえており、連日連日確認確認の毎日だ。仮編集映像を確認しては「ここはこう!あそこはこう!でもってそこはそうでしょ!」とぱかりに修正の指示を出し、はたまたクライアントからチェックの入った台本を確認しては「いや、ここはこう直しませんか? ここの文章はおかしくないですか?」などとさらに修正を入れては送り戻したり、そんなこんなの確認作業に加え、朝の7時半からクライアントに仮編集映像を観てもらいに竹下通り脇の某企業へ赴いてみたり、かと思うと汐留の某代理店へミーティングしに行ったり、そんなわけで一気呵成に働いて一息つくかと時計を見やればデジタルの数字が02 : 00を大きく回っていたのするもんだから、おかけで宣言していた続きの更新が叶わなかった反省を踏まえ、今日こそはいきなり本番突入のつもりが、ダラダラなんか前戯が欲しいんだね、どうも。
てなわけで、いきましょう、其の参リベンジ。22本目ですわ。


6月
22.「教授のおかしな妄想殺人」
ウディ・アレンの決まって年に1本公開される新作を、劇場で観はじめてから早何年経つのか。そして今作。邦題が期待させるじゃないか、ウディ・アレン的なコメディを。さあ笑うよ、さあ来るか、おいどこだどこで笑いが炸裂すんだ? まだかあ?まだなのかあ?とじりじりとする1時間半後、終わってみてようやく「なんだこれウディ・アレンの笑えない方の映画か」と気づくという。「マッチポイント」まで振り切ってはいないものの、かなりシリアスな犯罪映画だ、これは。邦題をつけた日本の配給会社の方は感覚がどうかしてるんじゃないのかね。宣伝文句にあるブラック・コメディでもないしね。ただしこのタイトルと内容に齟齬があったことについては作品にまったく罪はなく、むしろ妄想が妄想でなくなった男のたどる末期が如何にもウディ・アレンらしいシニカルな描写で、「よ、粋だね」と思うくらい私は「いい」と思いました。あの老齢にして稀にみる量産型映画監督としては、十二分にクオリティが担保されている。もろちん今年の新作も観るよ、劇場で。



23.「ノック・ノック」
美女、というよりは "かわいい" という形容がピッタリくるアナ・デ・アルマスに、加えてもう1人が実生活では今作の監督イーライ・ロス夫人のロレンツァ・イッツオがだ、よりによって2人揃いも揃って全裸で迫ってくるってんだからさー。そりゃもう普段は善きパパのキアヌだって、男の性が黙っちゃいませんぜよ、てな感じでよろめきますわな。よろめいてワンナイト・ラブに突入しちゃった翌朝に突如「誘惑に負けるなんて、いいパパづらのあんたも所詮ただの男ね! はい、死刑!」って、おいおいおい。むちゃくちゃでござりますがな! の、男からすればあまりにも理不尽な、女からしたらこれ一理あったりするの? なロジックで、キアヌがとことん責めさいなまれる狂気の復讐譚だ。そう、これぞまさししく "狂気" の沙汰というわけで、1977年の「メイク・アップ 狂気の3P」というあまりにもえげつない邦題のリメイクなのだ。もとの方の旧作で誘惑するひとりが、元クリント・イーストウッドの愛人にして現映画監督のソンドラ・ロックで、このリメイクでは製作総指揮として名を連ね、もう1人の、「地獄の黙示録 特別完全版」でもプレイボーイ・ミス5月として豊満なヌードを披瀝しているコリーン・キャンプは、マッサージのおばちゃん役としてこのリメイク作に再出演を果たしている。それはそれとして、やっぱり男は男の立場で観てしまうわけで、あまりにも不条理な展開に、もとの旧作にはないキアヌの「ジョン・ウィック」ばりの反撃を期待したんだけど、結局のところ情けない男に終始する最後の最後、二人によるいたずらの、とんでもない動画アップにコメントがスコーンと入っての、家族が帰ってきてのラストの一言には、そこまで憤懣やるかたなかった私も思わずプッと吹いてしまったわけで、だったらそこの至るまでにもう少しくらいは笑いのエッセンスを散りばめてくれていたら、映画の見方も変わって、楽しめたのかもしれないのにー、と少々残念。リメイクの方の2人は、やっぱりどうあれかわいいし美人だし、で、狂気っぷりがいまひとつ。そういう意味ではもとの方の「メイク・アップ 狂気の3P」、ジャケット、不気味すぎ。特にソンドラ・ロック!


24.「10 クローバーフィールド・レーン」
予告篇があまりにも衝撃的だった「クローバーフィールド」も今やひと昔の、もはや忘れられた映画と言っても過言ではない作品の、なんでまた今更な、同一世界における、別の場所での事件後の物語なんだそうで、それでも一応観に行くという。でまた別シチュエーションの次作もあるという。で今作に特に感想はないという。



25.「ヒメアノ〜ル」
あっぷねーなー、森田剛。あれリアル森田剛なんじゃねーの、というくらい迫真といえば迫真。感情を子供の頃に置き忘れてしまった、どうやら原作漫画にはないらしい描写にはちょっと揺さぶられたけど、それくらいかな、感想は。


7月
26.「アリス・イン・ワンダーランド / 時間の旅」
白の女王アン・ハサウェイだけを観に行ったので、やっぱりそれだけの映画だった。そもそも前作は大ヒットしたけどまったく面白くなかった、そんな映画の続編が楽しかろうはずがないじゃないか。3Dブームの置き土産的に、一応もう1本創っちゃいました、な、もはやどうでもいい映画。


27.「ロスト・バケーション」
人間って、サメ好きだよねー。「ジョーズ」以降、どれだけのサメサメパニック映画が創られてきたことか。そしてそのすべてが「ジョーズ」の前に撃沈する宿命にある。とはいえCG技術も行くトコまで行ったことだし、どれ久方ぶりにサメサメパニックに浸ってみっかと、少々期待して観に行ったわけだけど、結果「ジョーズ」の土俵にも上がらせてもらえないというか、あの金字塔には、どんなサメ映画だろうと、昇るどころか門も叩けないんだなあ、とつくづく再認識。これは以前ブログに書いたかもしれないけど、かつて試写会で「ジョーズ」を観た野村芳太郎監督が、声をかけた小林信彦に向かい「もうこの監督の映画は観る必要がありませんね」と言ったんだそうだ。面白く観た小林が「どうして?」と訝ると、野村監督は平然と「彼はもうこれ以上の映画は創れませんよ。この映画が彼のキャリアのピークだから観なくてもいい」的な断言をしたんだそうだ。実は最高の賛辞をおくっていたと言うわけ。"見巧者" とはこういう人のことだ、と小林信彦はエッセイに記している。って、まったくこの映画評から離れてしまった逸話だが。もはやなんぴとたりとも「ジョーズ」を越えるサメサメパニック映画は創られず、「ジョーズ」の前に「ジョーズ」なし、「ジョーズ」のあとにも「ジョーズ」なしという、そんな唯一無二な映画は確かにあるのだ。たとえば第一作目の「ゴジラ」もまた然りで...なんて、その時は思いめぐらしはしなかったものの...


28.「シン・ゴジラ」
よもやこの齢で、これほどまでに「ゴジラ」映画に感服することになるとは思いもしなかったよ。なにかとんでもなくスゴい映画をつくってしまった庵野監督は、言うまでもなく「エヴァ」で一世は風靡したものの、この実写もの1作で、突如日本映画界の次作を待たれる大注目の映画監督へごぼう抜きで飛び出した感がある。そりゃ映画はもちろん面白かったさ。特にあーでもないこーでもないと首脳会議が連発する前半、もうあたしゃ終始にんまりして観てましたもん。特に「あれ、動くんだ」の中村育ニがツボ。長谷川の「ガッジィラ? 言いにくいな、ゴジラで行こう」とかね、いいよね、随所セリフが。で、私的な一番のピークは、北品川における迎撃するかしないかの攻防戦。自衛隊機と第三形態ゴジラのにらみ合いがもう最高にスリリングで痺れました。たとえば第二形態の、あのとってつけたような死んだ魚のような目はもろに使徒だし、第四形態での背びれが延びて幾本もの光の棒になる描写は、ありゃ巨神兵のまんま、原作漫画の、だけど。最後のゴジラの尻尾も、私にはエヴァ、というか綾波に見えたけどね、とか。とまあとにかくあれはこうだの、それはこうだのと語らせる映画にしたのがマニアを生むには正解で、語ればいくらでも語れそうな、俗にいう「メシが何杯でも食える」そんな映画としての面白みもさることながら、私としては、新しいゴジラ映画を、まだ実写映画では実績の乏しい1人のアニメーション監督に託した大英断をこそ評価したいわけで、さらに快諾までにはいろいろあったみたいだけど、面白いゴジラ映画のためには外野の声には一切耳を貸さない監督ぶりとそれを許した東宝制作サイドに賛辞だ。たとえばゴジラ映画と言えば親子で楽しめるファミリー映画としての側面をなんの未練もなくバッサリ切り捨て、過去作からの呪縛もすべてバッサリ断ち切り、おかげで如何にもな東宝大作キャスティグや、ゴジラといえば的なカメオ出演なんかも一切しないという潔さ、登場人物らの余計な恋愛関係や私生活描写もまるでなし、人間対ゴジラのガチ勝負を気の抜く描写一切なしで描ききった、とにかくゴジラ映画としては異例中の異例でありながらも、これぞ観たかった怪獣映画だと思わせとしまったという、こりゃもう今にも切れそうな細い糸のうえを綱渡りして成功したような神業くらいに私は思っている。正直、代理政府以降はちょっと飽きた感もあったり、他にも、単なる巨大な立像のように目も何も一切の感情を見せかなったゴジラの、人によっては "待ってました!" なのかもしれない咆哮は、個人的には吼えない方が不気味でよかったにのー、なんて思ったりとか。マイナス面もないことはないんだけど、やっぱりこの映画は、創られたことに意義があるんだと思う。よもや次作まで「エヴァ」を待たせて庵野が監督を続投するとは思えないので、これが創られてしまった以降のゴジラ映画をどうしていくつもりなのか、どうでるのか東宝は、が目下気になるところ。
ちなみに何回も劇場に足を運んだ映画は、その回数分カウントしているので、公開日に観たこの映画は、たまらず3日後に2回目の鑑賞をし、トータル29本目の映画も「シン・ゴジラ」であり、公開が終わりそうな8月末日に3回目の鑑賞をしたので、次の1本を挟んで31本目も「シン・ゴジラ」となります。


なので
30.「X-MEN : アポカリプス」
だからさー、こういった特殊能力の寄せ集め集団同士のバトルは、肉弾戦じゃダメだって。特殊能力が3人くらい集まればもうそりゃ千人力になるんだから。千人力対千人力の力比べなんて、そんなの映画じゃないよね。たとえば第1作目での鋼の爪持つウルヴァリンに対し鉄を自在に操るマグニートだったり、そのマグニートを封じ込めるために総プラスチックの牢獄に監禁するとか、じゃあその牢獄を脱獄させるためマグニート好きのミスティークが守衛を色仕掛けで誘って鉄分の多いドリンクを無理矢理飲ませ、それを感じ取ったマグニートが「ん、お前のカラダからは鉄の臭いがするぞ」なんて体内の鉄分を噴出させ寄せ集めてつくった鋼鉄の球を投げ打ちうまうまと脱獄に成功するとか...とにかくあー出ればこー行く的な頭脳戦を用いないと、もうまったく面白くないです。ブライアン・シンガー、腕が落ちたねえ。本流がこんな出来じゃ、そりゃ「デッドプール」が喜ばれるのも無理はない。



いやあ、30本までレビューしたなあ、あんまり関係ないことも入れ込みつつ。
次回でこの短期連載も終わらせたいところ。書きはじめたらまだまだ書きたくなった「傷だらけの天使」についても、できれば放送中にアップしたいし。ではまた。

# by wtaiken | 2017-02-25 02:21 | Comments(0)

2016年映画館鑑賞映画総括 其ノ参   

2月の二週目からBS12 (トゥエルビ) にて、火曜から金曜の夜9時より「傷だらけの天使」がオンエア中だ。週4話、全26話はおおよそ1ヵ月でオンエアが終了してしまうが、もしこれを読まれている方で「DVDを持っているから別にいいです」なんていう人は明日からでも遅くない、エアチェックすべし、だ。
2013年に発売されたBlu-Ray版は持っていないからその画質との比較はできないが、所有している2001年版の2BOX版との比較で言うと、まずもって全体的な暗部、暗い画面がかなり明るくなっている印象だ。その分粒子の粗さも軽減されており、明らかに全体の画質はアップしている。第3話「ヌードダンサーに愛の炎を」での中山麻理のゴージャスなストリッパーぶりが、少しばかりではあってもキレイな画質で観られたのは、いやあよかったよかった。
おそらくDVDもオンエアもマスターは同一なんだろうけど、DVD盤における暗くて粗かった画質は再現性の限界なんだろうと思う。さらに言うなら、BS放送の画質は、おそらくBlu-Ray版と同等の画質だろうと憶測する。よほど気にして見比べない限りは、両者共に「ああ、40数年も前の、古いテレビドラマの粗い画質ね」と判断されてしまうくらいの差ではあるが。
ただ中学の頃、4時台の再放送を観て以来のファンとしては、少しでも明るくキレイになった今回の「傷だらけの天使」は嬉しい限り、とはいえ "テレビドラマの金字塔" にとどまらず、神代辰巳、深作欣二、工藤栄一、そしてなかなかソフト化に恵まれない鈴木英夫ら錚々たる映画監督たちのフィルモグラフィとして、誰かしっかり16㎜フィルム原版の1コマ1コマからリストアを行い、後世に残るよう鮮やかに蘇らせてはくれないものかね。誰かー、奇特な人ー、お願いー。
いや、その前に、テレビドラマとしては異例中の異例、全26話を35フィルムで撮影した「祭ばやしが聞こえる」が早くソフト化されないかなあ。無理かなあ。BS12でショーケンものとして、「前略...」から「祭ばやし」と続かないかなあ。と淡い期待。

と、ひさしぶりに前段が長くなったおかげで、本題の映画評が...力つきた、というよりはもう仕事しなくちゃだわ。
こんな中途半端もなにもタイトルに偽りありな記事にはしたくないので、本日中には「デッドプール」の続き、22本目の映画評で更新予定です。ではまた。

# by wtaiken | 2017-02-22 23:13 | Comments(0)

2016年映画館鑑賞映画総括 其ノ弐   

前回同様、去年の自分ばかりか、さらなる過去にまでバック・トゥ・ザしてしまう、おのれを振り返ってばかりいる記事の続きは、いきなり唐突にはじめてしまうのだった。

2月
8.「ザ・ウォーク」
同じフィリップ・プティという大道芸人を扱った「マン・オン・ワイヤー」という、凝った再現ドラマを交えたドキュメンタリー映画があって、それがなかなかの映画であったし、幾らVFX技術があがったからといっても事実を事実として描いた作品には到底敵うまいと高を括って、ジョセフ・ゴードン=レヴィットファンということだけでさほど期待もせずに一応観に行ったけど、これはこれでちゃんとした、普通に楽しめる映画でした。というか、高所恐怖症の私としては、ワールド・トレード・センター両ビルを取り囲んだ警察官らの「逮捕だ、すぐ戻れ」の命令を無視して、ロープの真ん中で調子こいてパフォーマンスをし続けるプティには、心底「お前この野郎、いい加減に地に足着いたところに戻ったらどうなんだ、バカやろう!」とハラハラのし通しでしたよ。ったく。


9.「オデッセイ」
この映画、あきらかにアンチ「インターステラー」だと私はとっている。端的に言うと、「インターステラー」は、宇宙は壮大で神秘的で蠱惑的、人知を越えた存在に翻弄される映画であり、対してこちらは、知恵と勇気で人間どうにでもなるんだ、人間万歳というメッセージ映画。でまあこれくらいのことならなにも一映画に対し "アンチ" と思うこともないところだが、両作ともに、宇宙に取り残される男という役をマット・デイモンが、片や宇宙の神秘に成す術なく卑劣な手段で地球生還を画策するバッドガイ、片や自分の持てる知見で生還を目指すナイスガイという、同シチュエーションで両極端を演じさせ、それを支える役柄にも2作ともにジェシカ・チャステインを配するという念の入りよう。(「インターステラー」においては生還のための精神的支柱、こちらではフィジカルに生還のために尽くすという違いはあるものの) しかも出演依頼を受けたマット・デイモンが「インターステラー」での似たような設定を再び演じることに二の足を踏んでいると「そんなもん、数年後にはみんな忘れているよ」とリドリー・スコットは口説いたという。インターステラー派としてはこの逸話看過できないところだが、出来がよければすべて許すつもりが、個人的には "普通" 以上でも以下でもない中庸映画でした。今年の「エイリアン・コヴェナント」での復活を願いたいが、私にはこのところリドリー・スコット、ハズレ続きです。


3月
10.「ヘイトフル・エイト」
TBSラジオ「ウィークエンド・シャッフル」での「週間映画時評ムービーウォッチメン」で1年間に評した51本から毎年末にベスト10を選んでいる企画で、その10指には入らなかったものの、宇多丸師匠がこの映画を一言で振り返った感想と、私の寸評はまるで一緒。要はオープニングだけでこの映画は観る価値がある、ということ。アカデミー映画音楽賞をもたらした世界の巨匠エンニオ・モリコーネによる、これからはじまる映画の期待と不安を見事に煽ってくれるスコア、吹雪く真っ白い世界の中、猛進してくる馬車をゆっくりクレーンでとらえた長回し映像、もうこれだけで私は「はい、OK!」でした。四方氷原に囲まれた、逃げることのできない閉ざされた空間での血みどろの惨劇、床下からとんでもない "やつ" が姿を現すというところにまで、もろジョン・カーペンター監督作「遊星からの物体X」。ただし宣伝の謳い文句、「今度のタランティーノは密室ミステリー!」というのは、まったくの嘘。というか宣伝部映画観てんのかっていう勘違いもはなはだしいコピーだ。犯人探しの謎解きミステリーなんかをこの映画に期待したら、とんでもなく肩すかしを食らうので、ご注意いただきたい。


11.「マネー・ショート 華麗なる大逆転」
リーマンショックのことよく知らないでもそれなりに楽しませてくれるだろうと思ったら、もう冒頭の会話から置いてけ掘喰らっちゃいました。もう誰がどうしてどうなったのか、なんでこの人が悔しがってるのか、すべてがちんぷんかんぷん。唯一の見所は、カメレオン俳優クリスチャン・ベールによる、コンタクトレンズなんぞに頼らない、生身で表現した "斜視" 演技。これはスゴかった。


12.「キャロル」
一方的に翻弄しているはずが、実は自分の方こそ心身ともにのめり込んでいて、逆に翻弄される側だった。という恋愛映画。ただし女性同志の。2016年のアカデミー賞に絡んだ作品はここまでのところ不作って感じ。


13.「アーロと少年」
ピクサーもこのところ不作だなあ。CGによる自然描写は圧巻だったけど。


14.「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」
もうね、いちいちツッコミ入れてたらキリがないよ。パーティ会場から階段降りたら、すぐにビッグデータ管理室があって、いとも簡単に入り込めるうえに、安々とデータ流失できちゃう大会社だとか。「てめこのやろう、人類の敵となる可能性が万に一つでもあったら叩きつぶしてやんだからな!」「じゃあ私がやられたら、すまんがマーサを頼む。ぼくのかあさんなんだ♥」「え、マジ、お前んとこのかあちゃんもマーサっつの? マジでかよ、うちんとこのばばあもマーサ、一緒じゃん」「嘘、すっげー、奇遇奇遇。じゃあ手を打とうよ、仲良くしようよ」だって、バカなんじゃないでしょうか。なんか頭悪い人が台本書いたんじゃないかな。そして、相も変わらずザックのアクション演出は、キックとかビームズッドーン、人だとかがぶっとんでドガーン、ビル破壊バッカーン、この3パターンのただの繰り返しで単調極まりない。さらには存在は知っていても、出自のよくわからないワンダーウーマンの、大仰な、さもここ大注目ですよ的なハンス・ジマーの曲かかりーのハイパースローかかりーのの登場シーン、私はただただこっ恥ずかしい思いでしたよ、この映画こき下ろす連中もここだけは絶賛していたけれど。で、結局のところなにがダメな映画かって、所詮「マン・オブ・スチール」がこの映画でのバットマンを担ぎ出すための前章映画でしかなかったように、この映画すら次作「ジャスティス・リーグ」の前章映画に過ぎなくなってくるんだろうってとこで、畢竟どこまでたっても単独映画としての決定打に延々と欠きつづけるのがDCコミック映画シリーズなんだろうなーと、先が見えたってこと。とにかく言いたいことは山ほどあるが、最後に一言。ザック・スナイダー監督は、ガジェットの見せ方が下手だ。こんなに魅力的に見えないバットモービルも珍しいよ、ホント。


4月
15.「ルーム」
子役にはやられるのはもちろんのこと、それよりも印象的だったのが、途中に出てくる女性巡査だ。子供と巡査のやりとりはスリリングでハラハラ。もう心の中で「早く早く!」って叫んじゃいましたよ。


16.「ボーダーライン」
監督のドゥニ・ヴィルヌーヴは新作を期待している監督の一人だが、ちょっとこれは個人的には今ひとつでした。この監督の今年の新作は、「メッセージ」と、なんといっても期待と不安の入り交じる「ブレードランナー2049」。さらに次回作が「デューン 砂の惑星」だってんだから、なんだかSF映画の第一人者にのし上がってきたねえ。


17.「レヴェナント : 蘇りし者」
なにはともあれディカプリオがオスカーを獲得してよかったと思うよ。個人的には「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で穫るべきだったと思うがな。タイトルは「ディカプリオの生還大作戦!」あたりが妥当だと思うくらい、まあとにかく生き延びるディカブリオの姿がただただ映し出されている感じで、一昨年前アカデミーの監督賞だったイニャリトゥの、なんだか文芸大作然と演出しているところが、ちょっと鼻についたな。全体的な水の捉え方がアンドレイ・タルコフスキー映画からまんま引用だなんて指摘もさせてましたが。


5月
18.「スポットライト 世紀のスクープ」
「レヴェナント」は今作とオスカー最優秀作品賞を競った映画なわけだが、どうも...ねえ。どっちがとてもどっちもどっち。両作ともに私には力不足な気がしました。


19.「追憶の森」
ガス・ヴァン・サントの新作。カンヌで上映したら、ラストでブーニングだったと聞く。マシュー・マコノヒーで観に行ったわけだが、演技はちょっとこのところワンパターン気味、だけど映画としてはなかなか温かみのあるいい映画だと私は思ったがな。


20.「シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ」
映画冒頭の、ベインみたいな鋼鉄マスクのヴィランの登場のさせ方とか、ひとつひとつの細かい演出にソツがないしツボを得ていて、その辺の力量の差は、ワンパターンでCG頼みのDC映画とは歴然とかけ離れている。が、が、もう私的には、ヒーロー集合映画はお腹いっぱい。なんだかあまり楽しめなかったです。どうでもよくなってきたみたい。


21.「デッドプール」
と、そんなところへカウンターパンチのような、この強烈な一作にガツンとやられました。プロフェッサーXに会うか的な問いかけに「なになに、パトリックの方? それともマカヴォイ? どっちが出てくるわけ? もう時系列がグチャグチャでわけわかんないよ!」などと答えるデッドプール。このメタフィクションなギャグの殴打にはやっぱり笑えましたね、ヒュージャックマンの登場のさせ方なんかも。全米でも思いがけない大ヒットを記録して、閉塞してきた感のあるスーパーヒーロー映画に風穴を開けたと言えるんじゃないかな。とにかくなにかとシリアスタッチにして、集まれるだけ集まっとこかなスーパーヒーローものに、そろそろ多くの観客も飽きが生じてきている証拠に他ならないんじゃ? 


# by wtaiken | 2017-02-16 10:36 | Comments(0)

2016年映画館鑑賞映画総括 其ノ壱   

毎年毎年書き出すもののその書き出しの落語でいうところの "枕" に時間と手間をかけすぎ、そこへもってきて生来の飽き性と面倒臭がりが仲良く相まって、途中も途中で投げ出してしまい、これまでのブログ歴で一度たりとも12月の最後の一作まで到達しえたことのない「年間うん百本鑑賞する映画の中でも、基本となるべき映画館鑑賞に限った映画評」2016年版を今年も性懲りもなくはじめてみようかと思う。で、さすがに反省して、今年はもう前段もなにもなしの性急な本番突入、いきなりの1月鑑賞分からスタートしてしまうのだ。
ちなみに前々回の記事でも触れたと思うが、自宅でのソフト鑑賞および再三再四観続けているお気に入りものも含め1年間鑑賞映画本数は302本。うち映画館鑑賞分は、おそらく我が人生で過去最多の43本。実に約8日に一本映画館鑑賞したという計算になって、おいあんた本当にまともな社会人かよの誹りや揶揄をパソコンの向こうからのヒシヒシと感じつつも、我ながらなかなかの数字じゃわいと驚きとともに感心してしまった。途中からめざせ年間51本! 週一映画館鑑賞年間達成!を目標に掲げてみたんだけど力及ばす無念もあったりし。
なんてホラ、ちょっと油断すると本題までがどんどん長くなるっていう...

なので早速本題へ。
今年は一作についての評価は寸評とすることでなんとか12月の43本までたどり着きたいと思う。そしてリバイバル上映で再見の映画については、なにかよっぽど一言添えたいものがない限りは寸評どころかタイトルのみの記載とすることもあるやも。なにせお気に入りなんだからもう一度映画館で観たかったわけで、そんな映画に酷評などありえないから。


1月
1.「ブリッジ・オブ・スパイ」
なんだか忙しそうで子供のボクらに少しもかまってくれない昼間のパパが、実は国家を揺るがす案件を一手に捌いていたスーパーヒーローだった...というところが実に脚本のコーエン兄妹らしい視点だと思った。トム・ハンクスが帰国後、車窓から観るダウンタウンの子供らが、バラ線のはり巡らされた塀をなんなく乗り越えていくという逞しい姿を感慨深く見守るという描写が私的にはツボで、前半の「ちょっと退屈かも」からの後半への緊張感溢れる巻き返しがスゴかった。そしてアカデミー助演男優賞のマーク・ライランスがやっぱり良かったね。そのマーク・ライランスの今年の出演作は "ダークナイト" クリストファー・ノーランの戦争大作「ダンケルク」。この映画についてはいずれどこかで話すことももちろんあろうかと。


2.「の・ようなもの のようなもの」
んー、改めてデビュー作にして生涯にわたる作風を決定づけてしまっていた森田芳光の早熟の才気あふれる「の・ようなもの」の偉大さを再確認してしまうという、比較にもならない普通すぎる平凡作だった。もったいないところもいくつかあったけど。たとえば、今作の主演落語家志願のマツケン (志ん田) が湯船につかっていると、志ん米 (しんこめ) 師匠の尾藤イサオが「誕生日おめでとう、志ん田!」といって風呂場にロウソク立てたホールケーキをもってくるシーンのみ「お、森田芳光っぽい!」と思って笑ってしまった。でもそこだけだけどね。


3.「ぼんち」
角川シネマ新宿の市川崑特集の一本。


4.「白鯨との闘い」
今となっては、途中眠くて仕方なかったくらいしか感想が残っていないが、観終わったあとの映画評では満点5つ星中3つもついていて、というのも私の場合「普通に観られた普通の映画」から「まあこりゃちょっとないけど駄作ではないな」までを含んでいる、かなりの作品を内包してしまうのが星2つという評価で、少しでも加点ポイントがあった場合、たとえば「あの脇に出てた女優がよかった」とか「あのセリフにはグッときたな」とか「あのシーンだけ美しかった」くらいのことでも星3つをつけている私としては、どう思い返してみても加点するところのない純然たる星2つであろう今作に、一体なんで3つもつけているのかが謎なのだ。ってなんの映画評にもなっていないが、それくらい印象がもうない映画です。ちなみにメルヴィル「白鯨」は未読。「カメレオンマン」の一節みたいに、老後に読みはじめて「『白鯨』読んでる途中だったのに...」と一言残して死んでみるかな。グレゴリー・ペック "エイハブ船長" の「白鯨」は、特撮がチープだけど印象深いです。


5.「犬神家の一族」
これも市川崑特集。一言添えるまでもない。私の一生を変えてしまった一作と言えるのかもしれない。


6.「の・ようなもの」
この作品の偉大さを再確認し、どうしてもまた観たくなって自宅のDVDをかけてみたら、これがとんでもなく映像が霞んでぼやけていて、とても観られたもんじゃなかった。リストアされたブルーレイの発売を切に願うが、そんないつになるともしれないものを待ってもいられず、「の・ようなもの のようなもの」公開記念でリバイバルしていた角川シネマ新宿に上演期間ギリギリで駆け込んだのだったが、これが正解。デジタル修復されていなくても、やっぱり映画館で観るとクリアでキレイでしたわ。
映画はもう数々のキラキラした名シーンで埋め尽くされていて、語りきれない。朝の隅田川沿いを延々と歩く志ん魚ちゃんの後に聳える仁丹塔のシーンなんて、もはや歴史的遺産ですよ。批判的な人曰く、すかした笑いやオフビートな会話などが如何にも80年代っぽいだの古くさいなんて言われがちだけど、いやいやこれはズバリ誰にもなし得ない森田節。80年代だなんて括って欲しくないくらい晩年まで通貫した自分の映像リズムをこの処女作で完成させているところがスゴいです。
そして尾藤イサオの志ん米真打ち昇進祝いの会が盛り上がりつつ、ひとりひとりと退場していくラストシーン。カーテンコールのようにカメラに笑いかける演者たち。あの馬鹿騒ぎのような "祭り"終わっていく感じ、永遠につづくことなんてないことを感じずにはいられない感傷が、どうも自分の大学時代と重なってしまい、いつ観てもグッときてしまうのだ。
まるで毎日が喧噪のような日々だった演劇部としての最後の日。四年の追い出しコンパの翌朝、パリッと正装して徹夜の部室をあとに卒業式へ颯爽と向かっていく同期の仲間をひとり見送り、お昼前の斜光差し込むなにもなくなった舞台にしゃがみこんでは、淋しくポツンと祭りのあとの余韻を味わった私の、なんとまあセンチメンタルなことよ。
そんなわけで、そもそもがシンパシーを感じるラストシーンに、これに加齢が重なると余計にしんみりだったよ。で、早速尾藤イサオ全集なるCDを買っては、しばらく「シー・ユー・アゲイン雰囲気」のヘビーローテーションでした。


2月
7.「悪魔の手毬唄」
これも角川シネマ新宿市川崑特集から。犬神家は、犬神家大好き監督岩井俊二が語るように、私にとっても「別格」。とすると、今作は一般的に言うならば映画史に残る傑作、なんだと思う。なにもかもが「傑作」然として、横溝正史映画ものでは群を抜いた白眉。市川崑の中ではここで傑作をつくってしまった充足感があったんじゃないかなってくらい、「獄門島」以降の3本のテンションのだだ下がり具合は半端ないね。ファンとしてはもちろん楽しんだわけだけど。たられば言ってもせんない話だが、なんとかもう一本、若山富三郎磯川警部ものを観たかった。
ちなみにここでトリビアをひとつ。当初市川崑はこの磯川警部役に佐分利信をキャスティングしていたらしい。定年前の最後の恋なんていうミステリーとはミスマッチな役柄は、確かに佐分利信は合っていたかも。スケジュールの都合で折り合わなかったらしいが、もし出演していたら (同一シーンはなくても) 小津仲間の中村伸郎と競演だったわけだ。そうなっていたら、いっそ北竜二もキャスティングして欲しいかったが。言うまでもなく、その佐分利信はつづく「獄門島」に念願かなって出演することになる。



いやー、やっぱ一言寸評とはいかないね、大学時代の懐旧なんて脱線もアリ...

てなことで、2月のつづく映画館鑑賞映画評は次回に。ではでは。

# by wtaiken | 2017-02-11 03:59 | Comments(0)

久しぶりに自作のアップです   

やー忙しいね! 目まぐるしいね! 2月だね!
前回記事からもう一月経とうというその間に千葉君津ロケあり、四日市、大阪堺ロケあり、その他東京近郊を転々と、極寒の中を朝一番早いのはパン屋のおじさんじゃなくって撮影隊のおっちゃん! な、山の頂から朝焼けのタイムラプスなんかも撮ったりなんかしちゃったりし、そんなこんなの1月に完成した私の演出作が久しぶりにYouTubeアップされたので、まあどうかひとつ、お暇な時にでもご覧いだたければ。

以前のCMプラン・演出がメインの頃ならそんなことを一々取り上げてもしなかったろうけど、今やすっかり私の仕事の多くが企業のインナー向けの、あまり一般的に目に触れないような作品へとシフトしているので、もの珍しくてたまにチェックするんだけど、これがまた驚きの83回再生!っておい! そりゃ地味な林業のVPだけどさ。いくらなんでも83回は淋しすぎるんじゃない?

これが正月明けの、まだお屠蘇気分の抜けない5日から2日間君津の山に籠って撮った映像。出ている人はみんな本ちゃんの林業従事者たち。みんなナイスなガイでしたぜ。

少なすぎる再生回数で煽ったけど、実はこちらがFullバージョンで、一般的に公開されているShortの方は3万回は観られているようで、ホッ。

てか、埋め込もうと思ったんだけど、なんか久しぶりにブログ開いてみたら、なんか操作の勝手が違くなってるし〜。
なんでリンク機能にしたんだけど,..。

ま、いいや、クリックするとYouTube「緑の雇用」に飛びます飛びます。
ではまた。

# by wtaiken | 2017-02-09 01:23 | Comments(0)

2016年述懐   

年末年始は細君が帯状疱疹らしき病状でダウンし、4歳児との添い寝は私ひとりが担当するとなり、そんなわけで子供の寝静まった頃合いを見計らって自室にてブログのつづきを始めようにも、傍らにいるはずの物体が突如失せたことを敏感に察知する我が子から「おとうさんはどこ!」とのお呼ばれで、とてもじゃないけど更新はままならず、あまりにも中途半端な書き込みのままに放置されている前回 "総括" の、本日はそのつづきです。

2016年の総括といえば、昨年はご贔屓にしている数少ない民放のいくつかの番組から女子アナアシスタントがまるで歩調を合わせるかのように総取っ替え状態となり、その辺りの事情は去年10回しか更新しかなった中の1記事にしたためておいたが、リニューアルしたそれら番組のその後を私なりに総括しようかと思う、まずは。

夏目三久の卒業した「怒り新党」には、テレ朝の局アナ青山愛が就任し、切り替わりからの数回は "如何にも" な局アナ口調が鼻についてしまい気になって気になって仕方なかったが、結局のところ番組の生命線たる有吉とマツコのよどみない掛け合いが健在な限り、誰がどのようにして怒りメールを読もうと安泰なわけで、今や青山アナの素に近い (んだろうと私は思っている) ケケケケとしどけなく笑う姿に愛着も湧いてきた次第。卒業後には有吉・夏目の妊娠・結婚スキャンダル騒動なんておまけもついたりして。それにしてもこの件、番組内で少しくらいは弄るのかと思ってたけど、笑いに昇華するどころか一切の言及もなしで、ことの真相は一層暗い闇の中な気がする。

NHK「ブラタモリ」の桑子アナの後任は近江有里恵アナに。まあ結局のところこの番組も内容がテッパンに面白いので、アシスタントがどうあれ違和感なく続いている感じ。まあそれでも桑子以前はアシスタントの及第点的な対応が嫌であまり観ていなかったわけだけど。なのでやはり私的には功績の高い桑子ロスはいまだ拭えないが、なにより相対しているタモリがこの近江アナを非常にかわいがっている感がヒシヒシと伝わっているので、タモリよければブラタモリすべてよし、ということでいいんじゃないでしょうか。

自分でも一番驚いたのは、「モヤモヤさまぁーず2」の狩野アナ卒業に伴って、よもや私の番組視聴も終了してしまったということ。いまだ私は大江アナ時代の「モヤさま」が一番だと思っているし、狩野アナに替わったあとの痛々しいくらいのいじられっぷりもあって、そんなに思い入れがあったつもりはなかったんだけど、卒業宣言のあとの狩野アナ閉店詐欺的な引っぱりと、福田アナ登場回の異常な盛り上げ方に少々胸焼けがし、なんとなく私も卒業しちゃいました。それにしても福田アナ、荻野目ちゃんに似ていたね。

てなことで、どうでもいいテレビ番組アシスタント交替劇のその後に時間を割いてしまったけれど、本題は、おおそうだ2016年の映画鑑賞総括であったな。


さて去年は、1月4日に、なにか観たくなるキッカケがあったんだろうけどそのキッカケがもはや思い出せない大林宣彦監督の「異人たちとの夏」の再視聴にはじまり、12月29日の小沼勝監督作、谷ナオミ主演のにっかつロマンポルノ「花と蛇」にて総数302本の映画鑑賞を終えた1年でございました。

大きな潮流をいうと、旧作の自宅視聴に関しては、リアルTSUTAYA店舗レンタルから、ほぼオンラインレンタルへと移行した点。
ネットで検索して、ポチッとするだけで2日後に自宅ボストには届き、約3週間のレンタル期限期間中に行動範囲内のポストへ投函するだけで返却が済んでしまう、この便利さを一度味わうとリアル店舗での観たい旧作探しに時間や手間をかけ棚とにらめっこしていた頃へは最早戻れませんよ。(もっと進んだ人は、すでにDVDレンタルなんぞせずに、ストリーミングとやらにしているんでしょうけど)

そんなわけで、リアル店舗では回転数が重視されるからラインナップの充足がみられなかったにっかつロマンポルノが、オンライン上ではそこそこ本数が充実してい、かつてとあるプロデューサーから「にっかつロマンポルノは観なきゃダメだよ会田さん」などと言われていた身としては、すわっとばかりに遅ればせながらのブーム到来の1年でもあり、もちろんそれは今も継続中なのだ。
去年は、ロマンポルノ第1作目の「団地妻 昼下がりの情事」公開から "45周年"にあたり 、それを機に製作が復活して ”新作公開!” なんてニュースも踊る中、これまでつくられたロマンポルノは1971年から88年の間におおよそ1000本越えとされ、齢50過ぎにしてすっかりどハマりしてしまった私としては、願わくは全作網羅をこれから生涯をかけて達成していきたいものだ。

ちなみにアドバイスをくれたプロデューサーが特に薦めたのは神代辰巳で、一般作品ではショーケン主演もの「青春の蹉跌」など数本は観ていたけれど成人映画は未見につき、勧めを受けた5年前からボチボチとロマンポルノは観はじめてはいたのだけれど、本格的にハマったのはやはりオンラインレンタルの開眼が大きいと思う。
神代監督作では「女地獄 森は濡れた」が断トツにスゴい。なにがスゴいって、これが決してエロさなどではなく、山谷初男の怪演ぶりや、その山谷初男が口ずさむ歌であり、そもそもがマルキ・ド・サドを原作にしたエロ・グロな世界からエロ要素をポルノでありながら差し引くという、これはもうアングラ映画の範疇かと。

ほかにもカマをほられた男が男色に目覚めて女装にふける「悶絶!!どんでん返し」、傷天岸田森のポルノ映画監督の苦悩をメタフィクションで描く「黒薔薇昇天」とか確かに秀作多数。ただし "ポルノ" のひとつの定義であろう "エロティック" いう点では前述の通り物足りなく、むしろ性における喜劇性がより明確にクローズアップされているところが、神代ロマンポルノの特徴かと若輩は思う。

その「悶絶!!どんでん返し」に主演し、神代作品ではやっぱりコミカルにさえ映る谷ナオミも、小沼勝監督がとらえるとこれが非常にエロだ。みうらじゅんも大好きな「生贄夫人」とか。いまのところにっかつロマンポルノ=小沼×谷ナオミブームといっても過言ではない。

それとここ数年かけて観てきた高倉健、鶴田浩二、菅原文太、藤純子らの東映任侠映画の、よくいえば様式美に貫かれた、悪くいえばマンネリズムに辟易とし、もうこれ以上の鑑賞欲が失せてしまうという当時の観客とおそらく同じ流れで「仁義なき戦い」を改めて観たら、ガツーンときました。いやあ最高でした。以前3本ほどこのシリーズを観たとき、なんでまたこの魅力に気づかなかったんだろうか私は。
たとえば「蒲田行進曲」にしろ、文芸大作といわれる「華の乱」にしろ、深作欣二監督の音楽の使い方は大仰すぎで、使われる作曲もダサくて正直大っ嫌いなんだけど、ことこのシリーズについてだけ例外的にくどくオーバーな音演出がジャストミートではまっているし…って「仁義なき戦い」の魅力なんざさんざん言い尽くされているから書く必要もないでしょう。これまた齢50過ぎにしてドハマりして、ベスト盤サントラまで買っちゃいましたよ。まったく。


といったところが2016年私の映画鑑賞の大きな流れ。
シリーズ物では勝新・田宮の「悪名」シリーズと「兵隊やくざ」シリーズを (ソフト化限定の) 全作制覇。
これら潮流が果たして総数302本からの2016年ベスト10にどう影響してくるのか。
つづきはこれまた次回に乞うご期待。

→明日からは千葉県君津市へロケに行って参ります。そんなわけで今年はマメに更新したい矢先から次回はいつになるのか未定! ではまたー!→

あ、最後に、みなさま、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
...なんて最近意味なく流行の、終わりにメインタイトル IN みたいな感じで、さようなら〜

# by wtaiken | 2017-01-04 00:20 | Comments(0)

2016年総括   

今年生誕100年だったらしい写真家早田雄二による「美しき昭和の名女優」2016年カレンダーは、八千草薫、司葉子、藤純子や加賀まり子ら錚々たるラインナップで、我が部屋ではカレンダーとしての役割よりむしろポスター的に毎月目を愉しませてもらっていたのだが、1年の締めくくりたる12月がどうしたことか美空ひばりなのだった。11月の若き関根恵子から月代わりにめくった時の衝撃たるや、もうっ!
まあこのカレンダーの表紙からしてが "いきなり美空ひばり" だし、毎月が誰であるかは裏表紙で知れているものの、月日の経つうちにそんなことは忘れてしまっていたし、前述の通り11月が "高橋恵子" 時代ではない、デビュー間もない頃と思しき関根恵子からの展開だったから、落差が激しいったらありゃしないよ! このブログを読んでいただいている方に、美空ひばりご贔屓もおそらくいなかろうからハッキリ言わせてもらうと、まず"美しき"かどうかに疑問だし、"名女優"というラインナップに含まれるところも大いに納得がいかない。
そりゃもうきっと歌は飛び抜けてうまいんだろうよ、真っ赤に燃えたり、川の流れのように。リハーサルで歌い上げる美空ひばりに向かい、ギンギラギンの頃のマッチがその人と知らずに「おばさん、歌うまいね」と言い放ったったというエピソードがあるが、確かにパッと見ただのおばさんにしか見えなかったりする。これはただ私が彼女の魅力に気づかない未熟さから来るのか、それがある日突然覚醒し「美空ひばり、サイコー!」というXデーがこの先限りある人生に訪れたりするんだろうか。などと、12月のカレンダーからそんなところに思いを馳せる年の瀬だ。

美空ひばりといえば、彼女が通ったという横浜磯子にある (あった?と過去形になのか、その後の存続は定かではない) 滝頭 (たきがしら) 小学校には5年生まで私も通っていたという、髪の毛一本ほどもない細き因縁があったりするのだが、今年観ていた鈴木清順の日活時代の古い映画の中に、そんな私のかなり古い記憶を呼び覚ます見覚えるある顔に突如出くわし、巻き戻した (DVDだからそうは言わないのだろうが) オープニングタイトルロールの中に「おお、この人か!」と思い当たったのが "曽根幸明" という名前。作曲家として、ウィキによれば「象印スターものまね歌合戦」の審査員を務めたとあるその曽根幸明の娘と、私はその滝頭小学校の低学年時代に同級だったことをその映画から思い出したのだった。
おぼろな記憶にすがるなら、ほどよいカールのかかる髪はすこぶる長く、全体的に「いいとこのお嬢さん」風の上品な容姿であり、高台の邸宅に住まい...と、霞がかって釈然とはしないものの、ベールの向こう側に確かな残照をとらえることのできる私は、きっとそんな彼女に、憧れとともに好意を持っていたのかもしれない。
だなんて、そんな甘酸っぱい記憶をも呼び覚ましてしまう映画観の2016年は、実に3年ぶりに大台突破の302本となり、うち映画館における鑑賞本数は43本と、おそらく過去最高記録を更新した。

つづく。

# by wtaiken | 2016-12-31 04:21 | Comments(0)

10月だというのに   

かつては、といっても子供の頃のことだからかれこれ40年ほど昔だったらば、9月の半袖ならまだありえても、10月の半袖はなかったように記憶している。時候はそろそろ冬支度へ向かおうという頃合い、重ね着こそしかなったものの半袖はお役御免とばかりに押し入れの奥に来年夏の出番まで長の休暇に収まっていたものだが、昨今の地球温暖化のせいで10月になってもまだまだ半袖が終えないのだ。そして昨日みたいに30℃なんて平気で越えちゃったりする。コンビニのアイス棚もいまだスカスカだよ、もう。そのうち秋がズレズレになってどんどん短くなって、おいおいなんだかつい最近まで半袖だったてーのにもうそろそろクリスマスかいっ、正月かいっ、なんてことにもなりかねないってんだからフントにヤになっちっちまうよ。

さてその10月だ。10月は私の誕生月であり、ついついいきおいはじめたフェイスブックには、いまだに多くの方から「おめでとう」コメントが届くのだが、当の私がかれこれ数年間も放置していたせいなのかベージが正常に表示されないために何件もの友達申請をスルーし、そして誕生日おめでとうにも一言の挨拶もできないままこれまたスルーしてしまい、なんだか例年に比べてコメントが多かったこともあって、そのみなさんが当ブログを読んでくれているとは限らないけれど、こうしてせめて勝手知ったるブログにて御礼申し上げる次第なのです。

みなさま、フェイスブックにコメントいただきありがとうございました。ご無沙汰ですが元気です。我が子も息災に、スクスク生意気に生きてます。
この夏、私にとっても、そして4歳になる彼にとっても人生初の "ウルフェス" に行ってきたので、無事の証にその写真でもアップしておきましょう、私の知り合い以外にはなんの興味もないスチルでしょうけど。

c0018492_4482120.jpg

いやあ、さすがに照れくさくて、ポーズはとれなかったぜよ。


いい加減ブログ休載の言い訳も我ながら書き飽きた感があるので省略させていただきました。書きたいことが山積という感じなので、そろそろボチボチ吐き出していこうかと思っています。またこれを期によろしくお願いいたしますが、今日のところは昨今の思うところを簡潔に、取りまとめて。

「シン・ゴジラ」。賛否両論ありつつも私は都合3回観ました。前半の会議シーンに乗れるか乗れないかで評価は大きく割れる映画だろうと思う。私くらいの世代に多くいるんじゃないかと思われる大のゴジラファンからすると、いろいろ冒涜だのゴジラ映画じゃねえ!とディスりの的となるだろう数々の描写も、私にとっては「よくぞやったり!」と喝采の対象でした。詳しくはいずれ書こうと思いますが、「シン・ゴジラ」の総評は、作品単体としての評価云々より、なにより新しいゴジラ映画を世に問うた製作者側 (主には総監督たる庵野) を絶賛したい映画でしたね。

それにしてもいきなりの興行収入100億越えだなんて先日ニュースになったと思ったら、昨日には130億超えだっつって、いまだ衰えを知らず爆走しつづける「君の名は。」。どこまで続くんでしょうか、このブームは。
新海誠などという作家についてはまったくノーチェックだったので、もう私にとっては寝耳に水状態。だって100億ですぜ。アニメに限っていうと、シン・ゴジラの庵野「エヴァ」でさえ、宮崎の後継者として国民的作家になりつつある細田守の諸作でさえなしえなかった100億超えなんですぜ。え、なんで? どして? 意味わかんないすけど、という半信半疑な面持ちで、でもさすがにここまでくると一映画ファンとしてはとても放ってはおけずついに観たのが9月26日。一部からは、ミュージッククリップ的だの、感動作のおいしいところの寄せ集めだのとだいぶ叩かれているようですけど、私は、楽しめました。だってさー、おっぱいもみもみしながら「よかった...」と落涙する主人公に、観ているこっちも笑いながらもホロリとできる映画なんてそうそうないよ! まあちょっと感動の押売的に、くどくどと流れる名前も知らないJポップグループの歌だけはかなり辟易したけど。これもいずれ詳しく。

「シン・ゴジラ」の闘う官僚として、新しいタイプのヒーローを体現した長谷川博己。「進撃の...」の臭うばかりの演技には心底吃驚でしたが。近々NHKで夏目漱石を演じるらしいけど、そのNHKが映画ばりに制作する横溝正史の「獄門島」で、なんと金田一耕助を演じることに! 視聴率次第ではシリーズ化もありえるんじゃないかな? ここに来て飛ぶ鳥を落す勢いの長谷川 "金田一"に期待しつつ、予告しつついまだ叶わぬ私の金田一映画再考察にいよいよ手を付けるいいキッカケになるやも。

今年は「龍馬伝」以来の大河、欠かさず観てます。
正直三谷は、テレビ放映でチラ見した映画「有頂天ホテル」の冒頭の、あざとく狙ったウケに寒気を感じてわずか数分で視聴を断念してからというもの、もはやクスリとも笑えないコメディーを書く人なんだなと高を括り、「真田丸」初回も試し観はしたものの「やっぱダメだわこの人の作品」と見放したところ、ひょんなキッカケで秀吉登場あたりから再視聴をはじめ、以降これまでにない "笑える大河ドラマ" として十ニ分に楽しませてもらってます。いやあ笑える笑える。
贔屓だった小日向秀吉死去からはどうも個人的には停滞期だったんだけど、また九度山蟄居から笑えるシーンが持ちかえした感があり...。それにしても草刈正雄だったなあ、この大河は。そしてうっとうしいと話題になった長澤まさみがいい味だし、でもって呂宋助左衛門なんだもん。そりゃ観るっつーの。一回しか出なかったけど。

「スーサイド・スクワッド」。出たね、久しぶりに予告篇詐欺映画。逆に言うなら「よくこれだけつまらない映画から、あれだけの予告篇をつくったな」に天っ晴れだよ。ソツないどころか傑作を連発し続けるマーベル諸作に対して、水を開けられすぎだろ、DC映画は。仏の顔も三度まで。
「マン・オブ・スチール」「バットマンvsスーパーマン」に「スーサイド・スクワッド」。あ。三度だ。これまでってことで。来年の「ワンダーウーマン」もう観ないよ。
「スーサイド・スクワッド」についてもいずれそのうち。

そして今週土曜「七人の侍」4K、観てきます。インターミッションを入れて3時間40分の長尺! なにより音声が格段によくなったということなので、そこにこそ期待したい。村の長老話、聞き取れるか否か。感想、これもまたいずれ。


と、ばらばらととりとめもなくなく再開しましたが、ではまた。

# by wtaiken | 2016-10-07 05:55 | Comments(4)

またまたご無沙汰、挨拶程度の久々更新は予告篇!   

誰かが卒業をし、誰かが入学したり進学したり、我が子が進級したり、左遷させられたり栄転したり、退社もするだろうし、はたまた入社もし、配属替えがあり転職があり、クラス替えがあるかと思いきや、「おい、お前、あの役から下ろされるってよ」な配役変更があったりなんかするかもしれない、そんなさまざまな出逢いと別れとがドラマチックに、あるいは至極淡々と展開される4月は、一方ではテレビ番組の改変期にも当り、私にしたらの喪失感の半端ない「マツコ & 有吉の怒り新党」からは夏目三久が、そして「ブラタモリ」からは桑子真帆アナが卒業してしまったという、とんでもない人事が敢行されてしまったのだ。
このテレビ業界にとっての大きな損失とも言える愚挙も、かつて「モヤモヤさまぁ〜ず2」大江麻理子アナ卒業ロスからの、時が経てば今や狩野アナにもすっかり馴染んでしまった過去に見るように、いずれは「そんな時代もあったね」といつか話せる日がくるわ なのかもしれないし、たとえば「怒り新党」の場合だと、マツコ & 有吉という、自分勝手のように見えて実はかなり場を読む気配りの長けた進行上手な二人でありさえすれば、夏目三久のぽっかり開いた穴もいずれは新しいキャストが旨い具合にはまりもするんだろうけど、問題は飄々と自らのスタイルを崩さずあっちぶらぶこっちぶらぶら徘徊老人のような振る舞いの見受けられる特殊タレントタモリを擁する「ブラタモリ」だ。
この番組がタモリの「笑っていいとも!」卒業に合わせ、レギュラー化を果たしてから以降の視聴率が好調なのは、「土曜の夜はブラタモリ」という視聴習慣の確立ももちろんのこと、アシスタント桑子アナの存在が非常に大きかったと思っている。
それまでイレギュラーだった「ブラタモリ」が私的に今ひとつハマらなかったのは、歴代アシスタントたちの杓子定規な、なにかアナウンサーとして皮を一枚かぶったような上っ面なリアクション (失礼!) がどうにも番組を堅苦しくさせていたところにあったのだが、タモリの周囲にお構いないマイペース対し、よもやのマイペース返しで応戦してくる桑子アナの天然ふりは、ともすると学術的すぎるキライのあるこの番組に、風穴を開け、すこぶる風通しを良くしてくれていたと思うのだ。この芸当は狙ってできることでは決してない。やはり桑子アナの人となりに起因していた成功例なので、後任のアシスタントは荷が重かろうと思う。
先々週熊本の回ラストで、おまけ的に桑子アナの番組卒業が自らアナウンスされ、あのタモリをして真面目に「性格もいいしね。よかったですよ」と言わしめたお褒めぶりからも、タモリへのハマり具合、そして番組への貢献ぶりが知れよう。
その桑子アナの転任先、平日を担当している「ニュースチェック11」は、はじまって1週間ほどのはず、一体どうなんでしょう? あの、NHKのアナウンサーとしては異質な、少し民放ズレした良さは、残念ながら報道番組では活かせるはとても思えないんだけれどもなあ。ありえないけど、桑子アナのブラタモリ復帰を切に願うものの一人である。

さてさて前振りが長くなったが、去年映画館で観た映画のトップ10を書いたところでついた一息がこれほど長くなるとは...我ながら予想を越えたブランクとなって、おかげで案の定その10本に入らなかった2015年劇場鑑賞映画寸評のことなぞやりっ放しのままもはや書く気がすっかり失せて、そりゃそうだよ、咲いた桜も散って葉桜な、2016年も4月を迎えた今この時期に、なにを好き好んで去年のことにかまけてられるか! というそんなわけで、ぼちぼち今を生きる私の、リアルタイムな話題にシフトしたいところ。

なんですが、今少しずつ始めているのが、70年代中期から80年代初頭にかけて邦画界を席巻した横溝正史映画の再検証で、まったくもって後ろ向きな毎日。
正確には75年、ブームに先駆け公開された中尾彬によるヒッピー金田一耕助登場の ATG映画「本陣殺人事件」から、市川崑+石坂浩二黄金のコンビ諸作はもちろんのこと、81年の「悪霊島」を経て、さらには96年トヨエツ版金田一の「八つ墓村」、そして2006年の市川崑セルフリメイク「犬神家の一族」に至るまで、そのほとんどが「もう一生涯観ることもあるまい」と思っていた駄作までをももう一度観直し、それら "横溝映画" というのか"金田一耕助映画史" とでもいうのを、「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」映画評よろしく、原作小説と比較してみたり、はたまた古谷一行版テレビシリーズとも比較しつつの検証をしてみようかと思い立ったのはいいものの、なにせ日々の読書時間は仕事の行き帰りのたかだか数十分間では斜め読みですら原作読破にかかるかかる。
そもそもが私は本好きのくせに人一倍読書の遅いタチなので、その再検証報告はいずれ開始しますよと予告に止めようと思う。
公開順、時系列に進めるのが本筋な気もするが、なぜか中途半端な公開時期にある「悪魔が来りて笛を吹く」からはじまります。いずれ。
こんな風に先送りにすると、そのうち面倒になってちゅうぶらりんのまま終わったりすることばかりなんだけれどもね。

それと予告しておきたいのが、今年映画館鑑賞している諸作の感想を、年の終わりにまとめてやろうとするから毎年中途半端に終わらせてしまう同じ徹は踏まぬよう、随時行っていこうかというもの。

ちなみにこれまでの2016年映画館鑑賞本数は、「年間40本観るぞ!」宣言の結果到達の叶わなかった去年が同時期8本だったのに対し、大きく上回る15本となっている。そのうちの4本は、市川崑映画祭などのリバイバル映画ではあるけれど。
これも年初から順に評するのが真っ当な気がするが、まずはコメントにも鑑賞寸報告をいただいた、話題作「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」から。寸評ならば手っ取り早く片付ければいいのだろうけど、どうにも寸評にはおさまりそうもない作品なので、やはり時間のできた近々にという予告止まりで。

それにしてもこの映画、公開前の静けさは、果たして私がその祭りの輪の中に入っていないからぜんぜん盛り上がりを感じないのか、はたまたそもそもお祭りになっていないのかがまるで判断つきかね、ともすると世紀の大コケ映画になるんじゃないかなんて思ってたりしていたのだが、フタを開けてみると、公開第1週目は超大ヒットだったそうでまずはなにより。とはいえ2週目からは集客を大きく落しての、さらには酷評の嵐、嵐、嵐。これほど低評価の作品で大ヒットするのは珍しいんだそう。
ザック・スナイダー監督、「サッカー・パンチ」邦題「エンジェル・ウォーズ」から評論家筋はもちろんのこと、一般観客からの支持も低下の一途をたどってるが、果たして私はどう観たのか、それもまたいずれ。


さて本日は私のブログのこれからの更新予定の予告止まりでしたが、予告つながりのついでと言っちゃーなんですが、の、気になる映画の予告篇を2つ貼っておきましょう。


1本目。私としては評価が低かった「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」があろうとも、当然エピソード8も9も観る気満々だし、そのスピンオフ映画も当然期待しているわけで。そんな「ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー」が先日ついに予告篇を公開。懸命なみなさんはすでにご覧になっているかとは思いますが、その日本語版を。



やっぱ旧トリロジーのキャラが出てくると萌えます。モン・モスマ! 正調デザインのストーム・トルーパー! そして第1デス・スターに、ななんと朽ち果ててないAT-ATっすよー! もう、サイコー! そんで映画観てガッカリしてね、まあそんな繰り返しですよ、それでいいんです!
音楽はジョン・ウィリアムスではないんだけど、オリジナル・スコアは使う模様。エイリアンにゴジラ...巨大もの大好きっ子の監督ギャレス・エドワーズが、巨大兵器デス・スターをどう料理するのか、期待の持てる予告篇でした。

続いて、ガッカリしたのか案外評価が高かったのかはいずれの映画評に譲り、そのDCコミック映画化プロジェクトの第何弾? 2弾? 「マン・オブ・スチール」入れて3弾? かはどうでもいい、むしろ事前の予告篇からはコミックファンの評価が「バットマンVSスーパーマン」より断トツで高かった「スーサイド・スクワッド」の、公式な予告篇としては第2弾、リークされて急遽慌ててリリースした不本意な?予告篇を入れると第3弾な、最新の予告篇です。相変わらず予告篇からは愉しそうな、お祭騒ぎ感が醸されてますし、ハーレイ・クインがやっぱいいですよ。




P.S.
速報。たった今、ネットで新しいゴジラ映画「シン・ゴジラ」の画像公開。腕のサイズ感や面構えは、かなり初代ゴジラが意識されていつつ、メルトダウンなゴジラですね。ちょいグロなところは "巨神兵" 庵野総監督らしい。
c0018492_5335085.jpg

とはいえなんとてっても噴飯映画「進撃の巨人」のダメダメ監督が同じようなキャストで臨む映画だけに安易に期待できないわけで。それでもアゲざるをえない求心力がやはりゴジラにはあるということで。

ではもう寝ましょう。

# by wtaiken | 2016-04-14 04:23 | Comments(0)